二は(時友・羽丹羽)

 絹のような手触りの川が、さらさらと手のひらを零れ落ちてく。せきちゃんの髪は柔らかくて、指と指のあいだがくすぐったくて心地よい。
「しろちゃんは、いい匂いがしますね」
 ぽかぽか、ひだまりのなか、わたしたちはお日様のしあわせをたっぷり吸い込んでいた。
「しろちゃん、あったかくて、気持ちいいです」
「せきちゃんもだよ」
 わたしに抱き着いたせきちゃんは、胸元に顔を埋めてにこにこだ。黒いさらさらの髪。ほんとうに宝物みたい。
「せきちゃんの髪、綺麗だなあ」
「しろちゃんの髪だってふわふわですよ。だいすき」
 わたしが羽織る薄黄緑色の着物に頬ずりすると、せきちゃんは膝の上に頭をのせて、わたしの頬に手を伸ばした。ふくふくの手のひら、せきちゃんの体温は高めで、お日様を吸った分も相まってとてもあたたかかった。頬を数度撫でた後、鼻を指先でつついて、くすりと笑う。
「しろちゃんが髪をもっと伸ばしたら、おそろいの髪型にしましょうね」
「それで、町でおそろいのかんざしを買うの」
 なにいろを買おうねえ。水色、桃色、きらきらのそれたちを、わたしたちは夢見て笑った。はにちゃんには黄色も似合うかもしれない。ぽかぽか、お日様の色。かわいい笑顔の色。あたたかな、しあわせな色。手をとりあって、握りあう。
「きもちいいね」
 膝の上のせきちゃんのおでこを撫でて、さあ、とわたしは言う。せっかくのお天気なのだから、お散歩にでかけようか。
 さらりと髪をなびかせるせきちゃんの隣を歩きながら、自分のうなじを触った。おそろいの髪型にしたとき、風の感じ方は、かわるだろうか。楽しみだな、と見上げたお日様は、ぽかぽかのしあわせ色だった。
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