伝えたい言葉
***
「………熱、まだ高いね」
熱がこもり、ぬるくなっていたタオルが新しいものに交換される。この家の主である無一郎くんが、心配そうにのぞきこんできた。
熱があることに気づいたのは、昨日の夕方。見事に風邪をもらった私は、彼の家でしばらくお世話になることになった。無一郎くんが蝶屋敷へ薬をもらいに行ってくれて、お兄ちゃんたちへの伝達は、銀子ちゃんが向かってくれたという。
「本当にごめんね…つい、とめられなくて」
「わ、私からも…いっぱいしたから…」
口づけをし合って風邪をもらっただなんて、お兄ちゃんにも言えない秘密ができてしまった。無一郎くんと目を合わせるのも恥ずかしい。布団を握りしめて行き場なく視線をさ迷わせていると、彼がひらめいたとばかりに声を上げた。
「もう一度口づけしたら治るかも!」
「もうっ!何言ってるの!」
そう言って覆いかぶさってこようとするのを阻止するために、布団で壁を作った。熱があるのに楽しいだなんて、初めてかもしれない。彼の笑顔が嬉しくて、つられるように私も笑った。
「………熱、まだ高いね」
熱がこもり、ぬるくなっていたタオルが新しいものに交換される。この家の主である無一郎くんが、心配そうにのぞきこんできた。
熱があることに気づいたのは、昨日の夕方。見事に風邪をもらった私は、彼の家でしばらくお世話になることになった。無一郎くんが蝶屋敷へ薬をもらいに行ってくれて、お兄ちゃんたちへの伝達は、銀子ちゃんが向かってくれたという。
「本当にごめんね…つい、とめられなくて」
「わ、私からも…いっぱいしたから…」
口づけをし合って風邪をもらっただなんて、お兄ちゃんにも言えない秘密ができてしまった。無一郎くんと目を合わせるのも恥ずかしい。布団を握りしめて行き場なく視線をさ迷わせていると、彼がひらめいたとばかりに声を上げた。
「もう一度口づけしたら治るかも!」
「もうっ!何言ってるの!」
そう言って覆いかぶさってこようとするのを阻止するために、布団で壁を作った。熱があるのに楽しいだなんて、初めてかもしれない。彼の笑顔が嬉しくて、つられるように私も笑った。