鉢尾
勘右衛門の唇がガサガサだとかで、リップクリームを買った。ついでにと私の分まで。食えないものをわざわざ口に塗るというのはなんとも珍妙だ。
「食べるなよ」
釘を刺されると気になるが、こっそり舐めてみたところ大変まずかった。こんなにもはちみつの匂いがするのに。振り返ると唇がつやつやの勘右衛門がいたので、私は覆いかぶさった。
「何すんだ!」
「いただきます」
勘右衛門の唇にかぶりつく。いつもより唇が果実のようでおいしかった。勘右衛門はもごもごと反抗し、私から離れると、真っ赤な顔で「あー、もう」と溜息を吐く。
「鉢屋が舐めるからガサガサになったのに! これじゃあ意味がない」
それってつまり、私に食べられる準備をしていることになるが、気付いていないのか。まったく勘右衛門は不用心だ。そのままおいしく実ればいい。
「食べるなよ」
釘を刺されると気になるが、こっそり舐めてみたところ大変まずかった。こんなにもはちみつの匂いがするのに。振り返ると唇がつやつやの勘右衛門がいたので、私は覆いかぶさった。
「何すんだ!」
「いただきます」
勘右衛門の唇にかぶりつく。いつもより唇が果実のようでおいしかった。勘右衛門はもごもごと反抗し、私から離れると、真っ赤な顔で「あー、もう」と溜息を吐く。
「鉢屋が舐めるからガサガサになったのに! これじゃあ意味がない」
それってつまり、私に食べられる準備をしていることになるが、気付いていないのか。まったく勘右衛門は不用心だ。そのままおいしく実ればいい。