その他

 もういい、全てが面倒くさい、と脳内で叫び、台所の明かりをつけた。レポートがどうにも終わらない。
 備蓄品を入れる棚を漁ってみれば、袋麺が数種類ある。ひとつを手に取れば醤油味だった。今の気分的に丁度良い。
 鍋に水を入れ、火にかける。換気扇をこの時間に回すことに申し訳なさを感じないこともない。ごうごうという音が響き、湯がふつふつと沸き立つ。
 具がなにもないのは味気ないが、こんな真夜中に勢いで作っているため、仕方なかった。そこは妥協するしかない。乾麺を入れ茹でる。菜箸を持つ手が熱い。
 どんぶりを用意するのも煩わしかった。鍋にそのままタレを入れた。火を止め、その場で立ったまま、麺を啜った。
 空腹にどんぴしゃの味であった。
 醤油の香ばしさ、塩気。咀嚼した時の麺の弾力。湯気で顔が火照る。額と鼻に汗が滲んだ。
 あっという間に食べ終わり、ごちそうさまでした、と形だけ呟いた。いらいらとしていた頭は落ち着きを取り戻し、あたたかくなった腹は幸福に満ちていた。
 食べるということは素晴らしいことである。台所で鍋から直接、立ったままラーメンを食べることも、食事と形容してよいのなら。
 鍋と菜箸をさっと洗い、台所の電気を消した。レポートのラストスパートの再開だ。
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