中等部女子の長い昼休み
「イブの夜にイルミネーションってもう恋人同士のデートじゃん!え、すごい!大人っぽい!」
「………デートって思っていいのかな」
「思っていいよ!男女でイブの夜に会うんだよ?デート以外ないじゃん」
「そ、それでね!」
顔を上げた襧豆子ちゃんの頬は林檎のように赤くて、興奮のせいか瞳がほんの少し潤んでいる。
「最初はみんなと行く話をしてるんだと思ったの。だから、私からも他の子に連絡しとくよって言ったら………二人でって…」
「きゃー!!やるねぇ無一郎くん!」
襧豆子ちゃんがどれほど驚き嬉しかったのか、その光景を想像するだけでひしひしと伝わる。まるでドラマのワンシーンを観ているようで、脚をバタバタさせると冷たい床から乾いた音が響いた。
そして基本的にすまし顔の彼は、一体どんな表情で襧豆子ちゃんを誘ったのだろう。時折、笑顔を見せることはあっても、大きく表情が崩れたり、なおかつ赤面するところなんて見たことはない。今の襧豆子ちゃんのように、恋する顔になっていたのだろうか。
非常に興味があるところではあるが、それはきっと襧豆子ちゃんだけのものだ。彼女の胸の中にだけ閉まっておいた方がいいはず。ここを追求するのは野暮だと感じ、次の話へと進めた。
「駅前のイルミネーション、毎年デザイン変わるんだよね。確か周辺の道沿いにもイルミネーションが施されてさ。結構人もすごいよね」
「うん…だから早めに行く予定。手伝いが終わるのが夕方頃だから、夕方から会ってどこかでご飯食べて…それから」
「ご飯も一緒に食べに行くの!?」
食い気味にそう叫ぶと、襧豆子ちゃんが小さくコクリと頷いた。本格的に恋人同士のデートではないか。ここにはいない無一郎くんに向かって、心の中で親指を立てた。
「それで、もし行きたいお店があったら教えてねって、それでとりあえず話は終わったんだけど…どこがいいと思う?あと服も…」
友人が持ってきていた鞄を、ごそごそと漁り始める。取りだし見せてきたのは、今朝に彼女が読んでいた雑誌だった。
『KMteen』のタイトルと共に、モデルの女の子が二人、爽やかな笑顔を放っている。襧豆子ちゃんに似合う服ならば、この雑誌の中にきっといくらでもある。見せてと雑誌に手を伸ばした瞬間、扉の方からガラリと音が鳴った。
「………デートって思っていいのかな」
「思っていいよ!男女でイブの夜に会うんだよ?デート以外ないじゃん」
「そ、それでね!」
顔を上げた襧豆子ちゃんの頬は林檎のように赤くて、興奮のせいか瞳がほんの少し潤んでいる。
「最初はみんなと行く話をしてるんだと思ったの。だから、私からも他の子に連絡しとくよって言ったら………二人でって…」
「きゃー!!やるねぇ無一郎くん!」
襧豆子ちゃんがどれほど驚き嬉しかったのか、その光景を想像するだけでひしひしと伝わる。まるでドラマのワンシーンを観ているようで、脚をバタバタさせると冷たい床から乾いた音が響いた。
そして基本的にすまし顔の彼は、一体どんな表情で襧豆子ちゃんを誘ったのだろう。時折、笑顔を見せることはあっても、大きく表情が崩れたり、なおかつ赤面するところなんて見たことはない。今の襧豆子ちゃんのように、恋する顔になっていたのだろうか。
非常に興味があるところではあるが、それはきっと襧豆子ちゃんだけのものだ。彼女の胸の中にだけ閉まっておいた方がいいはず。ここを追求するのは野暮だと感じ、次の話へと進めた。
「駅前のイルミネーション、毎年デザイン変わるんだよね。確か周辺の道沿いにもイルミネーションが施されてさ。結構人もすごいよね」
「うん…だから早めに行く予定。手伝いが終わるのが夕方頃だから、夕方から会ってどこかでご飯食べて…それから」
「ご飯も一緒に食べに行くの!?」
食い気味にそう叫ぶと、襧豆子ちゃんが小さくコクリと頷いた。本格的に恋人同士のデートではないか。ここにはいない無一郎くんに向かって、心の中で親指を立てた。
「それで、もし行きたいお店があったら教えてねって、それでとりあえず話は終わったんだけど…どこがいいと思う?あと服も…」
友人が持ってきていた鞄を、ごそごそと漁り始める。取りだし見せてきたのは、今朝に彼女が読んでいた雑誌だった。
『KMteen』のタイトルと共に、モデルの女の子が二人、爽やかな笑顔を放っている。襧豆子ちゃんに似合う服ならば、この雑誌の中にきっといくらでもある。見せてと雑誌に手を伸ばした瞬間、扉の方からガラリと音が鳴った。