二は(時友・羽丹羽)
なにか特別なことをしたいねえ、と言いあいっこしてたなかで、出てきた案が「朝日を一緒に見よう」だった。
ここのところ雨が続いていたから、一緒にお日様を見ること自体が、ちょっとした「特別」なことだった。ぼくらは早々に布団に入って、暗いうちに起きようね、ぐっすり寝ないようにしようね、と確認しあった。綿密な計画を立てるのも楽しかった、わくわくと目をつむり、深呼吸をみっつ。ぼくはあっという間に夢のなか。つぎに気付いた時は、羽丹羽くんに揺り起こされた時だった。
「時友くん、時友くん。起きてください」
「おはよう羽丹羽くん、もうそんなに経った?」
「ええ、はやく行きましょう。お日様がでてしまう前に」
ついさっき布団に入ったばかりな気がするのに。ぼくらは着替えて、こっそり長屋を抜け出す。小松田さんは眠っている頃だ。
空が、徐々に徐々に、水色に白んでいく。ぼくらは走って、裏山の頂上へ向かった。よく目を凝らして足元を見たので、綾部先輩の罠にもひっかからなかった。急いで急いで。空に黄色が混じりだす。
頂上に到着した時、ちょうど朝日が地平線から覗きだした。世界が眩く包まれていくのを、羽丹羽くんと眺めていた。
息を飲むような美しさ。青と黄色、少しの桃色、きらきらの雲。うっとりと空に見とれていると、ひら、となにかが視界を遮った。
「あ、ちょうちょう」
「ほんとうだ!」
手のひらで羽を受け止めると、宝石のように輝きだして、ぼくらは眩しさに目を細めた。お日様の光を反射して、ぼくらの顔が照らされる。
「きれいだねえ」
「たからものみたいですねえ……!」
おはよう世界、はじめまして世界。手の中から光が溢れ出す。
特別な朝だった。たからものの朝だった。羽丹羽くんはにこにこと笑って、嬉しそうにしている。それを見られただけでも、とってもとっても嬉しかった。
ここのところ雨が続いていたから、一緒にお日様を見ること自体が、ちょっとした「特別」なことだった。ぼくらは早々に布団に入って、暗いうちに起きようね、ぐっすり寝ないようにしようね、と確認しあった。綿密な計画を立てるのも楽しかった、わくわくと目をつむり、深呼吸をみっつ。ぼくはあっという間に夢のなか。つぎに気付いた時は、羽丹羽くんに揺り起こされた時だった。
「時友くん、時友くん。起きてください」
「おはよう羽丹羽くん、もうそんなに経った?」
「ええ、はやく行きましょう。お日様がでてしまう前に」
ついさっき布団に入ったばかりな気がするのに。ぼくらは着替えて、こっそり長屋を抜け出す。小松田さんは眠っている頃だ。
空が、徐々に徐々に、水色に白んでいく。ぼくらは走って、裏山の頂上へ向かった。よく目を凝らして足元を見たので、綾部先輩の罠にもひっかからなかった。急いで急いで。空に黄色が混じりだす。
頂上に到着した時、ちょうど朝日が地平線から覗きだした。世界が眩く包まれていくのを、羽丹羽くんと眺めていた。
息を飲むような美しさ。青と黄色、少しの桃色、きらきらの雲。うっとりと空に見とれていると、ひら、となにかが視界を遮った。
「あ、ちょうちょう」
「ほんとうだ!」
手のひらで羽を受け止めると、宝石のように輝きだして、ぼくらは眩しさに目を細めた。お日様の光を反射して、ぼくらの顔が照らされる。
「きれいだねえ」
「たからものみたいですねえ……!」
おはよう世界、はじめまして世界。手の中から光が溢れ出す。
特別な朝だった。たからものの朝だった。羽丹羽くんはにこにこと笑って、嬉しそうにしている。それを見られただけでも、とってもとっても嬉しかった。