同級生二人の短いクリスマス

すぐに慌てた様子で、襧豆子が外へ飛びだしてきた。六太くんと炭治郎が手を繋ぎながら、襧豆子に続いて出てくる。勢揃いした竈門家のきょうだい達に『ごゆっくり』だなんて仲良く送り出された。

襧豆子と並んで歩きだすと、寒さなんて一気にどうでもよくなった。凍りつくような冷気が、吐く息を白くさせていても。そんなことより、やけに左肩がこそばゆい。僕の左隣を歩く彼女が、申し訳なさそうに話しだした。

「ごめんね…なんかいろいろと騒がしくて」

「全然。久しぶりにみんなに会えてよかったよ。前に会ったときより、六太くんも大きくなっててびっくりした」

「ふふ。六太ね、前に無一郎くんに紙ひこうきの折り方教えてもらってたでしょ?幼稚園で飛ばしてみせたら、友達にびっくりされたんだって」

「そうなんだ!折り紙先生からすれば誇らしいなぁ」

「あははっ!そういえばあの時言ってたね。折り紙先生って」襧豆子が口元に手を当てて笑いだした。普段どおりに僕は話せているだろうか。平静を装っているつもりでも、心臓がトクトクと波打ち始めて、内心気が気でなかった。

…まずい。むちゃくちゃ可愛い。

ファッションに疎い僕から見ても、今日の服や髪型は襧豆子にとてもよく似合っていた。彼女の着ている白いジャケットと、自分の黒いジャケットを見比べてみる。今の時期、誰もが着てそうなボアのジャケットなのに、なぜだかお揃いのように感じてしまう。

………意識しすぎだろ。

火に水を打ちつけるみたいに、火照りだす頬を冬の風が冷やしてくれる。並んで歩く襧豆子との隙間は、まだ遠慮がちに遠い。
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