繋いでいく奇跡

「…でも、本当によかった」
お互いの涙が落ちつくまで、数十分はかかったように思う。炭治郎が思い出し笑いをしながら、声を潜ませるように話しだした。

「襧豆子がよく引き出しを開けてね、金平糖を見てたんだよ」

「…金平糖?」

「それを宝物みたいにじーっと見てて、閉まったと思ったらまた取りだして。もったいなくて食べれないんだろうなって最初は思ってたんだ。よくよく本人に聞いてみたら、時透くんが前に──「お兄ちゃん!!!それは言っちゃだめ!!!」

すぱん!と大きな音を響かせながら、障子が勢いよく開いた。顔を真っ赤にした襧豆子が、わなわなと体を震わせて立っていた。

さっきまでの僕たちの話を聞いていたんだろう。鼻まで赤く染まり、彼女の瞳は涙が乾いて間もなかった。
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