好きな子
雨上がりのグラウンドは苦手。
水気を十分に含ませた土が、白い靴に色を塗っていく。ぬかるんだ地面を意識しながらも、指示通りに支柱をしっかり支えていた。見上げると、瞬く間に広がっていく白い屋根。鳥が羽を広げるように、バサッと音がしたのと同時に、骨組みがはまる感覚が支柱から手に伝わってきた。
「よし、OK。もう離していいぞ」
錆兎くんから許可がおりたので手を離した。
ピンと張られたテントを見上げ、真菰ちゃんが歓喜の声を上げる。
「やっぱテンション上がる〜!このテントと旗見てるとさ、やる気でてくるよね!」言いながらぐるりとグラウンドを見渡す。ならって私も見渡してみた。
本部席のテントを中心とし、グラウンドを囲むように、順で張られたクラスのテント。本部席の方には机にマイク、スピーカー等の機材が置かれている。その前にはクラスごとの応援旗が掲げられており、風で気持ちよさそうに揺らめいていた。
「雨、やんでよかったね」
「本当!雨でも体育祭はあるけどさ、体育館に変更ってだけで。でもやっぱり外じゃないと!」イベント好きな真菰ちゃんがウキウキと楽しそうに話すので、つられて私も楽しい気分になってくる。
小中高一貫のキメツ学園。生徒数は県内一位という人気のある学園に、中等部二年として通っている。そして、明日は中等部の体育祭が開催される日だった。
昨日まで降り続けていた雨は今朝方に止み、今はすっきりとした表情で太陽が顔をだしている。
「この様子だと、明日には地面も完全に乾いてるだろ」太陽を見上げながら錆兎くんが言った。確かに今日一日晴れていてくれたら、明日には普段どおりのグラウンドに戻っていそうだ。せっかくの体育祭、抜群のコンディションで迎えたい。
「そっち終わったかー?」
本部の方の準備を終えた、有一郎くんと無一郎くんが戻ってきた。
「こっちも終わり」
「ねぇ、銀杏組の応援旗もう見た?すごかったよ」無一郎くんがそう言いながら、応援旗のある方角を指さす。隣に立つ有一郎くんがすぐさま渋い顔をした。
水気を十分に含ませた土が、白い靴に色を塗っていく。ぬかるんだ地面を意識しながらも、指示通りに支柱をしっかり支えていた。見上げると、瞬く間に広がっていく白い屋根。鳥が羽を広げるように、バサッと音がしたのと同時に、骨組みがはまる感覚が支柱から手に伝わってきた。
「よし、OK。もう離していいぞ」
錆兎くんから許可がおりたので手を離した。
ピンと張られたテントを見上げ、真菰ちゃんが歓喜の声を上げる。
「やっぱテンション上がる〜!このテントと旗見てるとさ、やる気でてくるよね!」言いながらぐるりとグラウンドを見渡す。ならって私も見渡してみた。
本部席のテントを中心とし、グラウンドを囲むように、順で張られたクラスのテント。本部席の方には机にマイク、スピーカー等の機材が置かれている。その前にはクラスごとの応援旗が掲げられており、風で気持ちよさそうに揺らめいていた。
「雨、やんでよかったね」
「本当!雨でも体育祭はあるけどさ、体育館に変更ってだけで。でもやっぱり外じゃないと!」イベント好きな真菰ちゃんがウキウキと楽しそうに話すので、つられて私も楽しい気分になってくる。
小中高一貫のキメツ学園。生徒数は県内一位という人気のある学園に、中等部二年として通っている。そして、明日は中等部の体育祭が開催される日だった。
昨日まで降り続けていた雨は今朝方に止み、今はすっきりとした表情で太陽が顔をだしている。
「この様子だと、明日には地面も完全に乾いてるだろ」太陽を見上げながら錆兎くんが言った。確かに今日一日晴れていてくれたら、明日には普段どおりのグラウンドに戻っていそうだ。せっかくの体育祭、抜群のコンディションで迎えたい。
「そっち終わったかー?」
本部の方の準備を終えた、有一郎くんと無一郎くんが戻ってきた。
「こっちも終わり」
「ねぇ、銀杏組の応援旗もう見た?すごかったよ」無一郎くんがそう言いながら、応援旗のある方角を指さす。隣に立つ有一郎くんがすぐさま渋い顔をした。
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