みのむし様から頂きました

【誘われたお茶会】


 日が傾き始め、外も薄暗くなってきた夕暮れ時のこと。

 ESA本部から与えられたクエストを終え、ようやく帰還した由太(ゆうた)は、自室に戻ろうとしていた。先ほどまで、もみくちゃと仲間に弄られたせいか、ずいぶんとぐったりしている。

「はぁ、疲れた…さっさと部屋に戻っ…?」

 廊下を歩いていると、ふと、甘い匂いがした。疲れがたまっているせいか、判断が鈍くなってるのだろう。容易に甘い匂いを頼りに、足を運んでいた。

 そうして、たどり着いたのは、厨房の部屋。明かりがついているあたり、誰かがいるのだろう。ちらっと中の様子をうかがえば、幼馴染みの姿がそこにいた。

「……あれ? 何してんだ、優奈」

「! なんだ、由太だったのね。ふふっ、びっくりした」

 いきなり声をかけた由太に、優奈(ゆうな)は、びっくりしたように肩を震わせる。が、由太の姿を見たとたん、ほっと案内したように笑みをこぼした。
 由太ははっとして、申し訳なさそうに頭をかく。

「あぁ、悪い。驚かせるつもりは…」

「ううん。こっちもびっくりしゃってごめんね。もしかして、今クエスト終わったの?」

「おぅ。ついさっき」

 優奈は「そっか、お疲れさま」と優しい眼差しを向ける。そういえば、優奈とこうして話すのは久々な気がするな、と由太は思った。

 一応、クエストでは優奈と顔をあわせるときもある。だが、任務がグループ別だったり、他の誰かと一緒だったり、色々とタイミングが悪かったりで、話す機会を逃してばかりだったのだ。

 今思えば、前より会話が少なかったなぁ、と由太はぼんやりと考えていると、

「なら、ちょうど良かった。さっきまで、これ、作ってたの」

 優奈が差し出してくれたのは、星やハート、様々な動物の形をした、可愛らしいクッキー。甘い匂いの正体はこれだったか、と由太が納得していると、優奈が声をかけてくる。

「由太も食べてみる?」

「え? いいのか?」

「うん。上手くいったからつい、作りすぎちゃって…味見してもらえると、嬉しいなぁ、なんて」

「お、おぉ。じゃあ、いただきます」

 そう言ってはにかむ優奈に、由太はドキッとする。照れくささを隠すように、クッキーを一つ手に取り、口に入れた。サクッとしたあとで、ほどよい甘味が、口の中で緩やかに広がっていく。

「どう? 美味しい?」

「ん、美味い。…あれ、なんでだろう。なんか、涙が出てきた…」

 由太はクエスト帰りの出来事を思い出し、目頭を押さえる。優奈は困り気味なって言った。

「そ、そこまで? 私、そんな大袈裟なことしてないよ」

「いや、クエスト終わったあとの罰ゲームでなぁ…」

「罰ゲーム…?」

 しみじみと呟く由太に、優奈ははっとしたような顔をする。そっと由太から視線をそらし、「もしかして…」と呟く。

「…この前、ニワくんたちが生き生きと話してた遊びって…」

「ん? 優奈、何か知ってるのか?」

「う、ううん、何でもない。…あ、クッキーもう一枚食べる? 紅茶も用意してあげるね」

「お、おう、ありがとう」

 優奈のこぼしかけた内容に、由太は首をかしげたが、優奈は特に気にした様子でもないので、由太も気にしないことにしておく。

 にしても、だいぶ疲れがたまっているのだろうか。優奈の出してくれた紅茶からも、ふわっと良い香りがしたのだった。

(了)


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企画小説を応募し、由太と優奈ちゃんのほのぼのとしたお話を書いて下さいました!!!!ありがとうございます!!ありがとうございます!!!
えへへ、実は主人公×ヒロインのほのぼのとしたお話をリクエストしたんです!!!

いやー、本当に癒されました~(*´艸`*)
優奈ちゃんのクッキーを食べ、紅茶を飲んで、優奈ちゃんと話ながら癒される由太が目に浮かんだ(笑)
取り敢えず、由太お疲れ様!!!
お前の癒しは優奈ちゃんだな(笑)

さて、この度は100hitおめでとうございます!!!
これからも応援しています!!!
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