迦楼羅先生×寂雷先生
迦楼羅の双子の弟の名前は阿修羅(あすら)で、その阿修羅の伴侶である男性(45歳)の名は玻璃(はり)という。
出会いは、まだ迦楼羅と阿修羅が施設にいた頃。
実は玻璃も、施設育ちなのだ。
玻璃は、施設のみんなが迦楼羅と阿修羅の違いが分からない中で唯一、その「違い」が分かり、そして阿修羅のことが好きになり、その当時から付き合っていた。
そんな玻璃から、ある日、迦楼羅のスマートフォンに連絡が着た。
なんでも、寂雷と「お話」したいとか。
…
「寂雷は〜ん、お待たせしてもうたねぇ。」
寂雷は迦楼羅と共に巫が代々継いでいる神社、つまり迦楼羅の実家へとやって来て、離れの縁側で玻璃を待っていた。
そこにやって来た玻璃の格好なのだが、ハスキーな低音に、まさかのゴシック・アンド・ロリータな服装とメイクに寂雷の目が「点」になる。
スレンダーで、寂雷ほどではないにしろ高身長な部類に入る玻璃だが、まあ、これがよく似合っているのだ。
「これ、玻璃の私服だから、気にするこたぁないよ。」
迦楼羅が、フォローする。
「んふふ、驚かせてしまうんは分かっとったけど、折角の寂雷はんとの『デート』やで、めちゃんこかわええのにしたかったんよ。……やっぱ、引いてもうた?」
ちなみに寂雷の私服は、迦楼羅のファッションセンスにてワンオフショルダーのトップスに、ハイウェストのデニム、それからヌーディーサンダルである。
それからいつも流してあるライトグレーとライトパープルの長髪は、迦楼羅が後ろでフィッシュボーンにした。
「いいえ、その、とてもお似合いなので、言葉が見つからず……。」
「ふふっ、おおきに。兄さん、阿修羅のこと、お願いしますねぇ。」
「おーう、多分ものの5分足らずで『玻璃不足』になるだろうけどな。ま、俺も『寂雷ちゃん不足』になりかかってるけどよ。」
「かっ!迦楼羅さんっ?!」
ボフンと赤くなる寂雷に、ふふふっとお淑やかに笑う玻璃。
「ゆーて、神社近くのカフェやで、お知り合いさんやし、大丈夫や思いますよって。」
「可愛い可愛い伴侶を持つと心配しちまうのが夫ってモンさね。」
「寂雷はん、兄さんからちゃあんと愛されとるねぇ。」
「はっ、はぃ……。」
とここで、ドタドタ──ッと存在感のある足音が近づいてくる。
「玻璃っ!」
「んぅっ。」
血相を変えて現れた宮司の阿修羅(ちなみに迦楼羅とは髪の長さが違うだけで似たような背格好である)が、真っ先に玻璃を抱き締めて、なんとなんと、迦楼羅と寂雷の前でフレンチキスをし始めた。
「はっ、わっ……!」
寂雷は思わず両手で顔を覆い隠すが、つい、指の隙間からその様子を観察してしまう。
迦楼羅は、平然としている。
「──はぷっ……もう、兄さんと寂雷はんおるんよ?」
「寂雷さん、申し訳ない。玻璃と離れるのは中々無いので、つい『玻璃不足』が発動してしまった。見苦しいものをお見せしたことを、お詫びします。」
迦楼羅の低音とは少し違う、地を響かせるような低音で、しかしながら玻璃を離さんとばかりに肩を抱き寄せている阿修羅。
「ぃっ、いいっ、ぇ、あ、あのっ、ラブラブ、ですね……っ!」
「ガキん頃からこうでなぁ。俺はもう、見慣れたどころじゃねえんだわ。つーか阿修羅、5分は耐えれたんだなぁ。流石にジジイになったおかげか?」
「俺は兄貴ほど『大人』にはなれんさ。」
「たははぁ、俺もなんだかんだで今すぐ寂雷ちゃんにキスしてえんだぜ?」
「ふぇっ?!」
「んふふっ、寂雷はん、かいらしわぁ。ほなら阿修羅、行ってきますのチュー。」
今度は、玻璃から阿修羅へフレンチキスをした。
「──ん、何かある前に連絡するんだぞ。」
「はぁい。」
「寂雷ちゃんも、自分で対処しようとするんじゃねえよ?『変な羽虫』が出てきたら、速攻でTELするように。」
「は、はぃ……。」
…
寂雷の美しいスタイルに、玻璃のゴシック・アンド・ロリータな姿に、シンジュクの人々は二度見、三度見をする。
やって来たのは、神社から徒歩5分ほどの純喫茶。
寂雷は、おや?と思った。
何せ此処は──。
「夜叉は〜ん。」
「んだぁ玻璃ちゃん、阿修羅と一緒じゃねえって、喧嘩したんか?」
以前、それこそまだ迦楼羅と交際する前に訪れたお店だったのだ。
「やぁ、今日は寂雷はんと『デート』なんよ。」
玻璃は、寂雷の右腕に腕を絡ませる。
ジ……と見られる寂雷は、気まずそうに目を泳がせる。
「嗚呼!迦楼羅が連れてきた『お姫様』じゃねえか!」
「あら、もうお知り合いやったん?」
「おーう、迦楼羅が片腕で抱っこして店に来てよ──俺ぁ、夜叉。初(はじめ)夜叉(やしゃ)ってんだ。これ名刺なー──あ、んじゃ、迦楼羅が施設育ちなのも知ったんだな?」
「はっ、はいっ。」
「俺もおんなじ施設育ちでよ、んま、訛りあっけど、これ育ててくれた親から移っちまってな。」
「ふふふっ、実は俺もなんよねぇ。」
寂雷は、成程……と呟く。
育ててくれた親への、リスペクト、というのを感じたのだ。
「奥のボックス席で構わんか?」
「寂雷はん、かまへん?」
「はい、お邪魔します。」
…
寂雷はプリンアラモードとエスプレッソを、玻璃はホットケーキとミルクココアを頼んだ。
「ん〜っ、浄蔵さんのホットケーキ、いつ食べてもほっぺた落ちそうやわぁ。」
「浄蔵、ぜってー出てこねえかっなぁ。ま、伝えとく。」
「ジョウゾウさん、とは?」
プリンアラモード美味しいな、と思いながら、新たな名前に小首を傾げる寂雷。
「俺の旦那。浄蔵の字は極楽浄土の浄に、三蔵法師の蔵で浄蔵ってんだわ。んでま──あ、俺と浄蔵もなんだけど、迦楼羅と阿修羅と同い年でな、なんの因果っつーか、施設育ちの中で、俺は浄蔵に惚れちまってよ、ま、そこは阿修羅と玻璃とおんなじだわな。」
「そそ、俺が阿修羅にべったりでね、夜叉さんは浄蔵さんにべったり──で、施設ん頃は、迦楼羅兄さんが親っちゅーか、護ってくれてたんよねぇ。」
「んだ、同い年だっけど、めちゃんこ頼りになってな。つか、迦楼羅が俺達の『好き』を『愛してくれてる』から、俺達も堂々としてられるって感じだべ。」
迦楼羅の過去を更に深掘りで知ることが出来た寂雷は、それと同時に、やっぱり迦楼羅さんは甘やかす側で誰かに甘えることをしないのかな……?と疑問に思う。
「……迦楼羅さんは、その、甘えることを、なされないのでしょうか……?私、甘やかしてみようと思ったのですが、えと、迦楼羅さんのペースに呑まれてしまって、結局、私が甘える方に……。」
「それでええっぺ。」
「うんうん、兄さんにとっては、寂雷はんが甘えてくれることが、一番の『甘え』やと思いますよって、そない責めたらあきまへんえ?」
「そう、なのでしょうか……?」
玻璃と夜叉が、首を縦に振って頷く。
「迦楼羅にとっちゃ、『拒否』られんのが一番の『毒』なんだべ。」
「言ってしまえば、兄さんが『存在していることの拒否』それか『否定』とか、ね。」
以前、迦楼羅から聞いた幼少期の虐待の話。
身体的な暴力の他にも、精神的な暴力を受けていたことが、その言葉を聞いて寂雷は理解した。
迦楼羅自身が「否定」も「拒否」もしないその「優しさ」に、精神を病んでしまった人達や子供達が心を許す「意味」を、漸く、知れたのだ。
肌と肌を重ねる前に、チェリーボーイだと言っていた。
嘘だと寂雷は言った。
しかしあれは、本当に、本当の言葉だったのだ、と胸の奥がツキリと痛む。
「否定」と「拒否」をされることへの恐怖が、そこにあったのだ。
…
「ただいま帰りましたよ〜。」
「ただいまです。」
玻璃との「カフェデート」を楽しんだ寂雷は、神社の離れへと、玻璃と共に帰ってきた。
「「おかえりなさい。」」
2m超えの巨躯2人、迦楼羅と阿修羅が、それぞれの愛しい男を抱き締める。
阿修羅は変わらず、玻璃にキスの雨を降らせる。
その「愛」は、幼い頃からの大切なものであることを知った寂雷は、もう、恥ずかしがらない。
「なんだか『一皮剥けた』なぁ、寂雷ちゃん。」
抱き締め合ったまま、迦楼羅がそう言った。
「そう、ですか?」
「ん、すんげー幸せそうな顔してくれっから、俺も、幸せにな気持ちだ。」
貴方の過去を更に知ったと、貴方の「優しさ」の「意味」を知れたと、話すべきだろうか──そう悩む寂雷だったが。
「ま、大方、玻璃プラスアルファで夜叉からの『アドバイス』を貰ったとみた。」
「……私、分かりやすいですか?」
「んー、玻璃が行くってんなら夜叉と、あ、浄蔵って奴のことも知った?」
「はい、夜叉さんの旦那さんだと。」
「そこの純喫茶しか行かねえからねぇ。」
「兄さん、嫌やった?」
まだ阿修羅からのキスの雨が止まない中で、玻璃がどこか申し訳なさそうなハスキーボイスの声色で迦楼羅に訊ねる。
「いんや、こうやって寂雷ちゃんが俺の腕ん中に居てくれるってこたぁ、『そういうこと』なんだと思ってるんだが──どうだい?寂雷ちゃん。」
寂雷は、迦楼羅の目隠れの前髪を上げて、ただ優しく微笑んだ。
…
出会いは、まだ迦楼羅と阿修羅が施設にいた頃。
実は玻璃も、施設育ちなのだ。
玻璃は、施設のみんなが迦楼羅と阿修羅の違いが分からない中で唯一、その「違い」が分かり、そして阿修羅のことが好きになり、その当時から付き合っていた。
そんな玻璃から、ある日、迦楼羅のスマートフォンに連絡が着た。
なんでも、寂雷と「お話」したいとか。
…
「寂雷は〜ん、お待たせしてもうたねぇ。」
寂雷は迦楼羅と共に巫が代々継いでいる神社、つまり迦楼羅の実家へとやって来て、離れの縁側で玻璃を待っていた。
そこにやって来た玻璃の格好なのだが、ハスキーな低音に、まさかのゴシック・アンド・ロリータな服装とメイクに寂雷の目が「点」になる。
スレンダーで、寂雷ほどではないにしろ高身長な部類に入る玻璃だが、まあ、これがよく似合っているのだ。
「これ、玻璃の私服だから、気にするこたぁないよ。」
迦楼羅が、フォローする。
「んふふ、驚かせてしまうんは分かっとったけど、折角の寂雷はんとの『デート』やで、めちゃんこかわええのにしたかったんよ。……やっぱ、引いてもうた?」
ちなみに寂雷の私服は、迦楼羅のファッションセンスにてワンオフショルダーのトップスに、ハイウェストのデニム、それからヌーディーサンダルである。
それからいつも流してあるライトグレーとライトパープルの長髪は、迦楼羅が後ろでフィッシュボーンにした。
「いいえ、その、とてもお似合いなので、言葉が見つからず……。」
「ふふっ、おおきに。兄さん、阿修羅のこと、お願いしますねぇ。」
「おーう、多分ものの5分足らずで『玻璃不足』になるだろうけどな。ま、俺も『寂雷ちゃん不足』になりかかってるけどよ。」
「かっ!迦楼羅さんっ?!」
ボフンと赤くなる寂雷に、ふふふっとお淑やかに笑う玻璃。
「ゆーて、神社近くのカフェやで、お知り合いさんやし、大丈夫や思いますよって。」
「可愛い可愛い伴侶を持つと心配しちまうのが夫ってモンさね。」
「寂雷はん、兄さんからちゃあんと愛されとるねぇ。」
「はっ、はぃ……。」
とここで、ドタドタ──ッと存在感のある足音が近づいてくる。
「玻璃っ!」
「んぅっ。」
血相を変えて現れた宮司の阿修羅(ちなみに迦楼羅とは髪の長さが違うだけで似たような背格好である)が、真っ先に玻璃を抱き締めて、なんとなんと、迦楼羅と寂雷の前でフレンチキスをし始めた。
「はっ、わっ……!」
寂雷は思わず両手で顔を覆い隠すが、つい、指の隙間からその様子を観察してしまう。
迦楼羅は、平然としている。
「──はぷっ……もう、兄さんと寂雷はんおるんよ?」
「寂雷さん、申し訳ない。玻璃と離れるのは中々無いので、つい『玻璃不足』が発動してしまった。見苦しいものをお見せしたことを、お詫びします。」
迦楼羅の低音とは少し違う、地を響かせるような低音で、しかしながら玻璃を離さんとばかりに肩を抱き寄せている阿修羅。
「ぃっ、いいっ、ぇ、あ、あのっ、ラブラブ、ですね……っ!」
「ガキん頃からこうでなぁ。俺はもう、見慣れたどころじゃねえんだわ。つーか阿修羅、5分は耐えれたんだなぁ。流石にジジイになったおかげか?」
「俺は兄貴ほど『大人』にはなれんさ。」
「たははぁ、俺もなんだかんだで今すぐ寂雷ちゃんにキスしてえんだぜ?」
「ふぇっ?!」
「んふふっ、寂雷はん、かいらしわぁ。ほなら阿修羅、行ってきますのチュー。」
今度は、玻璃から阿修羅へフレンチキスをした。
「──ん、何かある前に連絡するんだぞ。」
「はぁい。」
「寂雷ちゃんも、自分で対処しようとするんじゃねえよ?『変な羽虫』が出てきたら、速攻でTELするように。」
「は、はぃ……。」
…
寂雷の美しいスタイルに、玻璃のゴシック・アンド・ロリータな姿に、シンジュクの人々は二度見、三度見をする。
やって来たのは、神社から徒歩5分ほどの純喫茶。
寂雷は、おや?と思った。
何せ此処は──。
「夜叉は〜ん。」
「んだぁ玻璃ちゃん、阿修羅と一緒じゃねえって、喧嘩したんか?」
以前、それこそまだ迦楼羅と交際する前に訪れたお店だったのだ。
「やぁ、今日は寂雷はんと『デート』なんよ。」
玻璃は、寂雷の右腕に腕を絡ませる。
ジ……と見られる寂雷は、気まずそうに目を泳がせる。
「嗚呼!迦楼羅が連れてきた『お姫様』じゃねえか!」
「あら、もうお知り合いやったん?」
「おーう、迦楼羅が片腕で抱っこして店に来てよ──俺ぁ、夜叉。初(はじめ)夜叉(やしゃ)ってんだ。これ名刺なー──あ、んじゃ、迦楼羅が施設育ちなのも知ったんだな?」
「はっ、はいっ。」
「俺もおんなじ施設育ちでよ、んま、訛りあっけど、これ育ててくれた親から移っちまってな。」
「ふふふっ、実は俺もなんよねぇ。」
寂雷は、成程……と呟く。
育ててくれた親への、リスペクト、というのを感じたのだ。
「奥のボックス席で構わんか?」
「寂雷はん、かまへん?」
「はい、お邪魔します。」
…
寂雷はプリンアラモードとエスプレッソを、玻璃はホットケーキとミルクココアを頼んだ。
「ん〜っ、浄蔵さんのホットケーキ、いつ食べてもほっぺた落ちそうやわぁ。」
「浄蔵、ぜってー出てこねえかっなぁ。ま、伝えとく。」
「ジョウゾウさん、とは?」
プリンアラモード美味しいな、と思いながら、新たな名前に小首を傾げる寂雷。
「俺の旦那。浄蔵の字は極楽浄土の浄に、三蔵法師の蔵で浄蔵ってんだわ。んでま──あ、俺と浄蔵もなんだけど、迦楼羅と阿修羅と同い年でな、なんの因果っつーか、施設育ちの中で、俺は浄蔵に惚れちまってよ、ま、そこは阿修羅と玻璃とおんなじだわな。」
「そそ、俺が阿修羅にべったりでね、夜叉さんは浄蔵さんにべったり──で、施設ん頃は、迦楼羅兄さんが親っちゅーか、護ってくれてたんよねぇ。」
「んだ、同い年だっけど、めちゃんこ頼りになってな。つか、迦楼羅が俺達の『好き』を『愛してくれてる』から、俺達も堂々としてられるって感じだべ。」
迦楼羅の過去を更に深掘りで知ることが出来た寂雷は、それと同時に、やっぱり迦楼羅さんは甘やかす側で誰かに甘えることをしないのかな……?と疑問に思う。
「……迦楼羅さんは、その、甘えることを、なされないのでしょうか……?私、甘やかしてみようと思ったのですが、えと、迦楼羅さんのペースに呑まれてしまって、結局、私が甘える方に……。」
「それでええっぺ。」
「うんうん、兄さんにとっては、寂雷はんが甘えてくれることが、一番の『甘え』やと思いますよって、そない責めたらあきまへんえ?」
「そう、なのでしょうか……?」
玻璃と夜叉が、首を縦に振って頷く。
「迦楼羅にとっちゃ、『拒否』られんのが一番の『毒』なんだべ。」
「言ってしまえば、兄さんが『存在していることの拒否』それか『否定』とか、ね。」
以前、迦楼羅から聞いた幼少期の虐待の話。
身体的な暴力の他にも、精神的な暴力を受けていたことが、その言葉を聞いて寂雷は理解した。
迦楼羅自身が「否定」も「拒否」もしないその「優しさ」に、精神を病んでしまった人達や子供達が心を許す「意味」を、漸く、知れたのだ。
肌と肌を重ねる前に、チェリーボーイだと言っていた。
嘘だと寂雷は言った。
しかしあれは、本当に、本当の言葉だったのだ、と胸の奥がツキリと痛む。
「否定」と「拒否」をされることへの恐怖が、そこにあったのだ。
…
「ただいま帰りましたよ〜。」
「ただいまです。」
玻璃との「カフェデート」を楽しんだ寂雷は、神社の離れへと、玻璃と共に帰ってきた。
「「おかえりなさい。」」
2m超えの巨躯2人、迦楼羅と阿修羅が、それぞれの愛しい男を抱き締める。
阿修羅は変わらず、玻璃にキスの雨を降らせる。
その「愛」は、幼い頃からの大切なものであることを知った寂雷は、もう、恥ずかしがらない。
「なんだか『一皮剥けた』なぁ、寂雷ちゃん。」
抱き締め合ったまま、迦楼羅がそう言った。
「そう、ですか?」
「ん、すんげー幸せそうな顔してくれっから、俺も、幸せにな気持ちだ。」
貴方の過去を更に知ったと、貴方の「優しさ」の「意味」を知れたと、話すべきだろうか──そう悩む寂雷だったが。
「ま、大方、玻璃プラスアルファで夜叉からの『アドバイス』を貰ったとみた。」
「……私、分かりやすいですか?」
「んー、玻璃が行くってんなら夜叉と、あ、浄蔵って奴のことも知った?」
「はい、夜叉さんの旦那さんだと。」
「そこの純喫茶しか行かねえからねぇ。」
「兄さん、嫌やった?」
まだ阿修羅からのキスの雨が止まない中で、玻璃がどこか申し訳なさそうなハスキーボイスの声色で迦楼羅に訊ねる。
「いんや、こうやって寂雷ちゃんが俺の腕ん中に居てくれるってこたぁ、『そういうこと』なんだと思ってるんだが──どうだい?寂雷ちゃん。」
寂雷は、迦楼羅の目隠れの前髪を上げて、ただ優しく微笑んだ。
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