-
Mamoru.Y
馨
テレビ越しでもわかるあの棒球はなんだ -
Mamoru.Y
いつものお前らしくない
-
かおる
今日はそういう日だっただけなんで
兄さんに心配されるほどじゃないです -
Mamoru.Y
それに、構えたところに投げられてなかったじゃないか
調子を下げているのか? -
かおる
そうかもしれません
-
Mamoru.Y
駄目なら駄目なりにまとめられるようにならないとな
-
かおる
はい
-
かおる
それだけですか
-
Mamoru.Y
本当にお前、よそよそしくなったな
-
かおる
僕の立場を考えただけです
-
Mamoru.Y
お袋に何か吹き込まれたか
-
かおる
そんなところです
-
Mamoru.Y
お袋が何を言ったか知らんが
-
Mamoru.Y
間違っても俺の夢を奪ったとか思うんじゃないぞ
-
Mamoru.Y
お前には他人の目に留まる輝きがあって、俺にはそれがなかった、それだけのことだ
-
かおる
兄さんは本当にいつも完璧ですよね
-
Mamoru.Y
どこがだ
-
Mamoru.Y
これははっきり言っておくが
俺はお前のことは大切で自慢の弟だと思っているからな -
かおる
兄さん
-
Mamoru.Y
どうした
-
かおる
小さい頃はすごく羨ましがられたけど、この家に生まれるのってそんなにいいもんじゃないですね
-
Mamoru.Y
……同感だ
-
Mamoru.Y
特にお前には親父とお袋のせいで苦労をかけてすまない
-
かおる
いや、それは兄さんのせいじゃないですから
-
かおる
いっそ勘当してくれたら楽なのになぁとは思います
-
Mamoru.Y
しないだろうな、あの二人は面子が大事だから
今のお前は切り捨てるにはデカくなりすぎた -
かおる
あの人たちから早く離れたくて志望届出したの、もしかしなくても失敗でしたよね……
-
Mamoru.Y
結果的にはな
-
Mamoru.Y
ただ、大学に行ったらいったでまた親父たちの指図を受けることにはなっただろうな
-
Mamoru.Y
それを思えばそっちの方が正しかったんじゃないか?
少なくとも指図を受けることはないし、周りも野球バカだらけでお前に距離を置いたりはしないだろうしな -
かおる
……それは確かに
-
Mamoru.Y
それに、お前がその道に行かなかったら、彼女との交際を親父たちが認めるはずがない
-
Mamoru.Y
お前は確かに自分の最良の道を掴み取ったんだよ、馨
胸を張っていい -
かおる
兄さん……
-
かおる
ありがとうございます
-
Mamoru.Y
お前は俺の自慢の弟なんだ
こう言うと重荷になるかもしれないが
俺の夢をお前に託させてくれ -
Mamoru.Y
俺はいつか『柳生馨の兄』と呼ばれるようになる日を楽しみにしているんだ
-
かおる
兄さんだって、僕にとってはずっと自慢の兄ですから
-
かおる
今度初勝利のウイニングボール、送りますね
兄さんに持っててもらいたいんです -
Mamoru.Y
ありがとう
楽しみにしてるよ
タップで続きを読む