二幕『朧月夜の揺籃歌』

「……随分と静かな夜が似合う国なんですね」
「そうですね。星空なんかがよく見える国ですよ」
「この世界でも星空は見られるんだ」
「さぁ?死人が勝手にそう言ってるだけですからね。だから星空って呼んでます」
「そうなんですね……あ、でも月はないんだ」
「現世には月なんてものがあるんですか?」
「うん……夜にしか出なくて……ああでも昼でも見れる時はあって。それに、日によって形が変わるんです。丸くなったり、隠れたり色々。たまに大きさが変わったり、色が変わったりもします」
「へぇ。そんなものが空にあるなんて気持ち悪い」
「……そんなこと言う人初めて見ました」
「そうですか?まあ、地に月があってもそれはそれで気持ち悪いですけどね」

耳鳴りがするくらいに静かな町を臨む。朧月夜に攫われた星に、揺籃歌は届かない。

「──歪な月はどこに隠れているのでしょうね?」
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