その他

 しゅわしゅわの、きらきら! 窓辺の席で、太陽の光がグラスのなかに溶け込んで氷に反射している様子に、ぼくはうっとりしてしまう。
 このカフェの名物のクリームソーダを頼んでいた。緑色の涼やかな飲み物はぱちぱちと弾けて、上にひんやりとしたアイスクリームが乗っている。そして極めつけは、つややかで真っ赤なさくらんぼ。まるで宝石みたい! ああ、なんてかわいい飲みものなのだろう。
 からんからん、と氷をかきまわして、ストローでソーダを飲み込んだ。口の中が一気につめたくなって、ぶるりと身体が震える。甘くて、しゅわしゅわ、ぱちぱち。夏だ、夏がやってきた。目がしぱしぱとする。銀のながーいスプーンで、アイスクリームをひとくち。舌の上でまろやかにとろけて、それにも思わず目を瞑る。
 目を瞑ると、夢が見える。ぼくが正義のヒーローになった夢。悪者をやっつけて、みんなを救うんだ。緑色のきらきらした国で、泡の光線で、大暴れ。みんなキンキンに冷えちゃうんだ。
 ぼくがヒーローになっている間にアイスクリームが少し溶けて、ソーダのなかに混ざっていった。氷の上のところはしゃりしゃりしていて楽しい。からんからん。夏の味をたっぷり飲んだぼくは、大満足でカフェを出た。
 帰り道、ぼくはポストを探した。お手紙をだそうと考えていた。昨日、文房具屋さんでお星さまのレターセットを買って、久しぶりにお手紙を書いたのだ。夏のあいさつをたっぷり書いてぱんぱんに膨らんだ封筒を、さくらんぼと同じくらい真っ赤なポストはぱくりと飲み込んだ。はやく届くと良いな。郵便屋さんはいつも忙しそうだ。いろんな人から出されたいろんな手紙を毎日配達しているのだから、たいへんなお仕事だ。
 郵便屋さんが、実は正義のヒーローだったりして。お手紙を届けるふりして、情報収集をしているんだ。悪者のアジトを見つけ出すのにはもってこいの職業だ。
 なんて妄想を陽炎のあいまにしながら、帰り道を歩く。クリームソーダのてっぺんで見る夢は、いつもわくわくする冒険ばかりで、そうだ、次のお手紙にはその冒険譚を書こう、と思った。ぱんぱんに膨らんだ手紙を飲み込むポスト、真っ赤なさくらんぼ。
 しゅわしゅわの、きらきら! 太陽が肌を焼いていく。クリームソーダがおいしいから、夏という季節は好きだった。
14/40ページ
スキ