Dream
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「左馬刻さっ……私、もう無理、です…っ!」
「これくらいでっ、へばってんじゃねぇぞるあき…!」
「俺も流石にきつい……もう左馬刻とるあきで頑張ってくれ…」
「銃兎!おら!てめぇも男なら根性見せろや!」
陽が沈み暗く鬱蒼とした森で何をしているのかというと、左馬刻さんと銃兎さんと共に運動をしているのだ。
腹筋やスクワット、腕立て伏せなどをかれこれ5セットほど続けている。ちなみにまだまだ終わる様子は無い。
何故こんな事をしているのかというと、それは昨晩左馬刻さんから届いたメッセージの所為なのだ。
理鶯さんから私達宛にメッセージが送られてから数分後、左馬刻さんは私と銃兎さんの二人のみにメッセージを送って来た。
『てめぇら理鶯からのメッセージは見たよな?るあきは初めてだったか。明日は動きやすい格好で来い』
『秋の味覚フルコースって書いてたので、せっかくだしオシャレして行こうとしたんですが…』
『確かに、左馬刻の言う通りだな。クソッ、でかいヤマは越えたから明日の晩餐会にはしっかり参加出来てしまう…どうにかして仕事を詰み込められないか…』
『一人で逃げようとすんじゃねぇぞ銃兎』
そんなやりとりがあり、私はおめかしを断念してスニーカーにパンツスタイルと動きやすい服装で来たのだ。左馬刻さんと銃兎さんもラフな格好で来ている。
理鶯さんはディナーの仕込みで忙しそうにしていた。左馬刻さん達が手伝おうと申し出たが、客人に手伝わせるのは忍びないと強く断られ、私達は暇を持て余していたのだ。
「俺達が手伝う事で食材の管理を謀ろうとしたが、やはり駄目だったか…」
「こうなったら予定通り、体動かして腹空かしとくしかねぇな」
左馬刻さんと銃兎さんは、青褪めた顔で何やら呟いていた。
「あの、昨日から全然話が見えないんですけど…」
私の疑問に二人は何も答えない。じっと彼等の顔を見詰めると、銃兎さんが溜息をついて答えた。
「理鶯の手料理を少しでも美味しく食べる為に、体を動かしておく必要があるんです。空腹は最高の調味料だと言うでしょう」
「なるほど。そういう事だったんですね」
「分かったならさっさと始めんぞ」
そして冒頭に繋がる訳である。
食事前の運動はいつもの事なのか、理鶯さんは私達を見てにこにこと嬉しそうにしていた。
やがて切株や丸太の簡易的なテーブルに、理鶯さんお手製の料理が並べられて行く。
「まずは前菜だ」
私達の前に置かれたのは、森に自生する草や彼が育てるハーブが使われたサラダだ。
「いただきます!たくさん体動かしたので、お腹ペコペコなんですよ」
手作りだというドレッシングが良いアクセントになっていて、とても美味しい。次の料理が楽しみになる味だ。
「この白いのはなんですかね?食感は白子っぽいですけど」
「ああ、それは─」
私の呟きに理鶯さんは答えようとしてくれたのだが、銃兎さんが大きな声で遮る。
「いや!皆まで言わなくても結構です!」
「でも、なんなのか気になりません?」
「想像はついてます。だからこそ直接聞きたくないんですよ!」
理鶯さんが皿を置いて料理名などを説明しようとする度に二人が遮るので、何を食べているのかよく分からないままデザートまで来てしまった。
「デザートもクリーミーで美味しいですね。甘さ控えめでどんどん食べられちゃいます」
「…美味かったぜ、理鶯」
「ええ、ご馳走様でした…」
楽しい晩餐会のはずが、左馬刻さんと銃兎さんはとても疲れた表情をしている。
「二人共、大丈夫ですか?」
「む、左馬刻と銃兎には少々物足りなかっただろうか。食材は余っているから、これから追加で作るとしよう」
理鶯さんが再び料理の仕度を始めようとする。そんな彼の逞しい腕をがしっと掴んで、左馬刻さんと銃兎さんは冷や汗をかきながら叫んだ。
『もう勘弁してくれ……ッ!!!』
─ END ─
【あとがき】
ARBの秋ボイスから着想を得た話です。
2024/10/27
「これくらいでっ、へばってんじゃねぇぞるあき…!」
「俺も流石にきつい……もう左馬刻とるあきで頑張ってくれ…」
「銃兎!おら!てめぇも男なら根性見せろや!」
陽が沈み暗く鬱蒼とした森で何をしているのかというと、左馬刻さんと銃兎さんと共に運動をしているのだ。
腹筋やスクワット、腕立て伏せなどをかれこれ5セットほど続けている。ちなみにまだまだ終わる様子は無い。
何故こんな事をしているのかというと、それは昨晩左馬刻さんから届いたメッセージの所為なのだ。
理鶯さんから私達宛にメッセージが送られてから数分後、左馬刻さんは私と銃兎さんの二人のみにメッセージを送って来た。
『てめぇら理鶯からのメッセージは見たよな?るあきは初めてだったか。明日は動きやすい格好で来い』
『秋の味覚フルコースって書いてたので、せっかくだしオシャレして行こうとしたんですが…』
『確かに、左馬刻の言う通りだな。クソッ、でかいヤマは越えたから明日の晩餐会にはしっかり参加出来てしまう…どうにかして仕事を詰み込められないか…』
『一人で逃げようとすんじゃねぇぞ銃兎』
そんなやりとりがあり、私はおめかしを断念してスニーカーにパンツスタイルと動きやすい服装で来たのだ。左馬刻さんと銃兎さんもラフな格好で来ている。
理鶯さんはディナーの仕込みで忙しそうにしていた。左馬刻さん達が手伝おうと申し出たが、客人に手伝わせるのは忍びないと強く断られ、私達は暇を持て余していたのだ。
「俺達が手伝う事で食材の管理を謀ろうとしたが、やはり駄目だったか…」
「こうなったら予定通り、体動かして腹空かしとくしかねぇな」
左馬刻さんと銃兎さんは、青褪めた顔で何やら呟いていた。
「あの、昨日から全然話が見えないんですけど…」
私の疑問に二人は何も答えない。じっと彼等の顔を見詰めると、銃兎さんが溜息をついて答えた。
「理鶯の手料理を少しでも美味しく食べる為に、体を動かしておく必要があるんです。空腹は最高の調味料だと言うでしょう」
「なるほど。そういう事だったんですね」
「分かったならさっさと始めんぞ」
そして冒頭に繋がる訳である。
食事前の運動はいつもの事なのか、理鶯さんは私達を見てにこにこと嬉しそうにしていた。
やがて切株や丸太の簡易的なテーブルに、理鶯さんお手製の料理が並べられて行く。
「まずは前菜だ」
私達の前に置かれたのは、森に自生する草や彼が育てるハーブが使われたサラダだ。
「いただきます!たくさん体動かしたので、お腹ペコペコなんですよ」
手作りだというドレッシングが良いアクセントになっていて、とても美味しい。次の料理が楽しみになる味だ。
「この白いのはなんですかね?食感は白子っぽいですけど」
「ああ、それは─」
私の呟きに理鶯さんは答えようとしてくれたのだが、銃兎さんが大きな声で遮る。
「いや!皆まで言わなくても結構です!」
「でも、なんなのか気になりません?」
「想像はついてます。だからこそ直接聞きたくないんですよ!」
理鶯さんが皿を置いて料理名などを説明しようとする度に二人が遮るので、何を食べているのかよく分からないままデザートまで来てしまった。
「デザートもクリーミーで美味しいですね。甘さ控えめでどんどん食べられちゃいます」
「…美味かったぜ、理鶯」
「ええ、ご馳走様でした…」
楽しい晩餐会のはずが、左馬刻さんと銃兎さんはとても疲れた表情をしている。
「二人共、大丈夫ですか?」
「む、左馬刻と銃兎には少々物足りなかっただろうか。食材は余っているから、これから追加で作るとしよう」
理鶯さんが再び料理の仕度を始めようとする。そんな彼の逞しい腕をがしっと掴んで、左馬刻さんと銃兎さんは冷や汗をかきながら叫んだ。
『もう勘弁してくれ……ッ!!!』
─ END ─
【あとがき】
ARBの秋ボイスから着想を得た話です。
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