2章
ダルク視点
「それじゃ、やることが分かったようだから、各自行動を始めようか」
マオ先生がそう締めくくると、自然とお開きムードになった。
スペイドさんと先生は、これからの段取りを詰めるため、もう一度話し合いに向かって部屋を後にする。
ノオとローザは、テーブルの片付けを始めていた。
「ダルク、博士の研究所に行く前に、一つ頼みがある」
俺も二人を手伝おうかと思って腰を浮かせたところで、ノアさんに声をかけられた。
「どしたんすか?」
「マジカルタウンが閉鎖されたにあたり…俺の家にいる母、ビルバが取り残されてるかもしれない。悪いが、俺の代わりに迎えに行ってくれないだろうか?」
「あ、そういえば…あそこ、今“危ないエリア”になっちゃってましたっけ」
ノアさんの家は、マジカルタウンからフォレストタウンの間にある“狩人の森”の中。
母親のビルバさんは、森に訪れるハンター向けに民宿を営んでいる。生息している魔物も、比較的弱い部類が多く、初級ハンターにはちょうどいい練習場ってわけだ。
「本当は、俺が行きたいところだが…」
『そんな姿じゃ、お袋さんひっくり返ってしまうで!』
ネーロの触腕が、ロープのように伸びてきて、ノアさんの上半身をぐるぐる巻きにした。
「…この通り、強制的に止められている」
ノアさんが肩をすくめる。
ネーロがいるとはいえ、早いところ完治させてもらいたいところだ。親父もノアさんも戦えないとなると戦えるのは、俺。
「狩人の森なら、俺でも大丈夫っすよ。じゃあ早速」
「待て待て。一人で行く気か?俺も行かせてもらおうか」
ラルドがひょいと割り込んでくる。
「まあ、ほかにも船の素材を集めたいしな。狩人の森の木は扱いやすいし」
「ねー、スタラも行っていい?」
話を聞いていたのか、スタラが部屋の扉からひょこっと顔を出した。
「お前、まだ子どもだろ…?」
「スタラだってたたかえるぞー! マジカルロードでちゃんとまほうできたもん!」
「いいんじゃないか? ダルクにとっては、扱いやすいパートナー魔物だろ」
ノアさんが笑う。魔物ハンターといっても、パートナー魔物を連れている人もいる。魔物の中には、お供みたいな立ち位置で行動する種族だっているのだ。
「…わかった。あと一人いれば、もっと心強いかな」
「ならジールが適任だろ…む?」
辺りを見回すが、ジールさんの姿がない。
ノアさんを残してどこかへ行くなんて、珍しい。
「どこに行った?」
「話し合ってる時はいたよな?」
「…」
深く考えていると…
『ノオの姉ちゃんに頼めば、引き受けてくれるんちゃうかな』
ネーロが提案する。
「ノオ? だけど危険に晒すわけには」
『俺には分かるで。あの子、魔法の素質はかなりある。ダルクには心強い味方になるはずや。だよな、ノオ?』
どうやら、壁越しに聞いていたらしい。ネーロにばっちりバレていた。
「あ、あわわ…」
ノオが、戸口の影で小さくあたふたしている。
「そういや…確かヒーラー試験で上位の成績を修めてたな。なら、回復役がいないダルクには安心材料になるだろう。ジールがいない中で悪いが、ダルクの手伝いをしてくれないか?」
「りょ、了解です…!」
ノオの顔がぱっと明るくなる。
…なんか、やたらうれしそうだ。
え? なんでだ?
『そういうこっちゃね』
ネーロは終始ニヤニヤしている気配だった。
『あとは、カンコンソーサイに出くわした時のために、ローザも一緒に行動せぇや。俺の方は大丈夫。護身程度なら、これくらいは抵抗できる』
そう言うやいなや、ノアさんの体から飛び出していた触腕の先端から、ノコギリみたいな刃がジャキンっと生えてきた。
「うおっ!? ちょっ…!」
突然の刃物に、思わず全員ビビった。
とりあえず、頭の中を整理する。
ノアさんの母・ビルバさんを迎えに行くメンバーは、
俺、スタラ、ラルド、ノオ、そしてローザ、の五人ってことになった。
まずはフォレストタウンで道具や武器、防具を整えてから狩人の森へ向かうとしよう。
「それじゃ、やることが分かったようだから、各自行動を始めようか」
マオ先生がそう締めくくると、自然とお開きムードになった。
スペイドさんと先生は、これからの段取りを詰めるため、もう一度話し合いに向かって部屋を後にする。
ノオとローザは、テーブルの片付けを始めていた。
「ダルク、博士の研究所に行く前に、一つ頼みがある」
俺も二人を手伝おうかと思って腰を浮かせたところで、ノアさんに声をかけられた。
「どしたんすか?」
「マジカルタウンが閉鎖されたにあたり…俺の家にいる母、ビルバが取り残されてるかもしれない。悪いが、俺の代わりに迎えに行ってくれないだろうか?」
「あ、そういえば…あそこ、今“危ないエリア”になっちゃってましたっけ」
ノアさんの家は、マジカルタウンからフォレストタウンの間にある“狩人の森”の中。
母親のビルバさんは、森に訪れるハンター向けに民宿を営んでいる。生息している魔物も、比較的弱い部類が多く、初級ハンターにはちょうどいい練習場ってわけだ。
「本当は、俺が行きたいところだが…」
『そんな姿じゃ、お袋さんひっくり返ってしまうで!』
ネーロの触腕が、ロープのように伸びてきて、ノアさんの上半身をぐるぐる巻きにした。
「…この通り、強制的に止められている」
ノアさんが肩をすくめる。
ネーロがいるとはいえ、早いところ完治させてもらいたいところだ。親父もノアさんも戦えないとなると戦えるのは、俺。
「狩人の森なら、俺でも大丈夫っすよ。じゃあ早速」
「待て待て。一人で行く気か?俺も行かせてもらおうか」
ラルドがひょいと割り込んでくる。
「まあ、ほかにも船の素材を集めたいしな。狩人の森の木は扱いやすいし」
「ねー、スタラも行っていい?」
話を聞いていたのか、スタラが部屋の扉からひょこっと顔を出した。
「お前、まだ子どもだろ…?」
「スタラだってたたかえるぞー! マジカルロードでちゃんとまほうできたもん!」
「いいんじゃないか? ダルクにとっては、扱いやすいパートナー魔物だろ」
ノアさんが笑う。魔物ハンターといっても、パートナー魔物を連れている人もいる。魔物の中には、お供みたいな立ち位置で行動する種族だっているのだ。
「…わかった。あと一人いれば、もっと心強いかな」
「ならジールが適任だろ…む?」
辺りを見回すが、ジールさんの姿がない。
ノアさんを残してどこかへ行くなんて、珍しい。
「どこに行った?」
「話し合ってる時はいたよな?」
「…」
深く考えていると…
『ノオの姉ちゃんに頼めば、引き受けてくれるんちゃうかな』
ネーロが提案する。
「ノオ? だけど危険に晒すわけには」
『俺には分かるで。あの子、魔法の素質はかなりある。ダルクには心強い味方になるはずや。だよな、ノオ?』
どうやら、壁越しに聞いていたらしい。ネーロにばっちりバレていた。
「あ、あわわ…」
ノオが、戸口の影で小さくあたふたしている。
「そういや…確かヒーラー試験で上位の成績を修めてたな。なら、回復役がいないダルクには安心材料になるだろう。ジールがいない中で悪いが、ダルクの手伝いをしてくれないか?」
「りょ、了解です…!」
ノオの顔がぱっと明るくなる。
…なんか、やたらうれしそうだ。
え? なんでだ?
『そういうこっちゃね』
ネーロは終始ニヤニヤしている気配だった。
『あとは、カンコンソーサイに出くわした時のために、ローザも一緒に行動せぇや。俺の方は大丈夫。護身程度なら、これくらいは抵抗できる』
そう言うやいなや、ノアさんの体から飛び出していた触腕の先端から、ノコギリみたいな刃がジャキンっと生えてきた。
「うおっ!? ちょっ…!」
突然の刃物に、思わず全員ビビった。
とりあえず、頭の中を整理する。
ノアさんの母・ビルバさんを迎えに行くメンバーは、
俺、スタラ、ラルド、ノオ、そしてローザ、の五人ってことになった。
まずはフォレストタウンで道具や武器、防具を整えてから狩人の森へ向かうとしよう。
