1章

ダルクがマジカルロードを攻略している間の話


魔道世界の職業として悪さをする魔物討伐を専門とする魔物ハンターというものがある。
マジカルタウンの魔法学校と討伐ギルドは同じ施設にある。
魔法学校卒業後は魔導士を目指すものとハンターになるものの二極化が多い。魔物への護身術を学ぶためにもこの方が都合いいからである。

「ノワール、お前頑張ったな。この前の巨大魔物を一人で討伐したのがでかく評価されてる。この調子でいけよ」
「ありがとうございます。」
今日は報告日。魔物ハンターは討伐した魔物の種類によって報酬が変わり、毎月上位はさらに豪華な報酬が上乗せされる。今回はかなり調子が良かった。
「この調子でいけば将来このギルドマスターの座はノワール、お前のものになりそうだな。こりゃ跡継ぎも決まったもんだな。」
「俺はまだ入って数年ですよ。師匠にはまだ及びません。」
ギルドマスターのクロノス。彼は俺の師である。
両親は悪魔族との戦争で亡くなったと言われ孤児の時は親代わりになってくれた。彼の息子ダルクも俺を本物の兄のように慕ってくれた。
魔物ハンターになってから別れていた母親が見つかったことで師匠の家から独立することになった。
だが師弟関係は今も残っている。
ちなみにだが師匠には勝ったことがない。いつも最後の最後で負けてしまう。
今まで手合わせした回数はかなり多いんだがな。
「はっはっは。いつ依頼が入ってくるかもわかんないから休息するなら今のうちだぜ。酒場に先に行ってこい。俺もあとで合流するからな。」
金の入った袋を受け取り俺はギルドを後にした。

「よー。ノア。」
俺はノアと呼ばれていることが多い。
ノワールは本名だが呼んでくれるのは師匠や師匠の同僚のマオさんくらいだ。
ギルドを出る途中に声をかけられたのは…同期二人。こいつらはいろいろと面倒な連中だ。
「今日も上位ランカーになっていたようだな?」
「何の用だ。」
「あの依頼は俺たちが紹介したも同然だろ?」
何を言うか。面倒くさいからって俺に押し付けたんだろ。
「だからよ、紹介料ってものをもらわねえとな?」
「そうだなー。3割でいいぜ。」
面倒なものを俺に押し付けてはこうやって報酬を横取りしてくる。俺は何も言わないからかいいカモらしい。スルーしようと思ったが…
「おーい無視すんなよな。」
前に立ちはだかる。しつこい。早いとこ酒場に行きたいのに邪魔をしてくるからさすがに俺もキレそうになる。
「そんなに金が欲しいなら自分の手で討伐しにいけ。」
「あ?なんだとてめえ?」
「俺達にケンカ売るなんていい度胸だな。その詫びで報酬全部よこせよ。」
ギルドでは内乱はご法度と言われてるが…こいつらなら仕方ない。軽く足を折ってしばらく病院送りで済ませてやろう。
 
「やめな!あんた達!」
 
背後から女性の声がする。
「げっ、ジールだ!」
「厄介になる前に逃げるぞ!」
同僚らは一目散に逃げていった。
「危なかったね。ノア、あんたまたカツアゲされかけてたじゃん。」
「問題ない、腕や足の骨一本折っておとなしくさせようとしてたとこだ。」
「しれっと問題起こそうとしないでよね。見張ってないと何かとやらかしそうだもの。」
ジールは幼馴染だ。俺の方が二つくらい上だが、性格的にジールの方が年上にみられるだろう。
マオさんの妹で家を空けがちにしてたからダルクと一緒に遊んでいた。
成人してからは探検家を目指しては今勉強に励んでいる。
「これから酒場に行くんでしょ?ついていってもいい?」
「いいけど飯は自分の分くらいは自分で出せ。」
「飲み物位いいでしょー。今日はなんのスイーツ食べるつもり?」
さっきの同僚といい俺のことが気に食わない連中がいる。ジールがいるだけでも心強い。

酒場
「やあノアとジール。今日はダルクは一緒じゃないのかい?」
酒場のオーナーは好く通うからか常連としてふるまってくれる。
「ダルクのことだからスタラ連れて遊びに来そうね。」
「その内来ると思う。」
「そうかい。じゃあ何にするかい?」
「アタシは紅茶で。」
「いつもの。」
「あいよ。ちょっと待っててくれよ。」
この酒場は最近オーナーがはやりを取り入れてるのか、レストランやカフェのように軽食や菓子も提供するようになった。俺はその中でも気に入ってるものがある。
先にジールの飲み物が来た。
「お前の家は揃って紅茶が好きだな。」
「そうだね。兄さんが特にお茶が好きなんだ。紅茶のお菓子とかは気に入る。ステラはまだ苦いからそんなに気に入ってないけどね。」
「ステラはまだガキだろ。」
「そろそろ魔法学校に通える年ごろだろ思うよ。」
ステラはジールの家にいる猫娘。スタラと同族らしいが違いは尻尾が一つ。
「おまたせ。いつものだよ。」
この酒場で食べているものはスターベリーパフェだ。
「ほんと好きだね。いいことがあるたびに注文してるの知ってるんだよ。」
「何食おうが別にいいだろ。」
一口食べようとした途端…


 
ズドオオオオオオオン




 
近くに何がが衝突したのか?
突然地響きがなる。
「うわ、な、なに!?」
「近くで何かが落ちたか?」
ジールは揺れたことに動揺している。
「う、うわわ何事!?」
「魔物の襲撃!?」
酒場に居合わせてた客も突然のことにパニックを起こしている。
『緊急事態発生!緊急事態発生!』
『ハンターは至急対応せよ!!』
ギルドからサイレンが響いた。
「うそ、いきなり襲撃!?」
「嫌な予感がする。ジールお前はここにいろ。」
パフェを手放すことになるが致し方ない。
「あ、待ってアタシも行く!」
酒場を出たとたん、愕然とした。


なぜなら、すでに街は火の海を化していたからだ。

「な…もう火の手が近い…どういうことだ…」
「兄さんとステラ、クロノスさんは大丈夫かしら…」
あちこちから悲鳴が響く。巨大な魔物が家を破壊しているようだ。
「考えてる暇はない。とにかく人命救助が先だ。」
「そ、そうね。」
俺は格闘用グローブ、ジールは愛用の拳銃を構え魔物へ突っ込んでいく。
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