迦楼羅先生×寂雷先生
寂雷は、迦楼羅と共に迦楼羅が住むアパートにやって来た。
「お邪魔します……。」
「なぁんもないけど、どーぞ。」
なぁんもない、の言葉通り、ワンルームの部屋にはベッドと、ローテーブル、ポータブルテレビ、キッチンにはひとり暮らし用の冷蔵庫がある。
「床に座るのもいてーだろ。ベッドに腰掛けな。」
「……ありがとう、ございます……。」
夢では、このベッドの上で、寂雷は組み敷かれた。
乱暴さは一切ない、丁寧で、蕩けてしまうような、そんな行為の夢だったのを、寂雷は思い出す。
寂雷が腰掛けると、スプリングが微かに鳴る。
迦楼羅は冷蔵庫から、なんと、缶ビールを2本取り出した。
時刻は14時である。
「あっ、あのっ!私っ、呑んだら記憶がっ!」
「知ってる。てやんでーになんのも見たしなぁ。」
「え?て、てやんでぇ?」
寂雷は、酔った自分がどうなってしまうのかを、未だに知らない。
「おっと、これは内緒だったな。ま、あれだ。言いたいことあんなら、酒の力を借りるのも手ってこったな。」
…
「おうゴラァ!かるらぁ!オメーはのらりくらりしやがってよぉ!」
缶ビールをひと口呑んだら、べらんめぇ寂雷が爆誕した。
「ジジイなもんでねぇ。」
迦楼羅は気にすることなく、隣でグビグビ呑む。
「そーゆってはぐらかしやがる!」
「のらりくらりが、ジジイの特権さ。」
「おらをめちゃくちゃにしたくねえのかぁ!?あぁ!?」
とうとう迦楼羅の胸ぐらを掴み、至近距離で凄む寂雷。
迦楼羅は、動じない。
「っ、んだよっ!なんなんだよっ!おらばっか!こんなに『ぐちゃぐちゃ』なのによぉ!」
「その『ぐちゃぐちゃ』ってのは、何だい?」
「バクバクすんだよ!オメーの『女になっちまいてえ』んだよ!察せやジジイ!こちとらなぁ!オメーからでろんでろんに『溶かされる』夢見て夢精しちまったんだぞ!意識すんなっつーのが無理あんだろーが!」
「ほぉ、俺で夢精しちまったか。どっちが抱いてたんだ?」
「オメーだよ!そのガタイに!煙草のくせえにおいに!ジジイのくせに!おらんこと優しく『めちゃくちゃ』にしてたんだからなぁ!」
ほぉほぉ、と迦楼羅はまたグビグビ呑む。
すると寂雷が、なんと、迦楼羅の唇を己の唇で塞いだ。
迦楼羅の口内にあるビールが、ゴクゴクと寂雷の喉を通っていく。
「──ぷはぁ!こんくれーの男気見せろや!」
「んー、『やだ』ね。」
「あぁ?!やっぱ男は無理ってか!だろーなぁ!」
「いんや、そーじゃなくて、寂雷ちゃん忘れちまうから、するなら素面の時で頼むわ。」
「忘れっかよ!」
「わははぁ、だが『残念』ながら、寂雷ちゃんは忘れちまうんだなぁ。だから──。」
胸ぐらを掴まれたまま、ベッド前のローテーブルに、コト……缶ビールを置いた迦楼羅は、寂雷をベッドに押し倒した。
ギィ……スプリングが鳴る。
「忘れちまって『いい』んだ。だから、これは『俺だけの秘密』な……。」
迦楼羅の唇が、寂雷の唇を塞いだ。
重ねるだけの優しいものではない。
逃げる寂雷の舌を強引に引っ張り出して、絡めて、くちゅくちゅ水音を立てる。
迦楼羅の胸ぐらを掴んでいた寂雷のしなやかな両手は、逞しい肩を通り、褐色の首に回される。
「──ぷぁ……っ、か、るらぁ……っ、もっ、と……もっと、ちゅー、して、くれよ……っ。」
「いいぜ、『忘れてもいい』くれえの、ゲロ甘なのをしてやんよ。」
…
寂雷は、いい香りで目が覚めた。
ジュージュー、何かを焼いている音がする。
迦楼羅が缶ビールを出して、記憶が無くなるからと断ったまでは覚えているのだが、なぜベッドで眠ってしまったのかまでは、記憶に無い。
「ん、起きたか寂雷ちゃん。頭、ぐわんぐわんするとか、ないかい?」
キッチンに立つエプロン姿の迦楼羅は、にこやかに声をかける。
「……す、すみません……やはり、記憶が、その……。」
「呑んでいいって言ったのは俺。寂雷ちゃんが責任感じる必要はねえよ。」
外は、暗い。
現在の時刻は19時だ。
「しっ、失礼なことっ、言ったり、したり──。」
「だぁいじょーぶ。寂雷ちゃんは、ジジイの1人酒に付き合ってくれた。そんだけさね。」
ゴーヤチャンプル食う?と問われて、食べたいですっ、と答える寂雷。
大皿にのせられたそれは、ベッド前のローテーブルに置かれて、取り皿に、それから卵とワカメの中華風スープも出された。
「米食う?」
「はいっ。」
「わはは、寂雷ちゃんは白米好きだからなぁ。」
こんもりと、ご飯茶碗に白米がのっかった。
いただきますをして、はぐはぐ食べ始める寂雷を対面に座って、今度は自分の分だけのビールを呑みながらゴーヤチャンプルをつまみにする迦楼羅。
目隠れの奥が優しく微笑んでいることなど、寂雷には分からなかった。
…
「お邪魔します……。」
「なぁんもないけど、どーぞ。」
なぁんもない、の言葉通り、ワンルームの部屋にはベッドと、ローテーブル、ポータブルテレビ、キッチンにはひとり暮らし用の冷蔵庫がある。
「床に座るのもいてーだろ。ベッドに腰掛けな。」
「……ありがとう、ございます……。」
夢では、このベッドの上で、寂雷は組み敷かれた。
乱暴さは一切ない、丁寧で、蕩けてしまうような、そんな行為の夢だったのを、寂雷は思い出す。
寂雷が腰掛けると、スプリングが微かに鳴る。
迦楼羅は冷蔵庫から、なんと、缶ビールを2本取り出した。
時刻は14時である。
「あっ、あのっ!私っ、呑んだら記憶がっ!」
「知ってる。てやんでーになんのも見たしなぁ。」
「え?て、てやんでぇ?」
寂雷は、酔った自分がどうなってしまうのかを、未だに知らない。
「おっと、これは内緒だったな。ま、あれだ。言いたいことあんなら、酒の力を借りるのも手ってこったな。」
…
「おうゴラァ!かるらぁ!オメーはのらりくらりしやがってよぉ!」
缶ビールをひと口呑んだら、べらんめぇ寂雷が爆誕した。
「ジジイなもんでねぇ。」
迦楼羅は気にすることなく、隣でグビグビ呑む。
「そーゆってはぐらかしやがる!」
「のらりくらりが、ジジイの特権さ。」
「おらをめちゃくちゃにしたくねえのかぁ!?あぁ!?」
とうとう迦楼羅の胸ぐらを掴み、至近距離で凄む寂雷。
迦楼羅は、動じない。
「っ、んだよっ!なんなんだよっ!おらばっか!こんなに『ぐちゃぐちゃ』なのによぉ!」
「その『ぐちゃぐちゃ』ってのは、何だい?」
「バクバクすんだよ!オメーの『女になっちまいてえ』んだよ!察せやジジイ!こちとらなぁ!オメーからでろんでろんに『溶かされる』夢見て夢精しちまったんだぞ!意識すんなっつーのが無理あんだろーが!」
「ほぉ、俺で夢精しちまったか。どっちが抱いてたんだ?」
「オメーだよ!そのガタイに!煙草のくせえにおいに!ジジイのくせに!おらんこと優しく『めちゃくちゃ』にしてたんだからなぁ!」
ほぉほぉ、と迦楼羅はまたグビグビ呑む。
すると寂雷が、なんと、迦楼羅の唇を己の唇で塞いだ。
迦楼羅の口内にあるビールが、ゴクゴクと寂雷の喉を通っていく。
「──ぷはぁ!こんくれーの男気見せろや!」
「んー、『やだ』ね。」
「あぁ?!やっぱ男は無理ってか!だろーなぁ!」
「いんや、そーじゃなくて、寂雷ちゃん忘れちまうから、するなら素面の時で頼むわ。」
「忘れっかよ!」
「わははぁ、だが『残念』ながら、寂雷ちゃんは忘れちまうんだなぁ。だから──。」
胸ぐらを掴まれたまま、ベッド前のローテーブルに、コト……缶ビールを置いた迦楼羅は、寂雷をベッドに押し倒した。
ギィ……スプリングが鳴る。
「忘れちまって『いい』んだ。だから、これは『俺だけの秘密』な……。」
迦楼羅の唇が、寂雷の唇を塞いだ。
重ねるだけの優しいものではない。
逃げる寂雷の舌を強引に引っ張り出して、絡めて、くちゅくちゅ水音を立てる。
迦楼羅の胸ぐらを掴んでいた寂雷のしなやかな両手は、逞しい肩を通り、褐色の首に回される。
「──ぷぁ……っ、か、るらぁ……っ、もっ、と……もっと、ちゅー、して、くれよ……っ。」
「いいぜ、『忘れてもいい』くれえの、ゲロ甘なのをしてやんよ。」
…
寂雷は、いい香りで目が覚めた。
ジュージュー、何かを焼いている音がする。
迦楼羅が缶ビールを出して、記憶が無くなるからと断ったまでは覚えているのだが、なぜベッドで眠ってしまったのかまでは、記憶に無い。
「ん、起きたか寂雷ちゃん。頭、ぐわんぐわんするとか、ないかい?」
キッチンに立つエプロン姿の迦楼羅は、にこやかに声をかける。
「……す、すみません……やはり、記憶が、その……。」
「呑んでいいって言ったのは俺。寂雷ちゃんが責任感じる必要はねえよ。」
外は、暗い。
現在の時刻は19時だ。
「しっ、失礼なことっ、言ったり、したり──。」
「だぁいじょーぶ。寂雷ちゃんは、ジジイの1人酒に付き合ってくれた。そんだけさね。」
ゴーヤチャンプル食う?と問われて、食べたいですっ、と答える寂雷。
大皿にのせられたそれは、ベッド前のローテーブルに置かれて、取り皿に、それから卵とワカメの中華風スープも出された。
「米食う?」
「はいっ。」
「わはは、寂雷ちゃんは白米好きだからなぁ。」
こんもりと、ご飯茶碗に白米がのっかった。
いただきますをして、はぐはぐ食べ始める寂雷を対面に座って、今度は自分の分だけのビールを呑みながらゴーヤチャンプルをつまみにする迦楼羅。
目隠れの奥が優しく微笑んでいることなど、寂雷には分からなかった。
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