想いの行く末
求婚をする際の贈り物として、指輪はどうかと宇髄さんに提案された。
左手の薬指へ指輪をはめてもらうことで、結婚の約束をした相手がいる、もしくは結婚して夫婦になっていると、いわば証明のようになるらしい。
そういえば母さんはどうだっただろうか。
記憶を辿ってみるが、指輪を持っているところも、はめているところだって見たことはない。それに関して宇髄さんにたずねてみると、指輪はそうそう買えるものではない、いわば高価な物だというのだ。
値段を知らないから、貯金額を数えてみても、足りるのかどうかもわからない。
話を聞いた翌日、すぐに行動へ移した。
町へ赴き、生まれて初めて宝飾店に入ってみた。入った瞬間、すぐに店員から決まった挨拶をされる。中はさほど広くはなく、客ひとりとすれ違えるほどの幅を空け、陳列棚がいくつか配置されてある。どこかよそよそしい雰囲気を醸し出す店内に、肩身が少しばかり狭い。
女性ものの商品が主にそろっているので、男性客はいないのかと思っていたが、そうでもないようだ。
簪や櫛のある陳列棚には、女性客が複数人いて吟味している。さらに奥の陳列棚の前に、顎に手を当てた男性客がひとり、思案顔で立っていた。
なぜだか親近感が湧いて、近寄っていく。
その人が見ていたのは指輪の陳列棚だった。
左手の薬指へ指輪をはめてもらうことで、結婚の約束をした相手がいる、もしくは結婚して夫婦になっていると、いわば証明のようになるらしい。
そういえば母さんはどうだっただろうか。
記憶を辿ってみるが、指輪を持っているところも、はめているところだって見たことはない。それに関して宇髄さんにたずねてみると、指輪はそうそう買えるものではない、いわば高価な物だというのだ。
値段を知らないから、貯金額を数えてみても、足りるのかどうかもわからない。
話を聞いた翌日、すぐに行動へ移した。
町へ赴き、生まれて初めて宝飾店に入ってみた。入った瞬間、すぐに店員から決まった挨拶をされる。中はさほど広くはなく、客ひとりとすれ違えるほどの幅を空け、陳列棚がいくつか配置されてある。どこかよそよそしい雰囲気を醸し出す店内に、肩身が少しばかり狭い。
女性ものの商品が主にそろっているので、男性客はいないのかと思っていたが、そうでもないようだ。
簪や櫛のある陳列棚には、女性客が複数人いて吟味している。さらに奥の陳列棚の前に、顎に手を当てた男性客がひとり、思案顔で立っていた。
なぜだか親近感が湧いて、近寄っていく。
その人が見ていたのは指輪の陳列棚だった。