Bad Ass Temple
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。*゚+──貴女と出会って一年─BAT
朝早く、空却くんから呼び出しが掛かった。空厳寺へ向かうと、十四くんと獄さんも揃っている。
「あ、るあきさん! おはようございますっす!」
突然の早朝の呼び出しにも関わらず、メイクも髪もばっちり決まっている十四くんが笑顔で手を振った。
「るあき、お前も呼び出されてたのか」
呆れたような表情を見せる獄さんも、いつも通りばっちりリーゼントである。
「よし、揃ったな。てめぇ等を呼んだのは他でもねぇ」
空却くんは腕を組んで口角を上げながら言った。
「なんか面白ぇ事考えやがれ! 名案を出した奴は、特別に拙僧がその案に付き合ってやっても良いぜ」
「無茶振りが過ぎるっすよ……」
眉を下げてぎゅっと両手を握る十四くん。獄さんも溜息をついている。
「空却、もしかしてまた掃除サボろうとしてんじゃないだろうな」
空却くんは適当な理由をでっち上げて、頻繁にお寺の掃除をサボろうとする。確かに、この広さを毎日手入れするのは大変だろう。
助け舟を出す訳ではないが、私は小さく手を上げた。
「実は……今日は私とBad Ass Templeの三人が出会って一年なんだ。だから、何か記念になるような事とか出来たら良いな」
そう提案してみると、空却くんは楽しそうに笑った。
「そいつは祝わねぇ訳にはいかねぇな!」
「まずは皆で一緒にお寺の掃除をしようよ。これはこれで楽しいかも」
今すぐ出て行かんとする空却くんを呼び止める。十四くんも笑顔で頷いた。
「皆でやったら早く終わるっすよ! 盛大に一周年祝いたいっすね!」
空却くんは顔をしかめつつも、付近に放置していた雑巾を手に取った。
四人で丁寧に掃除を進め、最後は長い廊下に並んで一斉に雑巾掛けをする。案の定、一位は空却くん、次いで獄さん。私と十四くんは、上位二人から距離を離され仲良く同着最下位だ。
一位になって機嫌を取り戻した空却くんが、バケツに雑巾を放り投げて言った。
「そんで? 記念になるような事って例えばなんだ?」
「自分、四人で遊園地に行きたいっす!」
右手を上げながらにこにこと答える十四くんに、獄さんはやれやれと言うように呟いた。
「るあきは何かしたい事とかないのか?」
自分から提案したものの、具体的な事は浮かんでいなかった。少し悩んで、十四くんの案に乗る事にする。
「私も、皆と一緒に遊園地楽しみたいな」
そうしてやって来た遊園地。 年甲斐も無く色々なアトラクションを楽しみ、気付けばすっかり日が暮れていた。
四人が揃った記念写真を眺めながらゆっくり歩いていると、空却くんが頭の後ろで手を組みながら言った。
「腹減ったな。獄の奢りでどっか行くか」
「自分はお寿司食べたいっす!」
「そいつは良いな! 当然回らない奴だぜ、獄!」
あんなにはしゃいだ後だというのに疲れを知らない十代達が、笑顔で獄さんの顔を見る。
そんな二人へ適当にあしらうような返事をして、獄さんは私の顔を見た。
「お前もちょっとはあいつ等みたいに我儘 言っても良いんだぜ?」
そして、ぽんと優しく頭に手を置かれる。その時の獄さんの表情が優しくて、じんわりと胸が温かくなった。
「そうだぜ、るあき。てめぇも拙僧等の家族なんだからな!」
そう言って空却くんは歯を見せて笑う。
「空却くん、十四くん、獄さん。これからも宜しくね」
三人は当然だというように頷いてくれた。
「じゃあこれから獄さんの事務所で、お寿司とか他にも色々頼んでパーティーしたいな!」
私の提案に、空却くんと十四くんは盛り上がっている。獄さんはというと、小さく溜息をついていた。
「全く、面倒なガキが増えたな」
「そう言いつつも、獄さん嬉しそうな顔してるっすよ!」
「良いか、俺には我慢ならないもんが」
「そんなん良いから早く帰んぞ!」
走り出した空却くんの後を追うように、十四くんと獄さんも走り出す。
相変わらずの唐突な行動に、私も慌てて夕暮れの空の下を駆け出した。
─ END ─
【あとがき】
6月23日はサイト開設一周年でした!
家族って言われたいですよね。
▶貴女と出会って一年─BB
▶貴女と出会って一年─MTC
▶貴女と出会って一年─FP
▶貴女と出会って一年─M
▶貴女と出会って一年─DH
2025/07/08
朝早く、空却くんから呼び出しが掛かった。空厳寺へ向かうと、十四くんと獄さんも揃っている。
「あ、るあきさん! おはようございますっす!」
突然の早朝の呼び出しにも関わらず、メイクも髪もばっちり決まっている十四くんが笑顔で手を振った。
「るあき、お前も呼び出されてたのか」
呆れたような表情を見せる獄さんも、いつも通りばっちりリーゼントである。
「よし、揃ったな。てめぇ等を呼んだのは他でもねぇ」
空却くんは腕を組んで口角を上げながら言った。
「なんか面白ぇ事考えやがれ! 名案を出した奴は、特別に拙僧がその案に付き合ってやっても良いぜ」
「無茶振りが過ぎるっすよ……」
眉を下げてぎゅっと両手を握る十四くん。獄さんも溜息をついている。
「空却、もしかしてまた掃除サボろうとしてんじゃないだろうな」
空却くんは適当な理由をでっち上げて、頻繁にお寺の掃除をサボろうとする。確かに、この広さを毎日手入れするのは大変だろう。
助け舟を出す訳ではないが、私は小さく手を上げた。
「実は……今日は私とBad Ass Templeの三人が出会って一年なんだ。だから、何か記念になるような事とか出来たら良いな」
そう提案してみると、空却くんは楽しそうに笑った。
「そいつは祝わねぇ訳にはいかねぇな!」
「まずは皆で一緒にお寺の掃除をしようよ。これはこれで楽しいかも」
今すぐ出て行かんとする空却くんを呼び止める。十四くんも笑顔で頷いた。
「皆でやったら早く終わるっすよ! 盛大に一周年祝いたいっすね!」
空却くんは顔をしかめつつも、付近に放置していた雑巾を手に取った。
四人で丁寧に掃除を進め、最後は長い廊下に並んで一斉に雑巾掛けをする。案の定、一位は空却くん、次いで獄さん。私と十四くんは、上位二人から距離を離され仲良く同着最下位だ。
一位になって機嫌を取り戻した空却くんが、バケツに雑巾を放り投げて言った。
「そんで? 記念になるような事って例えばなんだ?」
「自分、四人で遊園地に行きたいっす!」
右手を上げながらにこにこと答える十四くんに、獄さんはやれやれと言うように呟いた。
「るあきは何かしたい事とかないのか?」
自分から提案したものの、具体的な事は浮かんでいなかった。少し悩んで、十四くんの案に乗る事にする。
「私も、皆と一緒に遊園地楽しみたいな」
そうしてやって来た遊園地。 年甲斐も無く色々なアトラクションを楽しみ、気付けばすっかり日が暮れていた。
四人が揃った記念写真を眺めながらゆっくり歩いていると、空却くんが頭の後ろで手を組みながら言った。
「腹減ったな。獄の奢りでどっか行くか」
「自分はお寿司食べたいっす!」
「そいつは良いな! 当然回らない奴だぜ、獄!」
あんなにはしゃいだ後だというのに疲れを知らない十代達が、笑顔で獄さんの顔を見る。
そんな二人へ適当にあしらうような返事をして、獄さんは私の顔を見た。
「お前もちょっとはあいつ等みたいに
そして、ぽんと優しく頭に手を置かれる。その時の獄さんの表情が優しくて、じんわりと胸が温かくなった。
「そうだぜ、るあき。てめぇも拙僧等の家族なんだからな!」
そう言って空却くんは歯を見せて笑う。
「空却くん、十四くん、獄さん。これからも宜しくね」
三人は当然だというように頷いてくれた。
「じゃあこれから獄さんの事務所で、お寿司とか他にも色々頼んでパーティーしたいな!」
私の提案に、空却くんと十四くんは盛り上がっている。獄さんはというと、小さく溜息をついていた。
「全く、面倒なガキが増えたな」
「そう言いつつも、獄さん嬉しそうな顔してるっすよ!」
「良いか、俺には我慢ならないもんが」
「そんなん良いから早く帰んぞ!」
走り出した空却くんの後を追うように、十四くんと獄さんも走り出す。
相変わらずの唐突な行動に、私も慌てて夕暮れの空の下を駆け出した。
─ END ─
【あとがき】
6月23日はサイト開設一周年でした!
家族って言われたいですよね。
▶貴女と出会って一年─BB
▶貴女と出会って一年─MTC
▶貴女と出会って一年─FP
▶貴女と出会って一年─M
▶貴女と出会って一年─DH
2025/07/08
