麻天狼
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。*゚+──寂雷の恋人がヨコハマ推しだった件
「うわぁ、どれも美味しそうで悩むなぁ。これとこれ、どっちにしよう……」
るあきさんと、最近出来たらしいスイーツ店を訪れていた。
メニュー表を開くと、見た目も鮮やかな様々なスイーツが私達を惑わせる。
「ふふ。では二人でシェアしようか」
目を輝かせて悩む彼女にそう提案をすると、更に表情を明るくさせた。
「良いんですか!?」
「私もどれにしようか迷っていた所だからね」
そうして気になったものをいくつか注文して行く。やがてテーブル上が華やかなスイーツで飾られた。
「可愛いですね! 食べる前に、写真撮っても大丈夫ですか?」
「勿論」
私がそう返すと、るあきさんは鞄からポーチを取り出す。中から出て来たのは、小さなアクリルスタンドだった。
推し活の一種で、アクリルスタンドやぬいぐるみなどと一緒に写真撮影をするのが流行りらしい。
微笑ましい光景だと彼女を眺めていると、るあきさんはアクリルスタンドを並べながら笑顔で呟いた。
「ほら左馬刻様、ストロベリータルトだよ。目の色が一緒だねぇ」
スマホを手に取り何枚か撮影して行く彼女を、なんとも言えない心地で見詰める。
「綺麗に撮れた! 寂雷さん、見てください」
こちらに画面を見せて来るるあきさん。撮影された写真を見ると、やはりケーキの隣には左馬刻くんが映っている。
「美味しそうに撮れていますね。……一応確認なのですが、それは……?」
左馬刻くんのアクリルスタンドを指差す。るあきさんは「ああ」とそれを手に取った。
「最推しの左馬刻様です。実はTDD時代から好きなんですよ。今はヨコハマ推しです」
彼女は可愛らしい笑顔で答えた。その後、慌てたように付け加える。
「勿論、麻天狼も応援してますよ!」
「ふふ、ありがとう」
気を遣わせてしまったかな。
アクリルスタンドを仕舞い、フォークを握った彼女に質問をしてみる。
「良ければ左馬刻くんのどんな所が好きなのか、聞かせてもらえないかな? ……すみません、責めている訳ではなく、純粋な興味からです」
一瞬だけ不安そうな表情を見せたるあきさんに、笑顔を返す。彼女はぱっと明るい顔を見せて語り出した。
「まず顔ですね! 左馬刻様は格好良いというより、美人系な顔してるじゃないですか。それで言うと寂雷さんも美人系ですよね。私はこういう顔が好きなのかなぁ……」
左馬刻くんについては、飴村くんもそのような事を言っていた記憶がある。
自分の顔については分からないが、るあきさんが言ってくれるのならば恐らくそうなのだろう。
「あとは身長が高い所も良いですし、この時代に煙草を吸ってる頑固さと言うか、己を貫く姿勢が格好良いです。左馬刻様に憧れて、煙草吸おうかなって思ってた時期もあったくらいですよ」
「うーん、それは……」
憧れるのは自由である。しかし喫煙は頂けない。煙草は百害あって一利無しなのだ。
ただ、過去に思っただけとの事なので、今は胸の内に留めておく事にする。
「あと仲間にだけ見せる笑顔も、普段とのギャップがあって可愛くて好きですね」
彼の心からの笑顔を、今のチームになってからはよく見掛けるようになった気がする。
何処か親のような気持ちで思い出していると、るあきさんが呟いた。
「べらべら語っててあれですけど、推しと恋人は全くもって別なので気を悪くしないでくださいね。推しには恋愛感情とは違う、ただひたすら尊いという気持ちしかありませんので」
「ええ、心得ているつもりですよ。るあきさんの推しの話を聞けて、私も楽しかったです」
昔、一郎くんも同じような事を言っていたなと思い出す。
るあきさんが、フォークの先でタルトをつつきながら言った。
「寂雷さんは、嫉妬とかしないんですか?」
「嫉妬ですか、そうですね……。るあきさんの事は信頼していますから」
ただ、相手が飴村くんだったら、彼女の話を穏やかに聞けたかどうかは分からない。私もなかなか大人気 無いですね……。
「寂雷さん? 急に目が怖くなりましたけど、やっぱり嫉妬してませんか?」
「いえ。……溶けてしまうものもありますから、頂きましょうか」
「そうですね!」
嫉妬とは別だが、彼女が真似をしてはいけないので、左馬刻くんには禁煙外来をすすめてみましょうか。
彼の事だから素直に頷いてはくれないだろうが、久し振りに連絡を取ってみるのも悪くない。
美味しそうにスイーツを頬張るるあきさんを見ながら、私はそんな事を思った。
─ END ─
【あとがき】
こちらもどうぞ。
▶二郎の恋人がオオサカ推しだった件
▶理鶯の恋人がシブヤ推しだった件
▶一二三の恋人がシブヤ推しだった件
▶独歩の恋人がヨコハマ推しだった件
▶十四の恋人がシンジュク推しだった件
2025/07/11
「うわぁ、どれも美味しそうで悩むなぁ。これとこれ、どっちにしよう……」
るあきさんと、最近出来たらしいスイーツ店を訪れていた。
メニュー表を開くと、見た目も鮮やかな様々なスイーツが私達を惑わせる。
「ふふ。では二人でシェアしようか」
目を輝かせて悩む彼女にそう提案をすると、更に表情を明るくさせた。
「良いんですか!?」
「私もどれにしようか迷っていた所だからね」
そうして気になったものをいくつか注文して行く。やがてテーブル上が華やかなスイーツで飾られた。
「可愛いですね! 食べる前に、写真撮っても大丈夫ですか?」
「勿論」
私がそう返すと、るあきさんは鞄からポーチを取り出す。中から出て来たのは、小さなアクリルスタンドだった。
推し活の一種で、アクリルスタンドやぬいぐるみなどと一緒に写真撮影をするのが流行りらしい。
微笑ましい光景だと彼女を眺めていると、るあきさんはアクリルスタンドを並べながら笑顔で呟いた。
「ほら左馬刻様、ストロベリータルトだよ。目の色が一緒だねぇ」
スマホを手に取り何枚か撮影して行く彼女を、なんとも言えない心地で見詰める。
「綺麗に撮れた! 寂雷さん、見てください」
こちらに画面を見せて来るるあきさん。撮影された写真を見ると、やはりケーキの隣には左馬刻くんが映っている。
「美味しそうに撮れていますね。……一応確認なのですが、それは……?」
左馬刻くんのアクリルスタンドを指差す。るあきさんは「ああ」とそれを手に取った。
「最推しの左馬刻様です。実はTDD時代から好きなんですよ。今はヨコハマ推しです」
彼女は可愛らしい笑顔で答えた。その後、慌てたように付け加える。
「勿論、麻天狼も応援してますよ!」
「ふふ、ありがとう」
気を遣わせてしまったかな。
アクリルスタンドを仕舞い、フォークを握った彼女に質問をしてみる。
「良ければ左馬刻くんのどんな所が好きなのか、聞かせてもらえないかな? ……すみません、責めている訳ではなく、純粋な興味からです」
一瞬だけ不安そうな表情を見せたるあきさんに、笑顔を返す。彼女はぱっと明るい顔を見せて語り出した。
「まず顔ですね! 左馬刻様は格好良いというより、美人系な顔してるじゃないですか。それで言うと寂雷さんも美人系ですよね。私はこういう顔が好きなのかなぁ……」
左馬刻くんについては、飴村くんもそのような事を言っていた記憶がある。
自分の顔については分からないが、るあきさんが言ってくれるのならば恐らくそうなのだろう。
「あとは身長が高い所も良いですし、この時代に煙草を吸ってる頑固さと言うか、己を貫く姿勢が格好良いです。左馬刻様に憧れて、煙草吸おうかなって思ってた時期もあったくらいですよ」
「うーん、それは……」
憧れるのは自由である。しかし喫煙は頂けない。煙草は百害あって一利無しなのだ。
ただ、過去に思っただけとの事なので、今は胸の内に留めておく事にする。
「あと仲間にだけ見せる笑顔も、普段とのギャップがあって可愛くて好きですね」
彼の心からの笑顔を、今のチームになってからはよく見掛けるようになった気がする。
何処か親のような気持ちで思い出していると、るあきさんが呟いた。
「べらべら語っててあれですけど、推しと恋人は全くもって別なので気を悪くしないでくださいね。推しには恋愛感情とは違う、ただひたすら尊いという気持ちしかありませんので」
「ええ、心得ているつもりですよ。るあきさんの推しの話を聞けて、私も楽しかったです」
昔、一郎くんも同じような事を言っていたなと思い出す。
るあきさんが、フォークの先でタルトをつつきながら言った。
「寂雷さんは、嫉妬とかしないんですか?」
「嫉妬ですか、そうですね……。るあきさんの事は信頼していますから」
ただ、相手が飴村くんだったら、彼女の話を穏やかに聞けたかどうかは分からない。私もなかなか
「寂雷さん? 急に目が怖くなりましたけど、やっぱり嫉妬してませんか?」
「いえ。……溶けてしまうものもありますから、頂きましょうか」
「そうですね!」
嫉妬とは別だが、彼女が真似をしてはいけないので、左馬刻くんには禁煙外来をすすめてみましょうか。
彼の事だから素直に頷いてはくれないだろうが、久し振りに連絡を取ってみるのも悪くない。
美味しそうにスイーツを頬張るるあきさんを見ながら、私はそんな事を思った。
─ END ─
【あとがき】
こちらもどうぞ。
▶二郎の恋人がオオサカ推しだった件
▶理鶯の恋人がシブヤ推しだった件
▶一二三の恋人がシブヤ推しだった件
▶独歩の恋人がヨコハマ推しだった件
▶十四の恋人がシンジュク推しだった件
2025/07/11
