夢短編
かなめ
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鉢屋がswitch2を買ったので、強制的に彼の家集合となった。私は何故だか久々知に無理やり連れてこられた。けっこう不本意ではあるのだが、古文のノートを借りた恩があったので断れない。
鉢屋の家は両親が共働きなので夜までリビングが使いたい放題のため、しょっちゅう溜まり場にされている。ところでいいんだろうか、本当に私がいて。とくに何の花も添えられんぞ。
「ぽこぽけやろう!」
「いやそこはエアライダーじゃないのかよ」
竹谷が有無を言わさずにぽこぽけを買い(これも強制的に割り勘である)、尾浜が持ってきたペンライトを全員に配り、いったい何を応援しているのかわからない応援実況が始まった。私はウルトラオレンジを折る。
「モジャンボはかせェーッ!」
「ウオオーッ」
メタモンちゃんの名前をああでもないこうでもないと殴り合いで決めながら(私が勝った。毎日綾部と戦っている甲斐があった)、ゲームの合間にお喋りをする。
「かなめは大学どうするの?」
「不破ひどい、こんな時にまで進路の話をするだなんて。絶交だ」
「そんな……!」
ショックを受ける不破を庇うように鉢屋が立ちはだかる。いい度胸だ。私も立ち上がった。身長差がニ十センチくらいあるが、このくらいのハンデはくれてやろう。
「赤パプリカ黄パプリカピーマン!」
「赤パプリカ黄パプリカピャッ」
鉢屋が崩れ落ち、私は勝利の拳を掲げた。私に勝とうなんざ三ヶ月早いのだ。不破が鉢屋を支えて懸命に立っている。
「かなめ、こないだ守一郎のこと泣かせてなかった?」
尾浜が私を宥めながら話を逸らそうとする。逸らす先もおかしいだろ。
「だってたけのこの里派だったから……」
「過激だなあ」
竹谷が号泣しながらぽこぽけを進めている。泣くの早すぎるだろう。ラストどうなってしまうんだ。
「ていうか、明日小テストあるって言ってなかった?」
「久々知のうらぎりもの。無調整豆乳マン」
「それは俺にとっては誉め言葉なんだよな」
単語帳を開く久々知を糾弾しようとしたが、こいつは目がガンギマっている。無敵なのだ。悔しい。毎日無調整豆乳を飲んでいる者には敵わないと決まっている。私はココア豆乳でやっとだ。
ソファに座り、緑色のペンライトを振る。竹谷がジョイコンを離さないので、眠くなってきた。こういう時ってみんなで交代で操作するもんじゃないのか。
「眠い? 寝てもいいよ」
「さすがに殿方の前で寝るわけには」
「ありえない。かなめに手出ししてみろ、明日はないぞ」
「なんだと」
優しく声をかけてくれた不破の後ろから、鉢屋がおどけてみせた。私が何かを言う前に、今度は尾浜が立ちはだかる。
「俺はどうかわかんないぞ」
「威張って言う事かね」
「勘右衛門、かなめのこと好きだもんねえ」
「ちょ」
久々知がにやにやと言うのに、尾浜が勝手に崩れ落ちる。また勝ってしまった。敗北を知りたい。
「兵助だって好きだから連れてきたんだろ」
「ちょ」
なに自滅しあってるんだ。私は呆れて溜息を零す。
「私がモテモテなのはわかってるからさ」
「悔しい……」
無敵の私はそれでも眠くて、ゆっくり目を閉じる。号泣する竹谷の声をBGMに、久々知、尾浜、不破、鉢屋の声が飛んで回る。
ああ。ずっとこのままがいい。ずっとここにいたい。
でもいられなくなるんだ。女だから。クラスメイトという枠組みがなくなったら、男と女になる。学生だから、今の距離感が許されてるんだ。この制服が砦なんだ。
わかってて、このサンクチュアリにる。タイムアウトのあるサンクチュアリ。カウントダウンのあるサンクチュアリ。
「おやすみ」
誰かが毛布をかけてくれる。誰でも嬉しい。まどろみのなかでありがとうを言う。
オイ今誰か私の寝顔にカメラ向けただろ、シャッター音したぞ。
鉢屋の家は両親が共働きなので夜までリビングが使いたい放題のため、しょっちゅう溜まり場にされている。ところでいいんだろうか、本当に私がいて。とくに何の花も添えられんぞ。
「ぽこぽけやろう!」
「いやそこはエアライダーじゃないのかよ」
竹谷が有無を言わさずにぽこぽけを買い(これも強制的に割り勘である)、尾浜が持ってきたペンライトを全員に配り、いったい何を応援しているのかわからない応援実況が始まった。私はウルトラオレンジを折る。
「モジャンボはかせェーッ!」
「ウオオーッ」
メタモンちゃんの名前をああでもないこうでもないと殴り合いで決めながら(私が勝った。毎日綾部と戦っている甲斐があった)、ゲームの合間にお喋りをする。
「かなめは大学どうするの?」
「不破ひどい、こんな時にまで進路の話をするだなんて。絶交だ」
「そんな……!」
ショックを受ける不破を庇うように鉢屋が立ちはだかる。いい度胸だ。私も立ち上がった。身長差がニ十センチくらいあるが、このくらいのハンデはくれてやろう。
「赤パプリカ黄パプリカピーマン!」
「赤パプリカ黄パプリカピャッ」
鉢屋が崩れ落ち、私は勝利の拳を掲げた。私に勝とうなんざ三ヶ月早いのだ。不破が鉢屋を支えて懸命に立っている。
「かなめ、こないだ守一郎のこと泣かせてなかった?」
尾浜が私を宥めながら話を逸らそうとする。逸らす先もおかしいだろ。
「だってたけのこの里派だったから……」
「過激だなあ」
竹谷が号泣しながらぽこぽけを進めている。泣くの早すぎるだろう。ラストどうなってしまうんだ。
「ていうか、明日小テストあるって言ってなかった?」
「久々知のうらぎりもの。無調整豆乳マン」
「それは俺にとっては誉め言葉なんだよな」
単語帳を開く久々知を糾弾しようとしたが、こいつは目がガンギマっている。無敵なのだ。悔しい。毎日無調整豆乳を飲んでいる者には敵わないと決まっている。私はココア豆乳でやっとだ。
ソファに座り、緑色のペンライトを振る。竹谷がジョイコンを離さないので、眠くなってきた。こういう時ってみんなで交代で操作するもんじゃないのか。
「眠い? 寝てもいいよ」
「さすがに殿方の前で寝るわけには」
「ありえない。かなめに手出ししてみろ、明日はないぞ」
「なんだと」
優しく声をかけてくれた不破の後ろから、鉢屋がおどけてみせた。私が何かを言う前に、今度は尾浜が立ちはだかる。
「俺はどうかわかんないぞ」
「威張って言う事かね」
「勘右衛門、かなめのこと好きだもんねえ」
「ちょ」
久々知がにやにやと言うのに、尾浜が勝手に崩れ落ちる。また勝ってしまった。敗北を知りたい。
「兵助だって好きだから連れてきたんだろ」
「ちょ」
なに自滅しあってるんだ。私は呆れて溜息を零す。
「私がモテモテなのはわかってるからさ」
「悔しい……」
無敵の私はそれでも眠くて、ゆっくり目を閉じる。号泣する竹谷の声をBGMに、久々知、尾浜、不破、鉢屋の声が飛んで回る。
ああ。ずっとこのままがいい。ずっとここにいたい。
でもいられなくなるんだ。女だから。クラスメイトという枠組みがなくなったら、男と女になる。学生だから、今の距離感が許されてるんだ。この制服が砦なんだ。
わかってて、このサンクチュアリにる。タイムアウトのあるサンクチュアリ。カウントダウンのあるサンクチュアリ。
「おやすみ」
誰かが毛布をかけてくれる。誰でも嬉しい。まどろみのなかでありがとうを言う。
オイ今誰か私の寝顔にカメラ向けただろ、シャッター音したぞ。