欲しいもの
「無一郎くん、なにか欲しい物ある?」
襧豆子が手にしてきたのは、手頃な長さの木の枝だった。乾いた砂と土の上で、枝をトンと叩く。襧豆子の考えている意図がわかると、胸の中は彼女への想いですぐにいっぱいになった。
「ふふっ…もしかして、欲しい物リスト?」
「うん!候補書いていくから選んでね」
気を使わなくていい。そう言えなかった。
いつもならストレートに断わるところだけれど、自分の素直な気持ちには勝てなかった。誕生日を覚えてくれていただけで、こんなにも頬がゆるんでしまうのに。
「有一郎くんと、お揃いの物にしようかな?」僕の意見を待たずに、襧豆子は枝の鉛筆で地面に文字を書き始めた。二人のキャンバスと課した地面を、僕と襧豆子で前屈みにのぞきこむ。
襧豆子が手にしてきたのは、手頃な長さの木の枝だった。乾いた砂と土の上で、枝をトンと叩く。襧豆子の考えている意図がわかると、胸の中は彼女への想いですぐにいっぱいになった。
「ふふっ…もしかして、欲しい物リスト?」
「うん!候補書いていくから選んでね」
気を使わなくていい。そう言えなかった。
いつもならストレートに断わるところだけれど、自分の素直な気持ちには勝てなかった。誕生日を覚えてくれていただけで、こんなにも頬がゆるんでしまうのに。
「有一郎くんと、お揃いの物にしようかな?」僕の意見を待たずに、襧豆子は枝の鉛筆で地面に文字を書き始めた。二人のキャンバスと課した地面を、僕と襧豆子で前屈みにのぞきこむ。