その他
「おおい、左門、三之助ぇ」
相変わらず、二人は駆けて行ってしまう。俺は草原に一人、取り残される。
護衛の忍務があったのだが――おぼっちゃんはおれたちと背丈が変わらないから、敵を惑わす目的だった――、終わった途端にこれだ。おれはやれやれと溜息を吐く。
忍務は無事に終わったので、二人がどこに行こうが、今に限ってはいいのだが。無事に帰ってこそ忍務の完了というものだ。しかし、少し疲れてしまった。おれはどっかりと地面に腰を下ろした。
草原は青々と茂っていた。こげ茶の地面はやわらかで、蟻があるいている。この蟻は帰る家がわかっている。かしこいもんだ。
背負っていた風呂敷から握り飯を取り出し、頬張った。ほどよい塩気が疲れた身体に沁みる。はあ、と大きく呼吸をすれば、風が鼻をくすぐり、その刺激でくしゃみをひとつ。
手で鼻をこすりながら、さて、と思った。さて、これからどうしよう。左門を先に探すか、三之助を先に探すか。それともおれ一人で帰っちまうか。いや、それはだめだ。まるで見捨てるようだ、そんなことできない。無事に揃って帰らなければ。
あいつらも、「あっちだ」と「こっちだ」の先で、今頃握り飯を取り出して食べていることだろう。まったく呑気なものだ。蟻を見習ってほしいくらいだ。
風がおれの髪を揺らして去っていく。このままあいつらのところまで連れて行ってくれればいいのに。
「さて」
おれは改めて口に出した。口に出すことで、気持ちは切り替わる。腹も膨れた、少し休憩も出来た。草原もそよそよと、おれを応援してくれている。
忍務の総仕上げ、最後の難関。あいつらと合流すること!
「おおい、左門、三之助ぇ」
おれは駆け出した。舌先で舐めた口の端が、まだ少し塩辛い気がした。草鞋が土を蹴り上げる。
相変わらず、二人は駆けて行ってしまう。俺は草原に一人、取り残される。
護衛の忍務があったのだが――おぼっちゃんはおれたちと背丈が変わらないから、敵を惑わす目的だった――、終わった途端にこれだ。おれはやれやれと溜息を吐く。
忍務は無事に終わったので、二人がどこに行こうが、今に限ってはいいのだが。無事に帰ってこそ忍務の完了というものだ。しかし、少し疲れてしまった。おれはどっかりと地面に腰を下ろした。
草原は青々と茂っていた。こげ茶の地面はやわらかで、蟻があるいている。この蟻は帰る家がわかっている。かしこいもんだ。
背負っていた風呂敷から握り飯を取り出し、頬張った。ほどよい塩気が疲れた身体に沁みる。はあ、と大きく呼吸をすれば、風が鼻をくすぐり、その刺激でくしゃみをひとつ。
手で鼻をこすりながら、さて、と思った。さて、これからどうしよう。左門を先に探すか、三之助を先に探すか。それともおれ一人で帰っちまうか。いや、それはだめだ。まるで見捨てるようだ、そんなことできない。無事に揃って帰らなければ。
あいつらも、「あっちだ」と「こっちだ」の先で、今頃握り飯を取り出して食べていることだろう。まったく呑気なものだ。蟻を見習ってほしいくらいだ。
風がおれの髪を揺らして去っていく。このままあいつらのところまで連れて行ってくれればいいのに。
「さて」
おれは改めて口に出した。口に出すことで、気持ちは切り替わる。腹も膨れた、少し休憩も出来た。草原もそよそよと、おれを応援してくれている。
忍務の総仕上げ、最後の難関。あいつらと合流すること!
「おおい、左門、三之助ぇ」
おれは駆け出した。舌先で舐めた口の端が、まだ少し塩辛い気がした。草鞋が土を蹴り上げる。