その他
あいつらの腰から縄を解く、脱衣所での時間。二人は解放されて嬉しそうにするけれど、おれとしてはやれやれという溜息が出る。今日も一日、たくさん縄を操った。
風呂に入ると、途端に手のひらがほんのりじんじんと熱を持った。石鹸を泡立てると少し染みる。今日も摺れた箇所があるようだ。
「どうした、作兵衛」
「……なんも!」
左門と三之助が不思議そうにおれを見る。心配をかけたくなくて、なんてことない顔で、身体を洗った。
――あいつらの腰にくくりつけた縄を握る毎日。
それは、おれの手のひらを厚くさせるのに、充分な理由だった。
縄はなくてはならない、じゃないとあいつらが勝手にどこかに行ってしまう。おれの責任感が、それをどうにも許せない。
目に見えるところにいてほしい。
俺のわがままかもしれない。痛い目を見た方が、あいつらも学習するのかもしれない。でも、やっぱり一緒にいたかった。学友として、同室として、心配ばかりする日々だけれど、共に過ごす時間は愉快で、そのどれもが輝く思い出になるのは間違いない。
身体を洗い、湯舟に浸かる。一日の疲れを癒していく。
「今日も沢山走ったな」
左門と三之助も、腹から息を吐いてリラックスしていた。おまえたちはおれを振り回していただけだろ、と言えなくもないけれど、だまっておく。言ったところで明日も変わらないに決まっているのだ。
その決まり切った約束事を愛しく思っていることは、伏せておく。
おれの手のひらは、六年生になった頃、どこまで逞しくなっているだろうか。湯舟の中でそっと手を握った。二人の手を握るように、そっと。
風呂に入ると、途端に手のひらがほんのりじんじんと熱を持った。石鹸を泡立てると少し染みる。今日も摺れた箇所があるようだ。
「どうした、作兵衛」
「……なんも!」
左門と三之助が不思議そうにおれを見る。心配をかけたくなくて、なんてことない顔で、身体を洗った。
――あいつらの腰にくくりつけた縄を握る毎日。
それは、おれの手のひらを厚くさせるのに、充分な理由だった。
縄はなくてはならない、じゃないとあいつらが勝手にどこかに行ってしまう。おれの責任感が、それをどうにも許せない。
目に見えるところにいてほしい。
俺のわがままかもしれない。痛い目を見た方が、あいつらも学習するのかもしれない。でも、やっぱり一緒にいたかった。学友として、同室として、心配ばかりする日々だけれど、共に過ごす時間は愉快で、そのどれもが輝く思い出になるのは間違いない。
身体を洗い、湯舟に浸かる。一日の疲れを癒していく。
「今日も沢山走ったな」
左門と三之助も、腹から息を吐いてリラックスしていた。おまえたちはおれを振り回していただけだろ、と言えなくもないけれど、だまっておく。言ったところで明日も変わらないに決まっているのだ。
その決まり切った約束事を愛しく思っていることは、伏せておく。
おれの手のひらは、六年生になった頃、どこまで逞しくなっているだろうか。湯舟の中でそっと手を握った。二人の手を握るように、そっと。