二は(時友・羽丹羽)
羽丹羽くんと、冒険の約束をした。裏裏山の、湖のほとり。お花畑の向こうの森は、入ってはいけませんと言われていた。
でも、ぼくらは、もう十一歳だ。立派な忍者のたまごなんだ! 食堂のおばちゃんに、おにぎりをくださいと頼んで、二つずつ握ってもらう。
「いざ、しゅっぱーつ」
今度は、うり坊に気をつけよう。落とし穴への警戒心だって忘れない。二人でしっかり確認し合って、さっそく裏裏山を目指した。
お空はよく晴れて、霜月にしてはあたたかな日だ。歩いているうちに、背中がほんのりと汗ばむ。
「羽丹羽くんは、どんな六年生になりたい?」
「そうですねえ。久々知先輩よりも、火薬の扱いに精通したいから……立花先輩みたいになりたいです」
「わあ、とってもかっこいい!」
羽丹羽くんのさらさらの髪の毛が、風に揺れた。女装の授業はまだ先だけど、羽丹羽くんはきっと美人さんになると思う。
「時友くんは?」
「もちろん、七松先輩みたになりたい」
「きっとなれますよ!」
いけいけどんどん、いけいけどんどん。二人で歌いながら、裏裏山に到着する。木々の間を縫いながら、鳥の囀りを聞いた。
「がんばれって言ってるのかなあ」
「鳥に応援するという感覚はあるのでしょうか」
「ヒナが飛び立つとき、親鳥はそばで見守っているよ」
「なるほど。手を貸すことはしないんですね」
「手厳しいよ」
羽丹羽くんはくすくすと笑った。羽丹羽くんの笑い方はとってもかわいい。鳥の囀りよりずっとかわいいと思う。そして、それを聞くと、ぼくはすごくうれしくなる。
「ねえ、時友くん。そろそろ、起きてください」
ええ、なんでそんなこと言うの。太陽はぽかぽかと気持ちがいいし、鳥も囀っているし、羽丹羽くんとうきうきしているのに。
「裏裏山に、行くんでしょう」
そうだよ、羽丹羽くんと、冒険に行くんだ。食堂のおばちゃんに、おにぎりを握ってもらうんだ。
「おはようございます、時友くん」
むにゃむにゃ。はだけた寝間着の隙間から伸びた足が寒くて、ぼくはゆっくり目をあけた。
あれ、どうやら夢だったみたい。どこまでが夢だったのかなあ。
「さあ、冒険にでかけましょう。時友くん」
ああ、そうか、約束は本当だった! うーんと大きく深呼吸をして、ぼくは羽丹羽くんにおはようを言う。
でも、ぼくらは、もう十一歳だ。立派な忍者のたまごなんだ! 食堂のおばちゃんに、おにぎりをくださいと頼んで、二つずつ握ってもらう。
「いざ、しゅっぱーつ」
今度は、うり坊に気をつけよう。落とし穴への警戒心だって忘れない。二人でしっかり確認し合って、さっそく裏裏山を目指した。
お空はよく晴れて、霜月にしてはあたたかな日だ。歩いているうちに、背中がほんのりと汗ばむ。
「羽丹羽くんは、どんな六年生になりたい?」
「そうですねえ。久々知先輩よりも、火薬の扱いに精通したいから……立花先輩みたいになりたいです」
「わあ、とってもかっこいい!」
羽丹羽くんのさらさらの髪の毛が、風に揺れた。女装の授業はまだ先だけど、羽丹羽くんはきっと美人さんになると思う。
「時友くんは?」
「もちろん、七松先輩みたになりたい」
「きっとなれますよ!」
いけいけどんどん、いけいけどんどん。二人で歌いながら、裏裏山に到着する。木々の間を縫いながら、鳥の囀りを聞いた。
「がんばれって言ってるのかなあ」
「鳥に応援するという感覚はあるのでしょうか」
「ヒナが飛び立つとき、親鳥はそばで見守っているよ」
「なるほど。手を貸すことはしないんですね」
「手厳しいよ」
羽丹羽くんはくすくすと笑った。羽丹羽くんの笑い方はとってもかわいい。鳥の囀りよりずっとかわいいと思う。そして、それを聞くと、ぼくはすごくうれしくなる。
「ねえ、時友くん。そろそろ、起きてください」
ええ、なんでそんなこと言うの。太陽はぽかぽかと気持ちがいいし、鳥も囀っているし、羽丹羽くんとうきうきしているのに。
「裏裏山に、行くんでしょう」
そうだよ、羽丹羽くんと、冒険に行くんだ。食堂のおばちゃんに、おにぎりを握ってもらうんだ。
「おはようございます、時友くん」
むにゃむにゃ。はだけた寝間着の隙間から伸びた足が寒くて、ぼくはゆっくり目をあけた。
あれ、どうやら夢だったみたい。どこまでが夢だったのかなあ。
「さあ、冒険にでかけましょう。時友くん」
ああ、そうか、約束は本当だった! うーんと大きく深呼吸をして、ぼくは羽丹羽くんにおはようを言う。