会えない時間

───生理痛の薬のおかげで、下腹部の痛みが和らいできたのを感じる。

あれからすぐに帰ってきた無一郎くんは、薬以外にもハーブティーやココアのスティック、カイロまで買ってきてくれた。お腹を冷やしてはいけない。まるでお母さんのようなことを言ってる無一郎くんに、思わず笑ってしまった。

いつものお泊まりなら、まだ起きている時間なのに。寝る支度をすませると、すぐにベットへと招き入れられた。

抱きしめられて横になっていると、だんだん彼と同じ体温になってくる。安心するぬくもりに包まれていると、やっぱり沸き起こるのは少しの罪悪感だった。

無一郎くんの胸元に顔を埋めたまま、まだ起きているであろう彼へ話しかける。

「無一郎くん…」
「……うん?どうしたの?お腹痛い?」

「ううん、大丈夫。ごめんね…その…できなくて」
「まだそんなこと言ってる。謝ることじゃないでしょ」

「だって…せっかくのお泊まり…」
「気にする必要ないってば。それより、明日も辛かったらちゃんと言ってね。予定変更して、家でゆっくり休もう」

無一郎くんの優しい気遣いが、嬉しくてあたたかい。それと同時に、時間をかけて練った予定が崩れていくことにも胸が痛んだ。
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