中等部女子の長い昼休み

お付き合いを始めたからといって、そこに行き着くのはまだまだ先のような気がする。

なによりも…。

「───まずお披露目できる場所がないんじゃない?」

「真菰ちゃん!?」
「あー…まぁ確かにそうね」



恋心を寄せる彼のことで、表情をころころ変える襧豆子ちゃんは愛らしい。平和な言い合いを続ける二人を尻目に、ふと窓の外へ視線を移した。クリスマス時期には、今よりもっと気温が下がって寒くなる。温かさを考えるならば、やはりロングスカートの方がいいのかもしれない。

そんなことを考えながら、美術室の窓の向こうを見つめた。灰色しかなかった世界に、わずかな陽光が降り注いでいる。

途端、上から落下してくる何かが見えた。上から垂直に降ってきて、すぐに下へと消えていった何か。それは一瞬の出来事で、数秒でも別へ視線を向けていたら、きっと気づけなかった。

「………ん?」
私の視線が窓へと向いているのに気づき、二人の会話が止まる。ならうように二人も窓の方へと向くが、長方形の枠の中にはもう何も見えなかった。
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