好きな子

*襧豆子side*

雲ひとつない青空を見上げ、真菰ちゃんが大きく背伸びをした。両手首にはめている水色のポンポンが、陽の光を受けて反射している。

青緑色のポンポンを私も手首にはめた。振ってみると、カシャカシャと軽やかな音が鳴る。

「緊張する〜でも楽しみ!」

「あれだけ練習したもん。大丈夫だよね」

「うん、頑張ろう!」
照りつける太陽に負けないぐらい、真菰ちゃんの元気な声が女子たちを盛り上げた。入場の音楽が流れると、列になってみんなで駆け出す。

練習どおりの指定位置に着くと、聴覚に意識を集中させる。一時の静寂。緊迫した空気の中に混ざるのは、浮き立つ興奮感。

本部席にあるスピーカーから聞き慣れたイントロが流れだすと、体に染みついた振り付けが自然と動き出した。
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