想いの行く末

*襧豆子side*

いつまでそこにいるんだと、そろそろ声がかかるかもしれなかった。縁側に座って遠くの山々を見渡しても、鎹鴉の姿はどこにも見当たらない。

手紙が送られてくる時間帯は大体決まっていて、その時間はもうとっくに過ぎていた。

今日こそは届くかも。
そう思いながら朝に目が覚める。
明日には届くかも。
そう思いながら床に就く。

そんな日々が何日も続いていた今日、兄から告げられた。一層無一郎くんに会いたくなるような、衝撃的な内容だった。


金平糖の入った小瓶を、いわば願掛けな想いで手にしていた。これを持っていたら手紙がくるんじゃないかと、我ながら子どものようだった。

いつしか彼のくれた金平糖は、少しずつ数が減ってきている。

そうだ。金平糖を買いに行きたいから、また一緒に町へ行こう。手紙にそう書いたら、無一郎くんは返事をくれるかもしれない。

立ち上がって自室に戻ろうとすると、ふいに善逸さんから声をかけられた。

「襧豆子ちゃん。今ちょっといいかな?」

「善逸さん。うん、大丈夫──」
もはや兄弟のように共に暮らす彼へ返事を返すと、いつもと様子が違うことに気づいた。

真っ赤に染まる頬。彷徨う目線。
それでも意を決したように、自分を見つめる善逸さんは、今まで見たことのない真剣な表情をしていた──。
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