鉢尾
漠然と、南の島に行きたくなった。冬の朝だからそんなことを思うのかもしれない。南の島だったら、こんな風に震えながら朝の支度をしなくてもいいはずだと思うと、何だかばからしくなってしまった。
「なあ。明日、南の島に行くってなったら、どうする」
布団に寝ころぶ鉢屋に問う。鉢屋はぽかんとしたのち、からからと笑って
「ゲンジツトーヒか?愛のトーヒコーか?」
と言うもんだから、もっとばからしくなってしまった。
俺はそのまま身支度をはじめる。明日になったら出て行くのだ。その様子を見ていた鉢屋も、隣でボストンバックを広げ始めた。
「勘右衛門を連れ戻せるように」
頼んでない。それでも、一緒に付いて来てくれようとするのは嬉しかった。愛の逃避行、上等じゃないか。俺たちは無言で荷造りをすすめる。明日の朝、結局荷ほどきをすることになるのは知っていたけれど。
「なあ。明日、南の島に行くってなったら、どうする」
布団に寝ころぶ鉢屋に問う。鉢屋はぽかんとしたのち、からからと笑って
「ゲンジツトーヒか?愛のトーヒコーか?」
と言うもんだから、もっとばからしくなってしまった。
俺はそのまま身支度をはじめる。明日になったら出て行くのだ。その様子を見ていた鉢屋も、隣でボストンバックを広げ始めた。
「勘右衛門を連れ戻せるように」
頼んでない。それでも、一緒に付いて来てくれようとするのは嬉しかった。愛の逃避行、上等じゃないか。俺たちは無言で荷造りをすすめる。明日の朝、結局荷ほどきをすることになるのは知っていたけれど。