その他

 豪雨が大地を襲う。
 六年生の先輩方は、そんななかでも実習へと赴いていた。忍術学園を留守にして、もう四日は立つ。
 その間、体育委員会の活動としては、各自のトレーニングのみでいいと指示が出されていた。ぼくはさっきまで掘っていた塹壕のなかで、雨にうたれながら俯く。
 自分が六年生になった時の想像が、つかなくなっていた。
 いつもは、輝かしく活躍する先輩方に憧れて、その背中を追いかけることが楽しいのだけれど、なんだか今日は、雨に気分がやられてしまった。
 ぼくはあと、どれほど強くなればいいのだろう。
 庭に掘った塹壕は拙くて、雨が降る前に埋めてしまいたかったのに間に合わなかった。そんな些細なことが、ずっしりと身体を蝕んでいく。
 つよくなりたいなあ。つよくなりたい。
 誰かの傘になれるような人になりたいなあ。ぼくという存在が、誰かの止まり木になれるよう、ずっしりと根を這わせ、幹を聳えさせたい。
 苦無を握った手の、潰れた豆が雨に沁みて痛かった。
 いつの日か咲けるだろうか。誰かを悼むことになった時、自分の身体を焦がすような、そして灰となっても包み込めるような、そんな人になれるだろうか。
 忍者となる者は、すべて業を背負っていくことになる。
 ぼくにもいずれ、業という名の棘が刺さっていくのだろう。
 みんなの背に刺さっていくであろう棘を、抜いていける人になるためには、やはりどうしたって、強さが必要になる。
 思いばかり募っていく。
 この潰れた豆の傷口が塞がっていく頃、だれかの笑顔を守れる人であれますように。
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