想いの行く末

自宅に帰りついた頃には、外は幾分暗くなっていた。電気も点けずに居間へ倒れこむ。まだ微かに動悸がする胸を押さえ、少しずつ呼吸を整えていく。

自分が痣者であること。
すでに明確な期限が、自分の命にはあること。

痣の発現によって鬼を倒せたことは、もちろん後悔なんてしていない。だけど…なんで今まで忘れてしまっていたのか。

横向きで倒れている僕の目に、一枚の紙ひこうきがひらりと落ちてきた。

襧豆子が故郷へ帰る前、何回かここに来てくれたことがある。そのとき一緒に折ったものだった。僕の折り方を見ながら、一生懸命真似して折っている姿が可愛らしかった。ずっとここにいればいいのに、と何度思ったことか。

襧豆子の帰る場所に自分がなりたい。
僕の帰る場所には襧豆子がいてほしい。

なんて自分勝手な願いなんだろうか──。


もし襧豆子が僕を受け入れてくれたとしても、一緒にいられるのは長くてもたった十年。同い年の襧豆子も、その時には二十五歳。

二十五歳という若さで、大事な人を未亡人にしてしまう。

目頭が熱くなって、涙が眉間を通って落ちていく。とめどなく溢れてくる涙に、口からは嗚咽が漏れていた。
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