二は(時友・羽丹羽)

「好きなんだ」
 と言って、
「ぼくも好きですよ」
 と返ってきたときの、そうじゃなくて、という困惑。
「ちがうよ、大好きなんだよ」
 と言って、
「はい、ぼくも大好きです」
 と返ってきて、あ、おなじ思いなのかも! と気付いた時の感動。
 今では笑い話だ。
 羽丹羽くんとの、深夜の電話。コーヒーの代わりに、ジュースを飲む。
「ねえ、ぼくらこのまま、大人になっていくのかなあ」
「いいんじゃないですか、ならなくて」
 大人たちは勝手だから、ぼくらをすぐ、枠組みの中に入れたがる。ぼくらはくすくすと、それを笑い飛ばす。
「ごめんね、夜遅くに」
「いいえ、ぼくも話したかったから」
 くすくすが、心地いい。羽丹羽くんの笑い声が、ぼくは大好きだ。
「ねえ、時友くん。ぼくね、時友くんに、とっても力をもらってるんです」
「ちから?」
「そう。大丈夫ぢから」
「大丈夫ぢから、かあ」
 彼なりのアイラブユーに、心が弾んで、あたたかい。ジュースの甘味、照れのこそばゆさ。
 ひとりじゃない夜。愛しさの募る夜。
 歌うように、ぼくらは、大好きだよを繰り返す。
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