君よ進め
「にしても、おまえからそんな話が聞けるとは、意外だったなァ」
「…そうですか?」
「命を捨てる覚悟で鬼殺隊に入った輩がほとんどだけどよォ、それでも最初は鬼に怯えて、恐怖に打ち勝つまで時間がかかるもんだ。そん中でもおまえは、ガキにしちゃあ肝が据わってた…いや、肝が据わりすぎてた、のが正しいか。頼りになる反面、どこか危なっかしいとこあったからよォ」
不死川さんの声に、懐かしむような、どこか安心するようなものがあった。この世で一番優しい兄。生前、玄弥がそう口にしていた人だ。
「そんなおまえが、生きたいって思えるようになったんだろ?いいことじゃねぇか」
「………はい」
そう言ってくれる不死川さんの笑顔は、やはり玄弥によく似ていた。もっとそんな顔を見せてあげればよかったのに。僕の兄さんも負けてないけど。本当に兄という生き物は、不器用な人ばかりだと思う。
おはぎの最後のひと口を飲み込むと、食べ終えるのを見計らっていたように、再び不死川さんが言った。
「おまえがそう思うようになった原因っつーと…大方竈門妹とのことかァ?」
「!!!」
いきなり核心をついてきたので、咄嗟に言葉が出なかった。宇髄さんといい不死川さんといい、どうして大人ってこんなに勘が鋭いんだろう。それとも、単純に僕がわかりやすいだけなのだろうか。
「…いや、別に、そういうわけじゃないです…なんでですか?」
「んなもん見てたら分かる。宇髄の奴も何かいろいろ言ってたしなァ」
…あのおしゃべりの神。
心の中で毒づいて、でも知ってるならごまかさなくてもいいか、と力が抜けた。僕よりも歳上の不死川さんに話すのは、配慮がないかもしれない。けれど、聞いてほしい気持ちの方が上回っていた。
「…そうですか?」
「命を捨てる覚悟で鬼殺隊に入った輩がほとんどだけどよォ、それでも最初は鬼に怯えて、恐怖に打ち勝つまで時間がかかるもんだ。そん中でもおまえは、ガキにしちゃあ肝が据わってた…いや、肝が据わりすぎてた、のが正しいか。頼りになる反面、どこか危なっかしいとこあったからよォ」
不死川さんの声に、懐かしむような、どこか安心するようなものがあった。この世で一番優しい兄。生前、玄弥がそう口にしていた人だ。
「そんなおまえが、生きたいって思えるようになったんだろ?いいことじゃねぇか」
「………はい」
そう言ってくれる不死川さんの笑顔は、やはり玄弥によく似ていた。もっとそんな顔を見せてあげればよかったのに。僕の兄さんも負けてないけど。本当に兄という生き物は、不器用な人ばかりだと思う。
おはぎの最後のひと口を飲み込むと、食べ終えるのを見計らっていたように、再び不死川さんが言った。
「おまえがそう思うようになった原因っつーと…大方竈門妹とのことかァ?」
「!!!」
いきなり核心をついてきたので、咄嗟に言葉が出なかった。宇髄さんといい不死川さんといい、どうして大人ってこんなに勘が鋭いんだろう。それとも、単純に僕がわかりやすいだけなのだろうか。
「…いや、別に、そういうわけじゃないです…なんでですか?」
「んなもん見てたら分かる。宇髄の奴も何かいろいろ言ってたしなァ」
…あのおしゃべりの神。
心の中で毒づいて、でも知ってるならごまかさなくてもいいか、と力が抜けた。僕よりも歳上の不死川さんに話すのは、配慮がないかもしれない。けれど、聞いてほしい気持ちの方が上回っていた。