Dream
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突然俺のスマホが電話の着信を告げる電子音を響かせる。画面を確認すると、相手はるあきだった。
「…どうした?」
『あっ!獄さん!?どうしよう、十四くんが全然泣き止んでくれなくて…』
「あのなぁ、俺は弁護士であって、ベビーシッターでもあいつの親でもねぇんだぞ」
『どうしたら良いんですかね…獄さんはいつもどうしてます?』
俺には我慢ならないもんが二つある。一つ、仕事の邪魔をする奴。二つ、人の話を聞かない奴だ。
深い深い溜息をついて、とりあえず尋ねてみる。
「そもそも何がきっかけで泣き出したんだ?」
『今度、仕事で出張する事になったんですよ。それを伝えてからずっと泣いちゃって…』
先程から微かに十四の泣き声が聞こえて来る。るあきが苦笑しながら続けた。
『ほら、十四くんって私の事すごく好きじゃないですか』
「惚気 なら他を当たってくれ」
『違うんです…!好き過ぎて片時も離れたくないって感じで、こういう時の対処が大変なんですよ!ライブも控えてるのに、出張についてくって言い出したりもして…あっ』
「あ?」
不思議に思っていると、電話の相手が変わった。
『獄さ〜〜ん!聞いてくださいよぉ!るあきちゃんが一週間も出張で会えないって言うんすよ!一週間なんて絶対ブラック企業っす!自分訴えるっす!本気っすよ!』
これだからろくに社会経験の無いガキは…。
呆れるしかない十四の言い分はスルーし、言葉を探す。
「十四、お前この間るあきを守れる頼り甲斐のある男になる、とか言ってなかったか?」
『ぐすっ…言ったっすけど…』
「泣いてる男に頼り甲斐なんて無いよな?」
『…無いっす』
「彼女を守るだなんだ言って困らせてたら元も子も無いだろうが」
泣き止んだらしい十四はそれでも何か言いた気だったが、「うむむ…」と唸って口を閉ざした。
「ほら、良い子に留守番しとけ。仕事と言っても、電話くらいは出来るんじゃないのか?」
『………るあきちゃんを困らせるのは駄目っすもんね…。自分、普段から泣いてばっかで、いつも困らせてるから…電話で我慢するっす。良い子にしてるっす』
どうにか十四を落ち着かせる事に成功し、電話の相手はるあきに変わった。
『獄さん、ありがとうございました!なんとか十四くんも分かってくれたみたいで、助かりました』
「お前もなかなか大変そうだな」
そう労 いの言葉を掛けた時、るあきは溜息をついた。
『なんか私も十四くんと一週間離れるのがしんどくなって来たなぁ。やっぱり一週間も出張なんて長くないです?毎日会ってるくらいなのに急にこんなに会えないなんて、電話なんかじゃ足りないですよね?』
俺はまだガキの世話をしなきゃならないのか。
『獄さん?ちょっと聞いてま──』
そっと通話を終了する。
そろそろあいつからの電話は、相談料を取った方が良いかも知れない。すっかり冷めてしまったコーヒーを啜りながら、俺はそんな事を思った。
─ END ─
【あとがき】
なんだかんだ相談は今後も無料で聞いてくれます。
優しいね。
2024/07/28
「…どうした?」
『あっ!獄さん!?どうしよう、十四くんが全然泣き止んでくれなくて…』
「あのなぁ、俺は弁護士であって、ベビーシッターでもあいつの親でもねぇんだぞ」
『どうしたら良いんですかね…獄さんはいつもどうしてます?』
俺には我慢ならないもんが二つある。一つ、仕事の邪魔をする奴。二つ、人の話を聞かない奴だ。
深い深い溜息をついて、とりあえず尋ねてみる。
「そもそも何がきっかけで泣き出したんだ?」
『今度、仕事で出張する事になったんですよ。それを伝えてからずっと泣いちゃって…』
先程から微かに十四の泣き声が聞こえて来る。るあきが苦笑しながら続けた。
『ほら、十四くんって私の事すごく好きじゃないですか』
「
『違うんです…!好き過ぎて片時も離れたくないって感じで、こういう時の対処が大変なんですよ!ライブも控えてるのに、出張についてくって言い出したりもして…あっ』
「あ?」
不思議に思っていると、電話の相手が変わった。
『獄さ〜〜ん!聞いてくださいよぉ!るあきちゃんが一週間も出張で会えないって言うんすよ!一週間なんて絶対ブラック企業っす!自分訴えるっす!本気っすよ!』
これだからろくに社会経験の無いガキは…。
呆れるしかない十四の言い分はスルーし、言葉を探す。
「十四、お前この間るあきを守れる頼り甲斐のある男になる、とか言ってなかったか?」
『ぐすっ…言ったっすけど…』
「泣いてる男に頼り甲斐なんて無いよな?」
『…無いっす』
「彼女を守るだなんだ言って困らせてたら元も子も無いだろうが」
泣き止んだらしい十四はそれでも何か言いた気だったが、「うむむ…」と唸って口を閉ざした。
「ほら、良い子に留守番しとけ。仕事と言っても、電話くらいは出来るんじゃないのか?」
『………るあきちゃんを困らせるのは駄目っすもんね…。自分、普段から泣いてばっかで、いつも困らせてるから…電話で我慢するっす。良い子にしてるっす』
どうにか十四を落ち着かせる事に成功し、電話の相手はるあきに変わった。
『獄さん、ありがとうございました!なんとか十四くんも分かってくれたみたいで、助かりました』
「お前もなかなか大変そうだな」
そう
『なんか私も十四くんと一週間離れるのがしんどくなって来たなぁ。やっぱり一週間も出張なんて長くないです?毎日会ってるくらいなのに急にこんなに会えないなんて、電話なんかじゃ足りないですよね?』
俺はまだガキの世話をしなきゃならないのか。
『獄さん?ちょっと聞いてま──』
そっと通話を終了する。
そろそろあいつからの電話は、相談料を取った方が良いかも知れない。すっかり冷めてしまったコーヒーを啜りながら、俺はそんな事を思った。
─ END ─
【あとがき】
なんだかんだ相談は今後も無料で聞いてくれます。
優しいね。
2024/07/28
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