好きな子
*有一郎side*
自身の左足と、襧豆子の右足をぴたりとくっつける。渡された紐を結んでいると、頭上から襧豆子の声が落ちてきた。
「かけ声どうする?」
「かけ声?」
「いっち、に、のいちで、繋がれた足を出すか、外側の足を出すか。合わせとかないと」
あぁ、と合点がいった。立ち上がり、改めて襧豆子との距離の近さに胸がドキリとした。顔に出さないよう、いつも以上にしかめっ面になってる気がする。
「そうだな…どっちがやりやすい?」
「うーん…」
実際に歩いて足を動かしてみた。いちで繋がれた足を出すということに決まると、入場門へ集合がかかる。
当日になるまでペアの相手が分からない、という二人三脚。親睦を深める為だとか、誰とでも仲良くなれるようにとか、そんなコンセプトが裏にあるらしかった。人見知りには苦痛でしかないコンセプトだ。
面識ない相手といきなり二人三脚だなんて、正直気分が乗らなかった。でもクジで決まってしまったから、従う他になく、憂鬱な気持ちを抱えていた。だから相手が襧豆子だと知ったときはかなり安心したし、何よりも単純に嬉しかった。
自身の左足と、襧豆子の右足をぴたりとくっつける。渡された紐を結んでいると、頭上から襧豆子の声が落ちてきた。
「かけ声どうする?」
「かけ声?」
「いっち、に、のいちで、繋がれた足を出すか、外側の足を出すか。合わせとかないと」
あぁ、と合点がいった。立ち上がり、改めて襧豆子との距離の近さに胸がドキリとした。顔に出さないよう、いつも以上にしかめっ面になってる気がする。
「そうだな…どっちがやりやすい?」
「うーん…」
実際に歩いて足を動かしてみた。いちで繋がれた足を出すということに決まると、入場門へ集合がかかる。
当日になるまでペアの相手が分からない、という二人三脚。親睦を深める為だとか、誰とでも仲良くなれるようにとか、そんなコンセプトが裏にあるらしかった。人見知りには苦痛でしかないコンセプトだ。
面識ない相手といきなり二人三脚だなんて、正直気分が乗らなかった。でもクジで決まってしまったから、従う他になく、憂鬱な気持ちを抱えていた。だから相手が襧豆子だと知ったときはかなり安心したし、何よりも単純に嬉しかった。