好きな子

*有一郎side*

窓から差し込む夕日がまぶしくて、少しだけ目を細めた。車内がだんだんオレンジ色に染まっていくのをぼんやり眺める。いつの間にかバスの乗客は俺たちだけになっていた。

がたん。またバスが大きく揺れる。
一番後ろの席に座っているから、振動が他の席に比べて大きい。一番後ろなら三人一緒に座れる。そう言う襧豆子に無一郎が着いていくから、仕方なく俺も着いていった。錆兎と真菰と別れ、帰る方向が同じ俺たちは、同じバスに乗っている。
先ほど食べたパフェのおかげで、揺れると少しだけ気持ちが悪かった。まだ口の中が甘たるい。


左隣に座る襧豆子を見ると、さっきから左右を行ったり来たりと項垂れた頭が揺れている。このバスの揺れが心地いいのか、寝てしまったようだった。更にその隣に座る無一郎を見ると、無一郎もどうやら寝ているようだ。

無一郎はともかく…。
いくらなんでも無防備すぎやしないか。

もう一度襧豆子を横目で見ると、本当にぐっすりと眠っている。
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