好きな子

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『次の種目は借り物競争です』
プログラムを開いて確認する前に、アナウンスが流れた。お茶を一口飲んで、テントに座ってそれぞれ楽な姿勢を取るクラスメイトを眺めた。

「次の借り物競争、有一郎くんと無一郎くんが出るんだよね?」

「あぁ。あの二人ならきっと速いだろうな」

「借り物競争って、たまに面白い借り物が出るんだよね。今年は何が出るかな〜」
胡座をかいて座る錆兎くんは、流石こんな時でも竹刀を持っている。真菰ちゃんは自前のカメラのレンズを磨きながら、ウキウキと楽しそうにしていた。

もう一杯のお茶を水筒から注いでいると、穏やかな声に話しかけられる。

「皆さん、お疲れ様です」

「千寿郎くん」
「お疲れ様〜」
「おす」

口々に挨拶をしながら、自然とみんなの体が動く。ちょうど人一人が座れる面積が出来上がると、千寿郎くんがお礼を言いながら座った。
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