2章
俺たちはフォレストタウンに戻ってきた。
「おかえりー!無事連れ帰ってきたのね!」
「ぎぎっ!」
「さすがだな、ダルク君」
マジカルとスペイドさんが迎えてくれた。魔物になった親父も一緒だ。
「ダルク、よくやった。感謝する」
「ビルバさんは、この通り無事だったっすよ…」
「ノワール! こっちにいたと思ったら…どうしたんだい、その怪我!?」
ビルバさんは、俺を押しのける勢いでノアさんのところへ駆け寄った。
これが母親ってやつか…。
俺の母は、俺が生まれた時に亡くなった。
だから、俺はほとんど親父一人に育てられたようなもんだ。
「あ、いやこれは…ジールを助けた時に…」
「前回は全身の骨折ってたと思ったら、今度は切断!?お前は本当に無茶をして!」
ノアさんは言葉を濁している。
おい待て。それ、しょっちゅう俺が想像できないような恐ろしい事故を任務中にしてるってことかよ。
「親父、ノアさんって、やばい大怪我するのは今回が初めてじゃなかったの?」
「ぎぃ…」
親父は「そういやそうだな…」と言いたげに、冷や汗を流していた。
確かに、日頃から人外じみた怪力だし、前日骨折ってたのに次の日には普通に任務に出てることもあった。
恐ろしく頑丈な身体なのは、俺も正直羨ましかったが…いや、本当にどうなってんだ?
(ノアさん、本当に人?…って思っちまったけど、さすがに失礼か。見た目はどう見ても魔物じゃねえしな)
『まーまー、お袋さん。ノアも無我夢中やったんや。多少の無茶は大目に見たってや』
「あら? 今のは?」
『ノアを助けたネーロでーす』
触腕が手を振っている。もう一つはビルバさんへ握手を求めていた。
「まあ、どこの誰かは存じ上げませんが、ノワールのこと助けてくれてありがとうねえ」
さっきまでノアさんを叱っていたと思ったら、ネーロにはすぐ感謝。触腕と握手をする。
なんというか、めちゃくちゃ飲み込みが早い。すごくお人好しで、誰に対しても友好的に接する性格は、こういうところでは本当に強い。
「母さんはあの通り、どう見ても怪しいネーロにすら警戒しない。悪い誘いに乗っかりやすいから、俺が見てないと不安で仕方ない」
ノアさんが、ボソッと俺にだけ聞こえる声で呟いた。
…なんか、分かるような気がした。
「ふーん、なるほど。この生き物、ここら辺では生息なんてしないはずだけど…どうしてここにいるんだい?」
「ぎっ!?」
後ろから声がして振り向くと、ハーデスさんが親父のことをまじまじと観察していた。
親父はびくっと肩を震わせて、俺の背後に隠れる。
「ハーデスさん?」
親父が何か言いたそうに「ぎぎっ」と鳴くが、生憎こっちには詳しい単語までは分からない。
「ああ、ごめんよ。君のペットだったかな?」
「実はこれ…俺の親父なんです。呪いをかけられて、こんな魔物に…」
「呪い、か」
ハーデスさんは興味深そうに目を細めた。
「呪いを解くには“浄化の儀式”が必要で、かなり難しいが…もっと簡単な方法もある」
「えっ? それって…」
「呪術師自身がいなくなると、効力を失う」
「???」
スタラが首をかしげる。耳もしょこんと傾いている。
「つまり、呪術師を倒すのさ」
「あー、なるほどな…って、てかすげーなあんた。医者だろ?そんな難しいことよく知ってるよな…」
「え?君は町医者?よその町と色々交流はしてたが、そんな人いたかな…?」
ラルドとスペイドさんが、代わる代わる疑問の視線を向ける。
ハーデスさんは一瞬だけ肩をすくめ、少し焦ったように笑った。
「おっと、誤解されると困るな。知り合いに“術マニア”がいましてね。確信ではないですが…そういった方法も“あるらしい”と聞いたんですよ。都合よく近くに呪術師がいれば、物理的解決も可能だとね」
「つまり…親父の呪いは、あの猫みたいなやつを倒せば…」
「ジャロのことだね」
ローザが口を挟む。
「あいつはね、結構ずる賢いの。変化の呪いを使って、自分の都合のいいものばかりを揃える。やることが子どもなのよね」
ジャロはあの中では、直接の戦闘力は低い方らしい。 けれど、厄介な能力を持つことで、全体の戦闘能力を底上げしているとか。
「あのクソガキ見てると、スタラの方がまだマシだわ」
「スタラ、わるいこちがう!」
比較されて、スタラは頬をぷくーっと膨らませて怒っている。
「弱点になるかは分からないけど…あの黄色い果物、セブンフルーツにすごい執着があるみたいでね。セブンフルーツが大好きなのよ。確かに、そのままでも甘くて美味しいから、ローザも納得だよ」
セブンフルーツっていうのは、そっちの世界でいうとバナナに近い果物だ。実ると必ず七房セットになるから、“セブンフルーツ”と呼ばれている。
「ただ、あれは南国のマリンタウンの名産品だからな。真逆の気候である、この地方とは本来無縁だ」
地理に詳しいラルドが言及する。
(ってことは、マリンタウン周辺が、あいつに狙われる可能性が高いってことか…)
「親父の呪いは、ジャロを倒せばいい。それだけ分かれば十分だ」
「?ま、まあ解決策が見えたのかな?それならばよかった」
ハーデスさんが、ほっとしたように息を吐いた。
「まあ、せっかくの縁だし、僕はここでケガした人の診察をしてあげるよ」
「ありがとうございます! スペイドさんとは、これから研究所に一緒に行くんで…ノアさんのケガを診てくれる人が来たのは、ありがたいっすねえ」
ふと見ると、ノアさんはなんだかしかめっ面をしている。気のせいかもしれないが、ハーデスさんを見て、ほんの少しだけ警戒しているようにも見えた。
(…なんか、怪しい雰囲気あるような気もするけど)
この時の俺は、特に深く考えず、その違和感を胸の隅に押し込んでしまった。
ハーデスさんとビルバさんはノアさんの診察に回ってもらい、ひと区切りのはずだったんだが。
「…なんだ、あれは」
フォレストタウンの通りに出た瞬間、スペイドさんが足を止めた。
視線の先には、町外れの畑。さっきまで雪の中で大事そうに育てられていた冬野菜の畑が…
「全部、黄色い…?」
そこには、一面のセブンフルーツ畑が広がっていた。
細長い黄色の実が、きれいに“七本セット”でずらっと並んでいる。
「ちょ、ちょっと待っておくれよ!うちのフォレストキャベツはどこ行ったんだい!?」
「俺のスノーだいこん畑が…なんでフルーツになってんだよ!」
農家たちが半泣きでセブンフルーツの房をゆさゆさ揺らしている。
揺らしたところでキャベツに戻るわけじゃないんだけど。
「ダルクさん、あれ…全部セブンフルーツですね…」
ノオが引きつった顔で言う。
「いや、どう見てもそうだよな…。ここ、南国でもなんでもないよな?」
「変なのは畑だけじゃないぞ」
ラルドが顎で別の方向をしゃくった。
武器屋と道具屋のあたりから、人のざわめきが聞こえる。
「すみませーん!さっきまでここに並んでた剣と盾はどこ行ったんですかー!?」
「オレが聞きてえよ!朝までちゃんと鉄の剣だったのに、全部セブンフルーツに変わってんだよ!」
店先の棚に並んでいるのは、見事に黄色い房ばかり。
さっきまで剣や防具やポーションがあったはずの場所が、フルーツコーナーに早変わりしていた。
「あれたたいたらなおらない?」
「つぶれるだけだ。やめとけ」
マオ先生の魔導書のことを思い出しスタラの発想は即座に切り捨てる。
「ふむ…セブンフルーツは、本来マリンタウン周辺の亜熱帯でしか育たないはずだが…」
スペイドさんが顎に手を当てる。
「真逆の気候のここで、ここまで一斉に実るのは、自然現象ではありえないな」
「ふざけたことしやがって…」
急にラルドの声が低くなる。
「おいダルク。さっき狩人の森から運んできた“船用の資材”覚えてるか?」
「ああ、あれがどうし…」
言いかけたところで、見えた。
通りの端に積んでおいたはずの木材の山。
そこにあったのは…
「…全部、セブンフルーツだ」
見事に山盛りの黄色。
どう見ても丸太のボリュームだった場所が、同じボリュームの房山になっている。こんなところで量だけ忠実に再現しなくていい。
「許さねえ…」
ラルドがぼそっと呟いた。
「俺が、せっかく、いい木選んできたってのによぉ…!誰だ、全部フルーツに変えたのはァ!!」
ぶち切れ寸前のゴースト、なかなかの迫力だ。
「ねえ、これ…」
ローザがセブンフルーツの房をひとつ持ち上げ、じっと眺める。
「どう考えても、ジャロの仕業だよ。変化の呪いで、なんでも自分の好きなものに変えちゃうの、あの子の得意技だし。さっきも言ったけど、セブンフルーツ大好きだから」
「つまり…」
俺はごくりと唾を飲んだ。
「ジャロが、この近くにいるってことか?」
「可能性は高いな。少なくとも、この町全体に手を伸ばせる距離にはいると見ていい」
スペイドさんが真剣な顔になる。
「…研究所も、やばいことになってるんじゃない?」
マジカルがぽつりと呟いた。
「雪うさぎの森の研究所には、精霊に関する資料や装置が保管されている。もしそれらが同様に“変化”させられているとしたら…損失は計り知れない」
「急がなきゃ!」
俺は顔を上げる。
「セブンフルーツの謎は、ひとまず後回しだ!雪うさぎの森の研究所に向かおう!」
こうして、フォレストタウンを襲った“セブンフルーツ騒ぎ”を背に、俺たちは雪うさぎの森へと足を踏み出した。
「おかえりー!無事連れ帰ってきたのね!」
「ぎぎっ!」
「さすがだな、ダルク君」
マジカルとスペイドさんが迎えてくれた。魔物になった親父も一緒だ。
「ダルク、よくやった。感謝する」
「ビルバさんは、この通り無事だったっすよ…」
「ノワール! こっちにいたと思ったら…どうしたんだい、その怪我!?」
ビルバさんは、俺を押しのける勢いでノアさんのところへ駆け寄った。
これが母親ってやつか…。
俺の母は、俺が生まれた時に亡くなった。
だから、俺はほとんど親父一人に育てられたようなもんだ。
「あ、いやこれは…ジールを助けた時に…」
「前回は全身の骨折ってたと思ったら、今度は切断!?お前は本当に無茶をして!」
ノアさんは言葉を濁している。
おい待て。それ、しょっちゅう俺が想像できないような恐ろしい事故を任務中にしてるってことかよ。
「親父、ノアさんって、やばい大怪我するのは今回が初めてじゃなかったの?」
「ぎぃ…」
親父は「そういやそうだな…」と言いたげに、冷や汗を流していた。
確かに、日頃から人外じみた怪力だし、前日骨折ってたのに次の日には普通に任務に出てることもあった。
恐ろしく頑丈な身体なのは、俺も正直羨ましかったが…いや、本当にどうなってんだ?
(ノアさん、本当に人?…って思っちまったけど、さすがに失礼か。見た目はどう見ても魔物じゃねえしな)
『まーまー、お袋さん。ノアも無我夢中やったんや。多少の無茶は大目に見たってや』
「あら? 今のは?」
『ノアを助けたネーロでーす』
触腕が手を振っている。もう一つはビルバさんへ握手を求めていた。
「まあ、どこの誰かは存じ上げませんが、ノワールのこと助けてくれてありがとうねえ」
さっきまでノアさんを叱っていたと思ったら、ネーロにはすぐ感謝。触腕と握手をする。
なんというか、めちゃくちゃ飲み込みが早い。すごくお人好しで、誰に対しても友好的に接する性格は、こういうところでは本当に強い。
「母さんはあの通り、どう見ても怪しいネーロにすら警戒しない。悪い誘いに乗っかりやすいから、俺が見てないと不安で仕方ない」
ノアさんが、ボソッと俺にだけ聞こえる声で呟いた。
…なんか、分かるような気がした。
「ふーん、なるほど。この生き物、ここら辺では生息なんてしないはずだけど…どうしてここにいるんだい?」
「ぎっ!?」
後ろから声がして振り向くと、ハーデスさんが親父のことをまじまじと観察していた。
親父はびくっと肩を震わせて、俺の背後に隠れる。
「ハーデスさん?」
親父が何か言いたそうに「ぎぎっ」と鳴くが、生憎こっちには詳しい単語までは分からない。
「ああ、ごめんよ。君のペットだったかな?」
「実はこれ…俺の親父なんです。呪いをかけられて、こんな魔物に…」
「呪い、か」
ハーデスさんは興味深そうに目を細めた。
「呪いを解くには“浄化の儀式”が必要で、かなり難しいが…もっと簡単な方法もある」
「えっ? それって…」
「呪術師自身がいなくなると、効力を失う」
「???」
スタラが首をかしげる。耳もしょこんと傾いている。
「つまり、呪術師を倒すのさ」
「あー、なるほどな…って、てかすげーなあんた。医者だろ?そんな難しいことよく知ってるよな…」
「え?君は町医者?よその町と色々交流はしてたが、そんな人いたかな…?」
ラルドとスペイドさんが、代わる代わる疑問の視線を向ける。
ハーデスさんは一瞬だけ肩をすくめ、少し焦ったように笑った。
「おっと、誤解されると困るな。知り合いに“術マニア”がいましてね。確信ではないですが…そういった方法も“あるらしい”と聞いたんですよ。都合よく近くに呪術師がいれば、物理的解決も可能だとね」
「つまり…親父の呪いは、あの猫みたいなやつを倒せば…」
「ジャロのことだね」
ローザが口を挟む。
「あいつはね、結構ずる賢いの。変化の呪いを使って、自分の都合のいいものばかりを揃える。やることが子どもなのよね」
ジャロはあの中では、直接の戦闘力は低い方らしい。 けれど、厄介な能力を持つことで、全体の戦闘能力を底上げしているとか。
「あのクソガキ見てると、スタラの方がまだマシだわ」
「スタラ、わるいこちがう!」
比較されて、スタラは頬をぷくーっと膨らませて怒っている。
「弱点になるかは分からないけど…あの黄色い果物、セブンフルーツにすごい執着があるみたいでね。セブンフルーツが大好きなのよ。確かに、そのままでも甘くて美味しいから、ローザも納得だよ」
セブンフルーツっていうのは、そっちの世界でいうとバナナに近い果物だ。実ると必ず七房セットになるから、“セブンフルーツ”と呼ばれている。
「ただ、あれは南国のマリンタウンの名産品だからな。真逆の気候である、この地方とは本来無縁だ」
地理に詳しいラルドが言及する。
(ってことは、マリンタウン周辺が、あいつに狙われる可能性が高いってことか…)
「親父の呪いは、ジャロを倒せばいい。それだけ分かれば十分だ」
「?ま、まあ解決策が見えたのかな?それならばよかった」
ハーデスさんが、ほっとしたように息を吐いた。
「まあ、せっかくの縁だし、僕はここでケガした人の診察をしてあげるよ」
「ありがとうございます! スペイドさんとは、これから研究所に一緒に行くんで…ノアさんのケガを診てくれる人が来たのは、ありがたいっすねえ」
ふと見ると、ノアさんはなんだかしかめっ面をしている。気のせいかもしれないが、ハーデスさんを見て、ほんの少しだけ警戒しているようにも見えた。
(…なんか、怪しい雰囲気あるような気もするけど)
この時の俺は、特に深く考えず、その違和感を胸の隅に押し込んでしまった。
ハーデスさんとビルバさんはノアさんの診察に回ってもらい、ひと区切りのはずだったんだが。
「…なんだ、あれは」
フォレストタウンの通りに出た瞬間、スペイドさんが足を止めた。
視線の先には、町外れの畑。さっきまで雪の中で大事そうに育てられていた冬野菜の畑が…
「全部、黄色い…?」
そこには、一面のセブンフルーツ畑が広がっていた。
細長い黄色の実が、きれいに“七本セット”でずらっと並んでいる。
「ちょ、ちょっと待っておくれよ!うちのフォレストキャベツはどこ行ったんだい!?」
「俺のスノーだいこん畑が…なんでフルーツになってんだよ!」
農家たちが半泣きでセブンフルーツの房をゆさゆさ揺らしている。
揺らしたところでキャベツに戻るわけじゃないんだけど。
「ダルクさん、あれ…全部セブンフルーツですね…」
ノオが引きつった顔で言う。
「いや、どう見てもそうだよな…。ここ、南国でもなんでもないよな?」
「変なのは畑だけじゃないぞ」
ラルドが顎で別の方向をしゃくった。
武器屋と道具屋のあたりから、人のざわめきが聞こえる。
「すみませーん!さっきまでここに並んでた剣と盾はどこ行ったんですかー!?」
「オレが聞きてえよ!朝までちゃんと鉄の剣だったのに、全部セブンフルーツに変わってんだよ!」
店先の棚に並んでいるのは、見事に黄色い房ばかり。
さっきまで剣や防具やポーションがあったはずの場所が、フルーツコーナーに早変わりしていた。
「あれたたいたらなおらない?」
「つぶれるだけだ。やめとけ」
マオ先生の魔導書のことを思い出しスタラの発想は即座に切り捨てる。
「ふむ…セブンフルーツは、本来マリンタウン周辺の亜熱帯でしか育たないはずだが…」
スペイドさんが顎に手を当てる。
「真逆の気候のここで、ここまで一斉に実るのは、自然現象ではありえないな」
「ふざけたことしやがって…」
急にラルドの声が低くなる。
「おいダルク。さっき狩人の森から運んできた“船用の資材”覚えてるか?」
「ああ、あれがどうし…」
言いかけたところで、見えた。
通りの端に積んでおいたはずの木材の山。
そこにあったのは…
「…全部、セブンフルーツだ」
見事に山盛りの黄色。
どう見ても丸太のボリュームだった場所が、同じボリュームの房山になっている。こんなところで量だけ忠実に再現しなくていい。
「許さねえ…」
ラルドがぼそっと呟いた。
「俺が、せっかく、いい木選んできたってのによぉ…!誰だ、全部フルーツに変えたのはァ!!」
ぶち切れ寸前のゴースト、なかなかの迫力だ。
「ねえ、これ…」
ローザがセブンフルーツの房をひとつ持ち上げ、じっと眺める。
「どう考えても、ジャロの仕業だよ。変化の呪いで、なんでも自分の好きなものに変えちゃうの、あの子の得意技だし。さっきも言ったけど、セブンフルーツ大好きだから」
「つまり…」
俺はごくりと唾を飲んだ。
「ジャロが、この近くにいるってことか?」
「可能性は高いな。少なくとも、この町全体に手を伸ばせる距離にはいると見ていい」
スペイドさんが真剣な顔になる。
「…研究所も、やばいことになってるんじゃない?」
マジカルがぽつりと呟いた。
「雪うさぎの森の研究所には、精霊に関する資料や装置が保管されている。もしそれらが同様に“変化”させられているとしたら…損失は計り知れない」
「急がなきゃ!」
俺は顔を上げる。
「セブンフルーツの謎は、ひとまず後回しだ!雪うさぎの森の研究所に向かおう!」
こうして、フォレストタウンを襲った“セブンフルーツ騒ぎ”を背に、俺たちは雪うさぎの森へと足を踏み出した。
