Fling Posse
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。*゚+──ゆめ、まぼろし
乱数のご友人である黒椿るあき氏は、半ば強引に乱数に連れられて来る為、小生達と行動を共にする機会が増えていた。
乱数や帝統といったマイペースで騒がしいコンビと仲良くしている様子を見て勘違いをしていたが、彼女は二人と違ってきちんと礼節をわきまえている。しかしノリは非常に良く、話していて面白い存在だ。
そんな彼女と長い月日を過ごしていると、自ずと惹かれてしまうのは仕方の無い事と言えるだろう。
「あ、幻太郎くん」
馴染みの喫茶店にて次の作品のプロットを練っていると、ふらりと来店した彼女に声を掛けられた。
「おや、黒椿氏ではないですか。奇遇ですねぇ」
「甘い物が食べたくなってね。相席しても良い?」
どうぞ、と微笑むと、彼女は小生の向かいの席に腰を下ろした。
そしてメニュー表と共に口を開く。
「乱数がこの店のパフェ美味しいよって言ってて、気になってたんだよね。帝統も、幻太郎くんが居たら奢ってくれるって言ってたから、会えてラッキーだよ」
なんてうそうそ、と彼女は笑った。そんな彼女の笑顔をじっと見詰める。
「ごめん、冗談だって。それとも、私の顔に何か付いてる?」
「いえ。前々から気になっていたのですが、黒椿氏は乱数と帝統は呼び捨てなのに対して、小生の事は呼び捨てではないですよね」
よよよ……と袖で涙を拭う仕草をしながら、かねてより感じていた疑問を投げ掛ける。すると彼女は小首を傾げて答えた。
「なんとなく、幻太郎くんを呼び捨てするのは失礼な気がして。それを言うなら、幻太郎くんも私の事変な呼び方してるでしょ」
小生としては最大限の敬意を払った呼び方なのだが、可愛らしくむくれた彼女にこう提案をした。
「では、るあきちゃんとお呼びしましょう」
「絶対面白がってるでしょ」
彼女は通りがかった店員にパフェとジュースを注文し、再び小生に向き直る。
「じゃあこの機会に、お互い呼び捨てにしよう。ね、幻太郎」
「いえ、貴女は名前ではなく苗字で呼んでください」
「余計に距離出来てない? それ」
しかし、彼女は悩みながらも「じゃあ夢くんって呼ぶ」と言ってくれた。
彼女の意見は尤もであるが、小生からすると距離は縮んでいるので問題は無い。
「今日は気分が良いので、此処は小生の奢りです」
そう言うと、彼女は目を輝かせた。
「本当!? ありがとう、夢くん!」
「こちらこそ、ありがとうございます」
「私はお礼を言われるような事してないよ」
不思議そうな顔を見せる彼女に、理由は言わず小生はただ微笑んだ。
「素敵な名前ですね、るあき」
「夢くんに呼ばれると、そう思えるかも。夢くんの名前も格好良いよ」
運ばれて来たパフェの頂点を飾るさくらんぼをスプーンでつつきながら、るあきはそう言った。
「夢幻 を綴る小説家にぴったりの名前でしょう」
──まぁ、嘘なんですけどね。
そう呟いた小生の言葉は、パフェを頬張るるあきには届かなかったようだ。
─ END ─
【あとがき】
2025/03/27
乱数のご友人である黒椿るあき氏は、半ば強引に乱数に連れられて来る為、小生達と行動を共にする機会が増えていた。
乱数や帝統といったマイペースで騒がしいコンビと仲良くしている様子を見て勘違いをしていたが、彼女は二人と違ってきちんと礼節をわきまえている。しかしノリは非常に良く、話していて面白い存在だ。
そんな彼女と長い月日を過ごしていると、自ずと惹かれてしまうのは仕方の無い事と言えるだろう。
「あ、幻太郎くん」
馴染みの喫茶店にて次の作品のプロットを練っていると、ふらりと来店した彼女に声を掛けられた。
「おや、黒椿氏ではないですか。奇遇ですねぇ」
「甘い物が食べたくなってね。相席しても良い?」
どうぞ、と微笑むと、彼女は小生の向かいの席に腰を下ろした。
そしてメニュー表と共に口を開く。
「乱数がこの店のパフェ美味しいよって言ってて、気になってたんだよね。帝統も、幻太郎くんが居たら奢ってくれるって言ってたから、会えてラッキーだよ」
なんてうそうそ、と彼女は笑った。そんな彼女の笑顔をじっと見詰める。
「ごめん、冗談だって。それとも、私の顔に何か付いてる?」
「いえ。前々から気になっていたのですが、黒椿氏は乱数と帝統は呼び捨てなのに対して、小生の事は呼び捨てではないですよね」
よよよ……と袖で涙を拭う仕草をしながら、かねてより感じていた疑問を投げ掛ける。すると彼女は小首を傾げて答えた。
「なんとなく、幻太郎くんを呼び捨てするのは失礼な気がして。それを言うなら、幻太郎くんも私の事変な呼び方してるでしょ」
小生としては最大限の敬意を払った呼び方なのだが、可愛らしくむくれた彼女にこう提案をした。
「では、るあきちゃんとお呼びしましょう」
「絶対面白がってるでしょ」
彼女は通りがかった店員にパフェとジュースを注文し、再び小生に向き直る。
「じゃあこの機会に、お互い呼び捨てにしよう。ね、幻太郎」
「いえ、貴女は名前ではなく苗字で呼んでください」
「余計に距離出来てない? それ」
しかし、彼女は悩みながらも「じゃあ夢くんって呼ぶ」と言ってくれた。
彼女の意見は尤もであるが、小生からすると距離は縮んでいるので問題は無い。
「今日は気分が良いので、此処は小生の奢りです」
そう言うと、彼女は目を輝かせた。
「本当!? ありがとう、夢くん!」
「こちらこそ、ありがとうございます」
「私はお礼を言われるような事してないよ」
不思議そうな顔を見せる彼女に、理由は言わず小生はただ微笑んだ。
「素敵な名前ですね、るあき」
「夢くんに呼ばれると、そう思えるかも。夢くんの名前も格好良いよ」
運ばれて来たパフェの頂点を飾るさくらんぼをスプーンでつつきながら、るあきはそう言った。
「
──まぁ、嘘なんですけどね。
そう呟いた小生の言葉は、パフェを頬張るるあきには届かなかったようだ。
─ END ─
【あとがき】
2025/03/27
