MAD TRIGGER CREW
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。*゚+──理鶯の恋人がシブヤ推しだった件
食糧の調達を終えベースに戻ると、切株に腰を落ち着け焚火を眺めるるあきが居た。
「あ、理鶯さん! お邪魔してます!」
こちらに気付くと、るあきは大きく手を振り笑顔を見せる。その表情に和みながらも、小官は真っ先に感じた疑問を彼女に投げ掛けた。
「……一人で来たのか?」
「はい。時間が出来たので、理鶯さんを驚かせようと思って一人で来ちゃいました」
にこにこと可愛らしい表情を見せながら話す彼女に、こちらも嬉しい気持ちが湧く。
「そうか。るあきが来てくれて嬉しいが、この森の中を一人で歩くのは危険だ。次からは小官が迎えに行こう」
「理鶯さんは優しいですね」
そう笑顔で返するあきに、続けて問い掛ける。
「道中、危険は無かったか?」
「はい。木の根につまずき掛けたのはありますけど、無事ですよ!」
「それは運が良かったな。無事で何よりだ」
頷く小官に、るあきは鞄から取り出した物を見せながら口を開いた。
「運が良かったのは、これのお陰ですかね!」
彼女がそう言って見せて来たのは、有栖川のマスコットだった。
「む……」
「きっと彼の強運が私に味方してくれたんですね。ありがとう、帝統くん〜!」
有栖川のマスコットに頬擦りするるあき。心臓の奥が、なんとも表現しがたい感情で溢れる。
「……何故、有栖川のマスコットを持っている?」
るあきは目を見開いて小官を見詰める。少々怖がらせてしまったかも知れない。軍人たるもの、感情をきちんと制御せねば……。
「すまない、るあき。小官とした事が……」
「ふふ。いえ、ちょっと驚きましたけど、嬉しいですよ。嫉妬ですよね」
「嫉妬……」
るあきは嬉しそうに笑いながら、有栖川のマスコットを掲げて続けた。
「帝統くんは、私の推しです。一番好きなのは、勿論理鶯さんですよ! 推しと彼氏は別なんです」
「そういうものなのか?」
「そういうものなんです」
強く頷くるあき。ふむ、そういうものなのか。
「理鶯さんの前で言うのは申し訳無いんですけど、私シブヤ推しなんですよ。見てると元気を貰えるので応援してるんです。中でも一番元気を貰えるのが帝統くんで」
「MTCはその役を担えていないだろうか?」
「……正直言うと、ヨコハマはちょっと怖いと言いますか……。特に左馬刻様とか……。いや、その怖さがヨコハマの持ち味ではあるんですけど……」
確かに我々はそのような印象を持たれやすい。左馬刻も銃兎もただ怖いだけの男では無いのだが、会った事も無い彼女には説明が難しい所もある。
「せめて笑顔でも見せてくれたら良いんですけどねぇ」
そう苦笑するるあきに、「善処しよう」と返す。
「ところで、るあきはもう夕飯は済ませたか? 良ければこれから馳走しよう」
「ありがとうございます! 頂きます!」
先程仕留めて来た獲物の下拵えを済ませ、調理を進める。
「出来たぞ。さぁ、存分に食べてくれ」
「美味しそう!」
そう言ってるあきは、膝に乗せていた有栖川のマスコットを再び手に取る。
スマートフォンを構え、小官が作った料理の隣に有栖川を添えて撮影を始めた。
「上手く撮れました! 帝統くんも嬉しそうです」
「そうか」
「……理鶯さん、眉間に皺寄ってません? 表情が分かりやすい理鶯さんって、なかなかレアですね。可愛いです」
るあきにそのような指摘をされ、少々決まりが悪い。
誤魔化すように、足元に落ちていた小さな葉を拾い、有栖川の前に置く。次いで赤い木の実を葉の上に載せた。
「有栖川にはこの実をやろう。貴殿はいつも腹を空かせているようだからな」
「え、可愛い……! 良かったね、帝統くん!」
るあきは木の実と有栖川を写真に収め、満足そうに頷いた。
それから二人で食事を進めていると、辺りはすっかり闇に包まれる。
「ご馳走様でした! そろそろ夜のトレーニングの時間ですよね。今日はもう帰ります。また遊びに来ますね」
「ああ、近くまで送ろう。次に森へ来る時は、必ず小官に連絡をしてくれ。迎えに行く」
笑顔で頷いたるあきは、立ち上がった小官の隣にぴったりとくっ付くように並んだ。
その時わずかに触れた彼女の小さな手を、逃さないように左手で包み込む。そのままるあきの歩幅に合わせてゆっくり森を歩きながら、他愛の無い会話を続ける。
森を抜け、最寄りの駅まで彼女を送り届けるミッションを無事に果たし、小官は再びベースへ戻った。
そんな小官の目の前には、切株に腰を落ち着け焚火を眺める有栖川の姿が。無論、るあきが持っていたマスコットなどでは無い。
「あ、理鶯さ〜ん! お邪魔してま〜す!」
こちらに気付くと、有栖川は大きく手を振り笑顔を見せる。
「しばらく飯に有り付けて無くて、良かったらご馳走になっても良いすかねぇ?」
犬歯を覗かせながら、有栖川がへらりと笑う。
「……貴殿に食わす食材はもう無い」
「ええ!? 理鶯さん、なんかめちゃくちゃ怒ってません!? 俺、何かしちゃいましたァ!?」
慌てた様子の有栖川に勿論理由は話さず、だが困っている者を見過ごす事も小官の性分に合わない為、先程の食事の余りを有栖川へ差し出した。
「ぐあっつ、ぐあっつ、ぐあっつ……やっぱ理鶯さんの飯は最高っすねぇ!」
有栖川の食べっぷりを見ていると、るあきが言っていた事も少しだけ理解出来る気がする。
しかし、それとこれとは話は別だ。有栖川があらゆる面において小官のライバルな事に変わりは無い。
次のディビジョンラップバトルでは、完膚無きまで叩きのめそう。
「……あれ? 理鶯さん、また表情が険しく……」
「有栖川。次のバトル、覚悟しておけ」
「ひぃ! 記憶に無ェけど、やっぱ俺なんかやらかしてますよねぇ! 理鶯さぁん!!」
【あとがき】
こちらもどうぞ。
▶二郎の恋人がオオサカ推しだった件
▶寂雷の恋人がヨコハマ推しだった件
▶一二三の恋人がシブヤ推しだった件
▶独歩の恋人がヨコハマ推しだった件
▶十四の恋人がシンジュク推しだった件
2025/08/16
食糧の調達を終えベースに戻ると、切株に腰を落ち着け焚火を眺めるるあきが居た。
「あ、理鶯さん! お邪魔してます!」
こちらに気付くと、るあきは大きく手を振り笑顔を見せる。その表情に和みながらも、小官は真っ先に感じた疑問を彼女に投げ掛けた。
「……一人で来たのか?」
「はい。時間が出来たので、理鶯さんを驚かせようと思って一人で来ちゃいました」
にこにこと可愛らしい表情を見せながら話す彼女に、こちらも嬉しい気持ちが湧く。
「そうか。るあきが来てくれて嬉しいが、この森の中を一人で歩くのは危険だ。次からは小官が迎えに行こう」
「理鶯さんは優しいですね」
そう笑顔で返するあきに、続けて問い掛ける。
「道中、危険は無かったか?」
「はい。木の根につまずき掛けたのはありますけど、無事ですよ!」
「それは運が良かったな。無事で何よりだ」
頷く小官に、るあきは鞄から取り出した物を見せながら口を開いた。
「運が良かったのは、これのお陰ですかね!」
彼女がそう言って見せて来たのは、有栖川のマスコットだった。
「む……」
「きっと彼の強運が私に味方してくれたんですね。ありがとう、帝統くん〜!」
有栖川のマスコットに頬擦りするるあき。心臓の奥が、なんとも表現しがたい感情で溢れる。
「……何故、有栖川のマスコットを持っている?」
るあきは目を見開いて小官を見詰める。少々怖がらせてしまったかも知れない。軍人たるもの、感情をきちんと制御せねば……。
「すまない、るあき。小官とした事が……」
「ふふ。いえ、ちょっと驚きましたけど、嬉しいですよ。嫉妬ですよね」
「嫉妬……」
るあきは嬉しそうに笑いながら、有栖川のマスコットを掲げて続けた。
「帝統くんは、私の推しです。一番好きなのは、勿論理鶯さんですよ! 推しと彼氏は別なんです」
「そういうものなのか?」
「そういうものなんです」
強く頷くるあき。ふむ、そういうものなのか。
「理鶯さんの前で言うのは申し訳無いんですけど、私シブヤ推しなんですよ。見てると元気を貰えるので応援してるんです。中でも一番元気を貰えるのが帝統くんで」
「MTCはその役を担えていないだろうか?」
「……正直言うと、ヨコハマはちょっと怖いと言いますか……。特に左馬刻様とか……。いや、その怖さがヨコハマの持ち味ではあるんですけど……」
確かに我々はそのような印象を持たれやすい。左馬刻も銃兎もただ怖いだけの男では無いのだが、会った事も無い彼女には説明が難しい所もある。
「せめて笑顔でも見せてくれたら良いんですけどねぇ」
そう苦笑するるあきに、「善処しよう」と返す。
「ところで、るあきはもう夕飯は済ませたか? 良ければこれから馳走しよう」
「ありがとうございます! 頂きます!」
先程仕留めて来た獲物の下拵えを済ませ、調理を進める。
「出来たぞ。さぁ、存分に食べてくれ」
「美味しそう!」
そう言ってるあきは、膝に乗せていた有栖川のマスコットを再び手に取る。
スマートフォンを構え、小官が作った料理の隣に有栖川を添えて撮影を始めた。
「上手く撮れました! 帝統くんも嬉しそうです」
「そうか」
「……理鶯さん、眉間に皺寄ってません? 表情が分かりやすい理鶯さんって、なかなかレアですね。可愛いです」
るあきにそのような指摘をされ、少々決まりが悪い。
誤魔化すように、足元に落ちていた小さな葉を拾い、有栖川の前に置く。次いで赤い木の実を葉の上に載せた。
「有栖川にはこの実をやろう。貴殿はいつも腹を空かせているようだからな」
「え、可愛い……! 良かったね、帝統くん!」
るあきは木の実と有栖川を写真に収め、満足そうに頷いた。
それから二人で食事を進めていると、辺りはすっかり闇に包まれる。
「ご馳走様でした! そろそろ夜のトレーニングの時間ですよね。今日はもう帰ります。また遊びに来ますね」
「ああ、近くまで送ろう。次に森へ来る時は、必ず小官に連絡をしてくれ。迎えに行く」
笑顔で頷いたるあきは、立ち上がった小官の隣にぴったりとくっ付くように並んだ。
その時わずかに触れた彼女の小さな手を、逃さないように左手で包み込む。そのままるあきの歩幅に合わせてゆっくり森を歩きながら、他愛の無い会話を続ける。
森を抜け、最寄りの駅まで彼女を送り届けるミッションを無事に果たし、小官は再びベースへ戻った。
そんな小官の目の前には、切株に腰を落ち着け焚火を眺める有栖川の姿が。無論、るあきが持っていたマスコットなどでは無い。
「あ、理鶯さ〜ん! お邪魔してま〜す!」
こちらに気付くと、有栖川は大きく手を振り笑顔を見せる。
「しばらく飯に有り付けて無くて、良かったらご馳走になっても良いすかねぇ?」
犬歯を覗かせながら、有栖川がへらりと笑う。
「……貴殿に食わす食材はもう無い」
「ええ!? 理鶯さん、なんかめちゃくちゃ怒ってません!? 俺、何かしちゃいましたァ!?」
慌てた様子の有栖川に勿論理由は話さず、だが困っている者を見過ごす事も小官の性分に合わない為、先程の食事の余りを有栖川へ差し出した。
「ぐあっつ、ぐあっつ、ぐあっつ……やっぱ理鶯さんの飯は最高っすねぇ!」
有栖川の食べっぷりを見ていると、るあきが言っていた事も少しだけ理解出来る気がする。
しかし、それとこれとは話は別だ。有栖川があらゆる面において小官のライバルな事に変わりは無い。
次のディビジョンラップバトルでは、完膚無きまで叩きのめそう。
「……あれ? 理鶯さん、また表情が険しく……」
「有栖川。次のバトル、覚悟しておけ」
「ひぃ! 記憶に無ェけど、やっぱ俺なんかやらかしてますよねぇ! 理鶯さぁん!!」
【あとがき】
こちらもどうぞ。
▶二郎の恋人がオオサカ推しだった件
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▶独歩の恋人がヨコハマ推しだった件
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2025/08/16
