二は(時友・羽丹羽)

 夜八時でも、随分暗くなった。
 白い息をはあっと吐き出すと、視界の中の景色が一瞬白い色で上書きされて、けれどあっという間に消えていくから、それがおもしろくてつい何度もやってしまう。
 ファミリーマートの出口ではあはあふうふうしながら待っていると、いつもの軽快なメロディーと一緒に、羽丹羽くんが帰って来た。
「時友くん、おまたせしました」
「ココア、買えた?」
「ええ。あと、これも」
 羽丹羽くんの手にはビニール袋。中に入っているのは、あつあつのあんまんだった。
「はんぶんこしませんか」
「いいの?」
 羽丹羽くんがあんまんを掴み、ぐ、と真ん中から割いた。あんが零れだして、熱そうな湯気を一気にくゆらせる。
「かんぱい!」
 あんまんの欠片で乾杯した。口に放ると、あつあつのあんこが甘くてまろやかで、舌を火傷しそうになりながらも、そのぎゅっとつまったおいしさと噛み応えが嬉しくて、夢中で咀嚼してしまった。
「おいしいねえ。二人で食べると」
「ええ。時友くんと、はんぶんこ」
 夜空にあんこ色の息を吐きだしながら、はふはふとかぶりつく。二人で食べるとっておきの甘さは、頬が落ちてしまいそうな程しあわせの味だった。
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