アニメもんた様から頂きました
「ハァ、ハッ、ハァ……」
ザザザザ…と生い茂った草が揺れる音と共に森を走り抜ける一人の少年。
その少年は頭や足、腹から夥しい位の量の血を流している。
「油断したね…まさかイリーナに負けるなんて思ってもいなかったよ」
彼の名はシアン=ズヴェズダ。
エヴィオリス三大魔道士と呼ばれるほどの強大な魔力を持つ魔道士だ。
シアンはエルルカ、グーミリアと共にイリーナに襲われ…戦ったが
油断してやられてしまい今に至る。
「ッ…(ヤバイ、目が…霞んで…)」
体力の限界が来たのだろう、目が段々霞んで来た。足の傷はもう治ったが腹と頭の傷はまだ治らない。飛んだほうが早いのだが、そんな体力もない。
シアンは力を振り絞り、鎌を杖代わりにして歩く。
そして森を抜け、トンネルをくぐるとシアンは力尽きて倒れてしまった。
……
その頃、ファンシフルワールドでは
叶と願が元の世界へ帰ろうとしていた。
「明日はテストがあるから、予習してから寝ましょう」
「うう、テスト…」
「嫌な顔しな………?」
テストと聞き嫌な顔をする願。
トリップトンネルの近くへ来た叶は
その近くに血を流し倒れているシアンの姿を見つけ、目を見開いた。
「!ちょっと!貴方、大丈夫!?しっかり!」
「叶、どうし……!どうしたの!その人!」
「倒れていたのよ…酷い怪我だわ。どこか、治療できる所は…」
「どうしたんだい、願に叶」
「!ベルくん!」
叶は倒れているシアンを、服に血がつくのにも構わず抱き起こす。
どこか治療できる所はないかと探しているとベルがやって来た。
「こんな所で何を…!?その人は!」
「怪我してるの!!どうしよう、ベルくん…」
「…とりあえず、僕の所で治療しよう。」
ベルはシアンの体を抱き抱えて歩き出した。
願と叶もそれについていった。