鉢尾
勘右衛門が「ミネラルウォーターを買おうか」と悩んでいる。そんなの、水道水でいいだろ、と言ってみるけれど、勘右衛門としてはここ一年の最大の悩みにまでなっているようだ。
「こないだ兵助んちに行ったときに出てきて、かっこよかったんだよ」
そこは「おいしくてびっくりした」ではないのか。味の違いがないなら無駄だと思う。
結局勘右衛門はミネラルウォーターを買ってきたものの、夕飯の時にしかそれは姿を現さない。冷蔵庫からいちいち出す手間を考えると、さっと飲むには、やはり水道水がちょうどよいのだ。勘右衛門は早くも後悔しだしたようで、何をとちくるったか、花束を買ってきた。
「花にとっては、うまい水の方がありがたいかと思って」
なんと勿体ない。花だって水道水の方が慣れているだろうに。それでもきらきらと咲いているそれを見ると、口を出すのもばからしくなってしまう。
しかし、花を見ながら水道水を飲むのは、なんだか悔しくなる。こいつらが浸かっている水よりも価値のないものを飲んでいる気がしてくる。たとえその花束が私のためのものであっても。
「こないだ兵助んちに行ったときに出てきて、かっこよかったんだよ」
そこは「おいしくてびっくりした」ではないのか。味の違いがないなら無駄だと思う。
結局勘右衛門はミネラルウォーターを買ってきたものの、夕飯の時にしかそれは姿を現さない。冷蔵庫からいちいち出す手間を考えると、さっと飲むには、やはり水道水がちょうどよいのだ。勘右衛門は早くも後悔しだしたようで、何をとちくるったか、花束を買ってきた。
「花にとっては、うまい水の方がありがたいかと思って」
なんと勿体ない。花だって水道水の方が慣れているだろうに。それでもきらきらと咲いているそれを見ると、口を出すのもばからしくなってしまう。
しかし、花を見ながら水道水を飲むのは、なんだか悔しくなる。こいつらが浸かっている水よりも価値のないものを飲んでいる気がしてくる。たとえその花束が私のためのものであっても。