Dream
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夜の11時を過ぎた頃、独歩くんから電話が来た。
「もしもし、独歩くんどうしたの?」
『るあき?夜遅くに悪いが、今から家に行っても良いか?』
「もちろん大丈夫だけど…」
こんな時間に電話なんて珍しい。
そういえば、今仕事が忙しいと言っていたっけ。彼の場合はいつも忙しいような気がするのだが。
前に私に会うと癒やされると言っていたので、恐らく激務で荒んだ心身を回復する為に会いに来てくれるのだろう。彼の癒やしとなっているのなら嬉しい限りだ。
『ありがとう。じゃあこれから向かうな』
「うん、気を付けて来てね」
そう言って独歩くんとの通話を終える。
そして間もなく日付が変わる頃、玄関のチャイムが鳴った。
ドアを開けると、肩で息をする独歩くんが腕時計を見ながら呟く。
「ま、間に合った…」
「独歩くん、走って来たの!?」
部屋へ招き入れながらそう言うと、彼はどこか照れた様子で言った。
「明日るあきに一番最初に会うのは、俺で居て欲しかったから…」
よく意味が分からず首を傾げると、独歩くんは再び時計を確認する。
私も思わず壁に掛かっている時計を見上げると、丁度ふたつの針が真上に到着した。
その瞬間、独歩くんは私をぎゅっと優しく抱き締める。
驚いていると、彼はそっと身体を離して目線を合わせて来た。
予想以上に近い距離にドキドキしていると、独歩くんはふにゃりとした笑顔で言った。
「誕生日おめでとう、るあき。生まれて来てくれて、俺と出会ってくれて、本当にありがとう」
そう言われて、初めて自分が誕生日を迎えた事を知った。
「私、今日誕生日だったんだ…」
この年齢になると、どうも誕生日を迎える事が憂鬱になって来るのだ。
いつしか日付もあやふやになって来ていたが、彼は一度教えた程度の私の誕生日を覚えてくれていたらしい。
「わっ!悪い、俺みたいな暗い奴に祝われても嬉しくないよな…」
あたふたする独歩くんを今度は私から抱き締めた。
「大好きな人に誕生日を祝われるのって、すごく幸せな気持ちになるんだね」
彼の顔を見上げると、嬉しそうな笑顔を浮かべて頭を撫でてくれる。
「俺みたいな奴でも、誰かを幸せにする事が出来るのか…」
「ちょっと、どうして独歩くんの方が泣きそうなの?」
笑いながら言うと、独歩くんはぐすっと鼻を鳴らしながら言った。
「るあきの事が好き過ぎるので今から年齢の数だけ好きな所を発表します」
「節分?」
「まず、るあきの顔が好きだ。一目惚れだったからな。次にるあきの声が好き。その声で名前を呼ばれると、すごく嬉しくなる」
年齢の数を越えても留まる所を知らない私の好きな所を、楽しそうに発表して行く独歩くんが愛おしくてたまらない。
しかし、そろそろ顔が熱くなって来た。
「もう流石に恥ずかしくなって来たから、その辺でストップ…」
「その赤くなった顔も可愛くて大好きだ」
「うぅ……」
これはきっと全部聞き終えるまで止まらない。
恥ずかしいが当然嬉しくもあるので、緩む頬をおさえながら彼の演説を聞くのであった。
─ END ─
【あとがき】
独歩は付き合ったら重い男であって欲しい。
2024/06/25
「もしもし、独歩くんどうしたの?」
『るあき?夜遅くに悪いが、今から家に行っても良いか?』
「もちろん大丈夫だけど…」
こんな時間に電話なんて珍しい。
そういえば、今仕事が忙しいと言っていたっけ。彼の場合はいつも忙しいような気がするのだが。
前に私に会うと癒やされると言っていたので、恐らく激務で荒んだ心身を回復する為に会いに来てくれるのだろう。彼の癒やしとなっているのなら嬉しい限りだ。
『ありがとう。じゃあこれから向かうな』
「うん、気を付けて来てね」
そう言って独歩くんとの通話を終える。
そして間もなく日付が変わる頃、玄関のチャイムが鳴った。
ドアを開けると、肩で息をする独歩くんが腕時計を見ながら呟く。
「ま、間に合った…」
「独歩くん、走って来たの!?」
部屋へ招き入れながらそう言うと、彼はどこか照れた様子で言った。
「明日るあきに一番最初に会うのは、俺で居て欲しかったから…」
よく意味が分からず首を傾げると、独歩くんは再び時計を確認する。
私も思わず壁に掛かっている時計を見上げると、丁度ふたつの針が真上に到着した。
その瞬間、独歩くんは私をぎゅっと優しく抱き締める。
驚いていると、彼はそっと身体を離して目線を合わせて来た。
予想以上に近い距離にドキドキしていると、独歩くんはふにゃりとした笑顔で言った。
「誕生日おめでとう、るあき。生まれて来てくれて、俺と出会ってくれて、本当にありがとう」
そう言われて、初めて自分が誕生日を迎えた事を知った。
「私、今日誕生日だったんだ…」
この年齢になると、どうも誕生日を迎える事が憂鬱になって来るのだ。
いつしか日付もあやふやになって来ていたが、彼は一度教えた程度の私の誕生日を覚えてくれていたらしい。
「わっ!悪い、俺みたいな暗い奴に祝われても嬉しくないよな…」
あたふたする独歩くんを今度は私から抱き締めた。
「大好きな人に誕生日を祝われるのって、すごく幸せな気持ちになるんだね」
彼の顔を見上げると、嬉しそうな笑顔を浮かべて頭を撫でてくれる。
「俺みたいな奴でも、誰かを幸せにする事が出来るのか…」
「ちょっと、どうして独歩くんの方が泣きそうなの?」
笑いながら言うと、独歩くんはぐすっと鼻を鳴らしながら言った。
「るあきの事が好き過ぎるので今から年齢の数だけ好きな所を発表します」
「節分?」
「まず、るあきの顔が好きだ。一目惚れだったからな。次にるあきの声が好き。その声で名前を呼ばれると、すごく嬉しくなる」
年齢の数を越えても留まる所を知らない私の好きな所を、楽しそうに発表して行く独歩くんが愛おしくてたまらない。
しかし、そろそろ顔が熱くなって来た。
「もう流石に恥ずかしくなって来たから、その辺でストップ…」
「その赤くなった顔も可愛くて大好きだ」
「うぅ……」
これはきっと全部聞き終えるまで止まらない。
恥ずかしいが当然嬉しくもあるので、緩む頬をおさえながら彼の演説を聞くのであった。
─ END ─
【あとがき】
独歩は付き合ったら重い男であって欲しい。
2024/06/25
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