1章

終点にて
不思議迷宮はかなり道が迷う。
地形は見覚えがあるのに道がめちゃくちゃだ。モンスターも迷って出られてないのかかなり苛立ちを感じて襲い掛かってくる。
ラルドの言う通り階段を見つけると先に進んだ気がする。
そして休憩できそうな空間があった。
「はー、長いな。あとどれくらいだろうか?」
「もう少しじゃねえか?みてみろ。町の看板がある。確実に出口だ。」
「そっか。なら…ここでいったん休憩しようぜ。」
俺は近くにあった切り株に座りこんだ。
「なんだよダルク。もう疲れたのか。」
「スタラぜんぜんへいき!」
ダンとスタラは茶化すが、お前らは魔物で俺は人。体力の差は全然違うだろう。
「うるさいな、お前らと違うんだよ。」



 
「きゃああああああああ!!!」




突如、女の子の悲鳴が上がる。
「ん?なんだ?」
「なんかこっちにくる!」
「へ?人?」
 前方からピンクのドレスらしいワンピースを着た年齢はたぶん俺くらい?の女の子が猛ダッシュしている。
 よく見ると…何かに追われてる?
「なんかうしろにもついてきてる!」
 女の子は俺たちに気づいたのか助けを求めてこっちに来た。
「あ、良い所に!ちょっと、そこのお兄さん!助けてー!」
 近づいていくにつれて羽根の音?虫の羽根の音がやかましい。
「ん!?でっけえ蜂!?」
 あれはマジカルロードに巣を持つ巨大ハチの大群だ!あんなのに追いかけられてたのか!
「と、とにかく追い払うぞ!」






中ボス 巨大ハチ
「わー、いっぱいきた!」
「数も多いな。」
「あの真ん中のでかいの、小さいのよりも強力な毒針持ってそうな気がするぞ。刺されたら毒になりそうだ。」
「どく?」
「確か…毎ターン体力が徐々に減っていく悪い状態だった。放っておくと厄介だぜ。治すには万能薬が必要だ。」
「毒以外にも状態異常ってのがあるらしい。そういう攻撃使ってくるのが分かってるならアクセサリーで防ぐ手がある。」
「あと…こういう強い敵って体力が減ると行動が変わる奴がいるってさ。中途半端に攻撃しないで敢えて一点集中して戦えって親父やノアさんも言ってたな。」
「ま、基本弱い奴や体力低そうなのから狙っていけば問題ねえだろ。」
「早いとこ退治してあの女の子を助けるぞ!」




途中毒針で毒を喰らいながらもラルドから購入した万能薬で何とか治療しつつ女王蜂らしき巨大ハチにとどめを刺した。
女王蜂が倒れたことでリーダーを失った蜂は退却していった。
「わーい、たいじしたぞ!」
「ありがとー!ずっと追いかけられていたから助かったよー!糖分なくなっちゃいそうだった!」
 さっきの女の子が近寄ってきた。
「あんたは誰だ?ここらじゃ見かけないけど…」
「ローザだよ。ハチミツ採取しててハチの巣落としちゃったんだよね…えへへ…」
「あの巨大なハチにケンカ売るなんてめっちゃ度胸あるじゃんか。」
「極上なロイヤルハニーが欲しかったんだ。」
 ロイヤルハニーが入っているガラス瓶を見せてくれた。黄金色で透き通っていてとても綺麗だ。
「わー!きれい!」
「なんでこれが欲しかったんだ?」
「これを飴にすれば、いがいがな喉も潤うらしいの。ほんとかどうか試したかった!」
「そんな効果があるんだそのハチミツって…」
「本で読んだけど、ハチミツは薬にもなるらしいぜ。」
「助けてくれたお礼にこの蜜おすそ分けするね!」
極上ハチミツをもらった。なんと3個くれた。
「こんなにくれるの?」
「大豊作だったの!欲張って巣を落としたもんだから蜂を怒らせちゃった。」
きっと人数分分けてくれたんだろうな。よかった。これで当分は砂糖買わなくて済みそうだ。
「ローザだっけ…お前はこの先どうする?俺達はマジカルタウンに向かう途中だが……」
「マジカルタウン?」
「このさきにあるおおきなまちだよ!スタラたちごはんかいにいく!」
「おー!食べ物がいっぱいありそうだね!スイーツとかあるかな?」
「え、付いてくんのか?」
 ダンが不安そうに話しかける。
「だってここで置いていくわけにもいかんだろ。」
「確かにそうだな…」
「んー?何か起こってるの?」
 ローザが尋ねる。ほんとに何も知らないようだ。
「ここは不思議迷宮になってるから下手したら出られなくなる。」
「え、そうなの!?道理で同じところぐるぐる回ってたー。うずまきクッキーみたいに!」
「おいやめろよ。お菓子の話したら腹が減ってくる。」
「ごめんね、ローザは職業はパティシエなんだ。甘いものが大好きでおいしいお菓子を作るために材料集めをしてるんだ。」
「ほう、料理人ってとこか。」
「ぶー。ちょっと違うー。お菓子専門だよー。」
 頬を膨らませて怒る。お菓子専門の料理人なんて珍しい。街にはお菓子屋はなかった。てことは最近引っ越してきたのか…?いや食べ物いっぱいあるって言ってたから旅の料理人か?
「とにかく…ここは早いとこ出た方がいい。街までは送ることにするよ。」
「初めて会うのにほんとにありがとー!えっと…」
「あ、名乗ってなかったな。俺はダルク、隣の小さいほうはスタラで俺よりでかいのはダンだ。」
「おけー。覚えた、よろしくね。」
ローザというなんとも不思議な女の子が同行者として加わった。


「ローザってすきなおかしってなんなの?スタラはねー、おほしさまのケーキ!」
「ケーキが好きなの?ローザもだよ!味はスターベリーミルクかなー。」
「それおいしい!」
「スタラのお星さまのケーキってどんな味が好きなの?」
「セブンフルーツあじ!」
「なるほどー!今度ローザのお菓子屋さんに遊びに来てね。お星さまケーキ作ってみるから!」
「やったー!」
後ろではスタラとローザが手つなぎしてワイワイおしゃべりしていた。
「おいおい、めっちゃ仲良くしてんじゃんか。」
「うん、本当に道に迷ってただけで怪しくはなさそうだな。」
「そうか?お前すぐに信用するんだもんな?だから騙されるんじゃねえか。」
「一言余計だ!」
 ダンがからかってくる。
 
 
お……か?……に……う適合……
あの……では……
やっぱ……そう……はおら……
……街に行……りそう
わか……その……街に……

なにか、聞こえた気がしたがその時の俺は気にもかけなかった。
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