蛍火の下で

***

最初からわかっていたことだ。
どうして、なんて、聞く方がどうかしている。

待ち焦がれていたはずなのに。
ずっと望んでいたはずなのに。


襧豆子と炭治郎が、生まれ育った故郷に帰る。
それを聞いたのは、まだ暑さが残る夕暮れ時。

喜ばしいことなのに、素直に喜ぶことができなかった───。
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