想いの行く末

竈門兄妹が故郷に帰った後、二人からすぐに手紙が届いた。

襧豆子からの手紙が一通と、炭治郎からの手紙が一通とある。鎹鴉の銀子に手紙の返事を運んでもらう。一週間も経たずうちに、今度は天王寺松衛門が二人からの手紙を届けにやってくる。そんなやり取りが何ヶ月も続いた。

炭治郎の手紙の内容は、近況報告が主だった。
一番驚いたのは、炭売りの仕事をまた始めたということだった。右目を失明し、左腕の筋力もなくしていた彼だが、よくよく考えれば、あの炭治郎が何もせず家で過ごしているわけはないと腑に落ちた。

襧豆子からの手紙を開くときは、いつも少しだけ緊張する。

仕立て屋の手伝いをするようになったことや、新しい料理を覚えたこと。土産でもらった菓子が美味しかったこと等、手紙には今の襧豆子の日常であふれていた。

僕の体調を気遣うような文面も書かれてあり、それだけで嬉しくなった。手紙の最後には『また会おうね』の言葉でいつも締めくくられている。


また会おう。

自身も手紙をだす際には、必ず最後に書き添える言葉だった。だが、この約束はまだ叶えられていない。襧豆子たちが忙しいというのもあるし、結婚の申し込みをしようと思い立ってからは、なかなかその機会を掴めずにいたからだ。
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