夢短編
かなめ
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「おい、おまえ。ダイエット中じゃないのか」
「ひい」
仙蔵にじゃがりこを取り上げられて、私はこの世で一番悲惨な気持ちになる。ああ、今日の楽しみにとっておいたのに。その塩気を楽しみに、数学を乗り越えたというのに。
「夏に一緒にプールやら海やらに行きたいと言ったのはおまえだろう」
「うん……」
「新しい水着を着るんだと張り切っていたのはおまえだろう」
「うん……うん……」
それでも悲しくなってしまうのはしかたない。私は食べることが何よりも好きなのだ。昨日だって腹筋三十回やったし、ちょっとくらい許されたっていいじゃないか。
「私の横に並んで恥ずかしくない身体でいたいんだろう」
「う、う、うおおおお」
だめだ。過去の自分の発言に頭を抱えてしまった。
だって、仙蔵ってかっこいいんだもん! 一体全体なんだって私みたいなイモムシと付き合ってくれたのか、本当に分からない。クラス替えの時に離れるのが嫌で、ダメ元で告白したらあっさり通ったのだ。影から応援してくれていた親友たちはずっこけていた。
美しく麗しい彼の横に並ぶには、私も美しくあらねば、と常日頃悩んでいる。せめて、せめてナイスバディとは言わないまでも、夏までにすらっと痩せたい。じゃないとどんなやっかみを受けることやら。イモムシでごめんなさい。
「仙蔵だって、イモムシが横にいたらいやだもんね……」
ふるふると頭をふって、じゃがりこに別れを告げた。待ってろよ、水着……仙蔵とのラブラブ大作戦のためだ……。
「誰がイモムシか。仮にも私の彼女なら、自信を持て」
「ええ……」
「あのな。私はおまえだから付き合っているんだ。面白いから付き合っている。見た目なんて二の次だ。誰と付き合ったって私の方が美しいのだから」
「なんかすごいこと言ったぞこいつ」
「だからな、最悪おまえがダイエットに失敗して夏を迎えたって、それでもいいと思っている。一緒に過ごしたいと思っているのはおまえだけじゃないんだ」
……なんだかすごく嬉しいことを言われたような気がする。顔を上げると、少し照れくさそうな顔をした彼氏の顔がそこにあった。またしても影から見守っていた親友たちが、ひゅう~! と口笛を吹いた。うるさいな。
「しかし、信念を持つ者、有言実行する者を、私はなによりも好ましく思う。どうだ、私にもっと好かれたかったら、努力しろ」
「うお……うおお!!!」
愛しい彼ピッピにそこまで言われちゃあ、やるっきゃないじゃんね。内なる炎をメラメラと燃やした私はその場でスクワットをしだした。すらっとっするんだ。すらっと。
「……ほんとうに、見ていて飽きないよ。おまえは」
仙蔵はやれやれと笑った後、じゃがりこを持ってクラスに帰ってしまった。仙蔵はあのじゃがりこを食べても太らないんだろうな。それとも、やっぱり陰で努力しているのかな。そうかもしれない。私はスクワットを続ける。
夏のラブラブ大作戦。成功が約束されているともなれば、俄然やる気が出てくるというものだ。
いっそむきむきになってやろうか。美しい者を守る護衛として。仙蔵をこの世の全てから守ろう。そう誓った私はスクワットを終え、ひゅうひゅうとうるさい親友にうるさいと言いに行った。
どんな水着を着ようかな。仙蔵の横で微笑む、美しくなった私を想像していたせいで、次の英語の授業はさっぱりだった。
「ひい」
仙蔵にじゃがりこを取り上げられて、私はこの世で一番悲惨な気持ちになる。ああ、今日の楽しみにとっておいたのに。その塩気を楽しみに、数学を乗り越えたというのに。
「夏に一緒にプールやら海やらに行きたいと言ったのはおまえだろう」
「うん……」
「新しい水着を着るんだと張り切っていたのはおまえだろう」
「うん……うん……」
それでも悲しくなってしまうのはしかたない。私は食べることが何よりも好きなのだ。昨日だって腹筋三十回やったし、ちょっとくらい許されたっていいじゃないか。
「私の横に並んで恥ずかしくない身体でいたいんだろう」
「う、う、うおおおお」
だめだ。過去の自分の発言に頭を抱えてしまった。
だって、仙蔵ってかっこいいんだもん! 一体全体なんだって私みたいなイモムシと付き合ってくれたのか、本当に分からない。クラス替えの時に離れるのが嫌で、ダメ元で告白したらあっさり通ったのだ。影から応援してくれていた親友たちはずっこけていた。
美しく麗しい彼の横に並ぶには、私も美しくあらねば、と常日頃悩んでいる。せめて、せめてナイスバディとは言わないまでも、夏までにすらっと痩せたい。じゃないとどんなやっかみを受けることやら。イモムシでごめんなさい。
「仙蔵だって、イモムシが横にいたらいやだもんね……」
ふるふると頭をふって、じゃがりこに別れを告げた。待ってろよ、水着……仙蔵とのラブラブ大作戦のためだ……。
「誰がイモムシか。仮にも私の彼女なら、自信を持て」
「ええ……」
「あのな。私はおまえだから付き合っているんだ。面白いから付き合っている。見た目なんて二の次だ。誰と付き合ったって私の方が美しいのだから」
「なんかすごいこと言ったぞこいつ」
「だからな、最悪おまえがダイエットに失敗して夏を迎えたって、それでもいいと思っている。一緒に過ごしたいと思っているのはおまえだけじゃないんだ」
……なんだかすごく嬉しいことを言われたような気がする。顔を上げると、少し照れくさそうな顔をした彼氏の顔がそこにあった。またしても影から見守っていた親友たちが、ひゅう~! と口笛を吹いた。うるさいな。
「しかし、信念を持つ者、有言実行する者を、私はなによりも好ましく思う。どうだ、私にもっと好かれたかったら、努力しろ」
「うお……うおお!!!」
愛しい彼ピッピにそこまで言われちゃあ、やるっきゃないじゃんね。内なる炎をメラメラと燃やした私はその場でスクワットをしだした。すらっとっするんだ。すらっと。
「……ほんとうに、見ていて飽きないよ。おまえは」
仙蔵はやれやれと笑った後、じゃがりこを持ってクラスに帰ってしまった。仙蔵はあのじゃがりこを食べても太らないんだろうな。それとも、やっぱり陰で努力しているのかな。そうかもしれない。私はスクワットを続ける。
夏のラブラブ大作戦。成功が約束されているともなれば、俄然やる気が出てくるというものだ。
いっそむきむきになってやろうか。美しい者を守る護衛として。仙蔵をこの世の全てから守ろう。そう誓った私はスクワットを終え、ひゅうひゅうとうるさい親友にうるさいと言いに行った。
どんな水着を着ようかな。仙蔵の横で微笑む、美しくなった私を想像していたせいで、次の英語の授業はさっぱりだった。